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風間公親 教場0 感想まとめ

 

 

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木村拓哉主演ドラマ『風間公親 教場0』が最終回を迎えました。そこでこれまでの全11話の感想のリンクや原作等の情報をまとめるとともに、倒叙形式の是非や批判の多かったトリックの描写などに触れつつ全編を通した感想を書きました。

放送日・感想一覧

月曜日21:00~フジテレビ系列で放送

ep01 2023年4月10日 感想
ep02 2023年4月17日 感想
ep03 2023年4月24日 感想
ep04 2023年5月01日 感想
ep05 2023年5月08日 感想
ep06 2023年5月15日 感想
ep07 2023年5月22日 感想
ep08 2023年5月29日 感想
ep09 2023年6月05日 感想
ep10 2023年6月12日 感想
ep11 2023年6月19日 感想

 

配信状況はこちらを参考にしてください
風間公親-教場0- - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

基本情報

原作

長岡弘樹

脚本

君塚良一

踊る大捜査線シリーズで有名な方です。

監督

中江功

Dr.コトー診療所など数々の有名ドラマを手掛けています。

主題歌

Uru『心得』

登場人物

風間公親(木村拓哉)
瓜原潤史(赤楚衛二)第1話・第2話
隼田聖子(新垣結衣)第3話・第4話・第11話 他
遠野章宏(北村匠海)第5話・第6話 他
鐘羅路子(白石麻衣)第7話・第8話
中込兼児(染谷将太)第9話・第10話

相関図はコチラ↓
風間公親 教場0 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

 

感想

バディが入れ替わる構成

このドラマの特徴は2話ごとにバディが入れ替わる点です。
こういうバディ物っていうのは『ラストマン』がそうであるように、基本的には固定されたバディが、回を重ねるごとにきずなを深めていくのが定石です。

一方、このドラマは2話ごとに退場していくので、必要以上に親密にはならず、緊張感が保たれたまま別れていきます。
そもそも厳密に言えば指導官と新人刑事なのでバディではありません。

視聴者としても、そのキャラクターや演じる俳優によって雰囲気がガラッと変わるので、飽きずに見続けることができます。
逆に言えば、回ごとのクオリティにはばらつきがありました。

突飛なトリック

このドラマではそのトリックに批判が集まりました。
実現困難であるとか、証拠として不十分であるとか、毎話何かしら指摘されています。
このような反応が生じたのには原因があります。

それはこのドラマの建付けが警察のリアルを描いているかのように見えるので、リアルな捜査手法を期待していた視聴者が多かったのに、実際に繰り広げられたのは、探偵もののような推理ドラマだったからなのです。

さらに、このドラマの主題は新人の育成であって事件の解決ではありません。
推理ものとしては事件が背景に追いやられてしまい、せっかくの豪華キャストも無駄遣いになって物足りなさが残ってしまいました。

こうならないために最初に説明を加えておくべきだったと思います。
たとえば「自供を引き出すことが刑事の真骨頂である」とか、「証拠を集めて自供させるなら誰でもできる。証拠がない中で自供を引き出せてこそ一流の刑事だ。」とか、そういった感じの、自供にこだわる理屈の説明があれば印象が大きく違ったと思います。

最終回のエンディングで犯人たちが口々に「証拠はありますか」という趣旨のことを言っています。でもその次に流れてくるのは彼らが感情をあらわにした瞬間なんです。劇中に「君は人の感情に目を向けている」というセリフもあったし、真実は証拠ではなく人の感情の中にこそあるということなのだと私は解釈しています。

時間的制約

このドラマではとにかく時間が足りませんでした。
事件の発生と顛末を描き、新人刑事の抱える悩みを描き、更に後半には遠野の容態や十崎の行方まで描かなければならなくなってごちゃごちゃしました。
倒叙形式という構造まで次第に貫徹できなくなっていました。

倒叙形式

このドラマでは倒叙形式と言われる先に犯人を明かす方式を採用しています。
そのおかげで新人刑事と同じ立場で犯人を追い込む様子を追体験できるのですが、あまり効果的ではなかったですね。
というのも倒叙形式が意味を持つのは『古畑任三郎』のように犯人との対決が際立つ場合であって、本作のように新人と指導官の対決に焦点があてられた作品では、かえって犯人の印象が薄れてしまうんですね。

印象的なシーン

全11話の中でも雨の中で遠野が十崎に襲われ傘の内側に血が飛び散るシーンやその後の格闘シーンは印象的でした。日本のテレビドラマでこれほど印象的なシーンは珍しいと思います。

また、遠野が亡くなった後に剣道場で一人涙する風間公親のシーンは木村拓哉史上屈指の名シーンだと思います。

木村拓哉の存在感

主演でありながら画面に映っているシーンは少ないですし、セリフも多くありません。
それでも強い印象を残しています。
画面に映っていなくても存在を感じるんですよね。
風間はいろんな面を見せてはいけないキャラクターで常に一定でなければなりません。人間的であってはならないんです。
決まった姿勢、決まった表情を取り続けていたのもそのためだと思います。
だからこそ風間が人間的な部分をのぞかせる時に感情が動くんですよね。

ネタ化する風間公親

そうはいっても怖さは持続しませんでした。
日本中を震撼させた『リング』の貞子が今では面白オバケになっているように、シリーズが続くにつれて怖さは薄れてしまうのです。
本作では風間が少し面白いことを言うところもあったりして、スペシャルドラマで感じたような不気味さは影をひそめてしまいました。

妥当なメッセージ

風間は厳しいようではありますが、実は新人たちの長所を見抜いているんです。
長所と短所はコインの裏表であるというのが風間の人間観のようで、厳しく欠点を探せば探すほど彼らの長所も見えてくるのです。
「刑事の資質がない」という言葉の裏に「お前にしかできない使命がある」という肯定的な適材適所の考え方があります。

継承

この教場シリーズでは木村拓哉演じる風間公親が新人を指導します。
スペシャルドラマでの撮影エピソードからも、木村拓哉から次世代を担うスター候補への継承という側面が強いように思います。
現時点でもう十分スターかもしれないですけどね。

心洗われるエンディング

最後に流れるエンディングにこだわっていて、毎回各話の振り返りと次回予告の役割を果たしていました。
そしてそこで流れるUruの『心得』を聞いていると、さっきまで「おかしくない?」と思っていても、無条件で感動してしまいます。

おわりに

前日譚としては最終回にギュッとつじつまを合わせた印象がありますし、坂口憲二さんはほぼ何もしていません。
結局十崎の件は解決しておらず、不十分な点が多いのは確かです。

でも何かよくわからないけど面白いんですよね。
キャストが良くて作品の雰囲気がいいからなのかな?

2話で主役が交代するのが良かったんだと思います。
これが3話ずつだったらかなり印象が違ったでしょう。
2話ごとなので出会い→別れ→出会い→別れと切れ目なく続き、退屈しませんでした。