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風間公親 教場0 第8話~ゲストは小池徹平さんとソニンさん

 

 

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木村拓哉さん主演ドラマ『風間公親 教場0』第8話は白石麻衣さんの出演回の2本目です。遅効性の毒が徐々に犯人の体をむしばんでいくのに合わせて複数の事柄が進行していくストーリーは本作の中で最も完成度が高かったです。全体を貫く不穏さに注目しつつ、作品を振り返りたいと思います。

放送日・あらすじ・前回の感想

放送日

2023年5月29日(月)21:00~フジテレビ系列で放送

あらすじ

www.fujitv.co.jp

配信状況はこちらを参考にしてください
風間公親-教場0- - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

相関図はこちら↓
風間公親 教場0 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

 

 

感想

今回のゲスト

名越哲弥(小池徹平)
今回の犯人でした。ネット販売業者を営んでいます。

小田島澄香(ソニン)
今回の被害者。
名越に「あなたを自由にしてあげる」という意味深なメッセージを送りました。

ストーリーが面白い

「これまでで一番面白かった」と感じた人が多い回だと思います。
個人的には前回の方がストーリーとしては好みなのですが、少なくとも今回はシリーズの中でも最もミステリーとして体裁が整っていたのではないでしょうか?

まず面白いのが、点鼻薬に毒を仕込むという手口ですね。
こういう思いがけない道具を犯行に用いられると「面白いなぁ」と感じてしまいます
目薬に毒を仕込むのは観たことがありますが、それに比べればマイナーな手口です。
相手の行動パターンを読み切った嫌な殺し方ですよね。

このドラマでは毎回犯行の様子が最初に示されるのですが、今回は結構親切というか、キーとなる要素についてもほとんどすべて見せているんです。

まず犯人の名越が「鍵閉めたっけ?」という行動を執拗に繰り返します。
これは強迫性障害というものを知っていれば一発でわかる行動パターンですね。

強迫症 / 強迫性障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

他にも後に決め手になる電池の交換だったり、不自然に拭き取られた指紋だったり、犯行や解決の道筋はほぼ明らかにされています。
にもかかわらず、「それでも残る不穏さ」のようなものがまだ残されていて、その正体が徐々に明らかになっていくところが今回の面白さです。

「ひょっとして……。」と思わせて「やっぱり!」と納得させる具合が難しすぎず上手いんです。

不穏さの正体1

冒頭に示される金庫の札束と何か届け物が定期的に届く様子は名越が個人のネット販売業者であるということで、それほど違和感がなかったのですが、謎の住所録と鐘羅(白石麻衣)の恋人・西田(渋谷謙人)の登場でこちらも徐々に点と点が線で繋がってきます。
「あぁ、そういうことね。ってことは鐘羅のやったことって……」という風に事件の真相ともに鐘羅の行く末も一点に向けて進んでいきます。

これまでのエピソードでも新人捜査官たちのバックグラウンドが事件と関連してはいましたが、それは最初から示されていて事件と一緒に進行していく感じではなかったんです。
その点今回の脚本の方が優れていました。

不穏さの正体2

もう一つの不穏さは「あなたを自由にしてあげる」という小田島の恋人の別れにしては少し不自然な言葉に象徴されます。
「ビジネスパートナーのようだ」という鐘羅の指摘もありましたし、犯人の明らかな体調不良でこちらも「ひょっとして……」となってきます。

犯行前にポロニウムによる暗殺のニュースを取り上げていたし、内部被ばくの話もしていましたから予測はできるのですが、この徐々にピントがあってくる感じが気持ちいいんです。
ポロニウムのニュースはちょっと露骨過ぎましたね。例えばスパイ映画のワンシーンとしてポロニウムを使うシーンをテレビで流しておくとかの方がさりげなくて良かったと思います。

今回は風間たちが事件を解き明かす傍らで、犯人の体がゆっくりと遅効性の毒にむしばまれています。この2つ、3つのことが同時にゆっくり進行していく感じが面白いんです。

劇中では明言されていませんでしたが公式Twitterによると母親の死も彼女による犯行のようですよ。

環境省_外部被ばくと内部被ばく (env.go.jp)

 

これまでこのドラマの犯人って犯行後は待っているだけということが多かったので、初めて証拠隠滅という手段に出たのは新鮮でした。

結局強迫性障害という弱点を利用され、古畑任三郎の堺正章さんの回のように罠にかけられてしまったのはあっけなかったですね。

鐘羅路子(白石麻衣)の件

クズ男と付き合ったがために国家公務員法100条に違反してしまった鐘羅。
停職処分のほかにも刑事罰の可能性もあるみたいですね(109条14号)。
警官を辞める決意を固めた鐘羅でしたが風間が「なんとなくだが」と鐘羅の口癖を使って説得するのが面白かったです。

鐘羅の使う「なんとなくですけど」は関西の方がよく使うという「知らんけど」みたいなニュアンスですが、風間のは「お前次第だ。」っていうポジティブなニュアンスに変わっています。

前回「得意技は弱点にもなる」と指摘していた風間ですが、鐘羅の“女の勘”が彼女の資質であることには変わりがないんですよね。
逆に、弱点は強みでもあるんです。

思えば、風間道場の新人たちは全員長所と短所が同居していました。
彼らが自分自身と向き合うきっかけを与え、己の資質を理解させ、最大限発揮される場所へと導くことが風間流の指導なのかもしれません。
交番で勤務している鐘羅は楽しそうですし、毎回ここまで描いたほうが後味はいいかも。

おわりに

このドラマは2話ずつがセットになっています。

鐘羅の2話はどちらも粒ぞろいだし、鐘羅の人間性と事件がマッチしていて満足度は高かったです。

次回はいよいよ染谷将太さんが登場します。