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風間公親 教場0 第10話~名シーンだと思います

 

 

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木村拓哉さん主演ドラマ『風間公親 教場0』第10話は認知症を巡る殺人事件が題材でした。前回と今回を合わせた“中込編”の完成度はこれまでで一番高かったと思います。そして遠野の死を受けて剣道場で風間が一人涙するシーンは感動的でした。そのあたりを振り返りたいと思います。

放送日・あらすじ・前回の感想

放送日

2023年6月12日(月)21:00~フジテレビ系列で放送

あらすじ

www.fujitv.co.jp

配信状況はこちらを参考にしてください
風間公親-教場0- - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

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風間公親 教場0 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

 

 

感想

倒叙方式をやめたみたい

このドラマは若干のバリエーションはありますが、基本的には初回から倒叙方式と言われる先に犯行の様子を視聴者に見せる方式を採用していました。

この倒叙方式にすることで、視聴者は犯人が追い詰められる様子や、捜査官が真実に近づく様子に集中できるというメリットがありますが、このドラマではそれほど上手く機能していなかったので、これはこれで良かったと思います。

というのも、十崎のことや遠野の容態、新人捜査官の家庭事情、犯人の犯行の様子、という風に本編に入る前に扱う内容が増えすぎていたんです。

今回倒叙ではなくなりましたが、違和感はありませんでした。
倒叙でなくとも犯人は分かりますからね。

まだら認知症

毎度のごとく、犯人の境遇と捜査官・中込の境遇がリンクしていました。

年の差夫婦の妻である被害者は、まだら認知症を患っていたんですね。

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この“まだら”であるということが今回の重要なポイントでした。

認知症の家族を介護する身として中込は犯人に同情してします。
これまでの新人たちも何かしら秘密を抱えていて、それが捜査に影響していましたが、今回が一番強く表れていたと思います。

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テフロン加工されたフライパンを異常加熱するとフッ化水素が発生することはあるみたいですが、それで死に至るのかはちょっとわかりません。

残酷な意図

さて犯人は妻が認知症であることを利用し、電話で思考を中断させることで意図的にそれまでの行動をキャンセルするという手法で事故に追いやりました。
先述の通り今回は倒叙ではなかったので純粋に犯人の行動の違和感、現場の状況の違和感を探るという王道スタイルです。
犯人の普段とは違う行動が解決の糸口になるというのはよくあるやつね。

人情刑事

今回面白かったのが風間の捜査手法への言及があったことです。
このドラマはよく「証拠がない、薄弱だ」という批判を浴びていますが、今回中込とのやり取りの中でそのことに触れています。
ミステリー好きの中込は証拠に基づいた論理的な推理を好みます。
しかし、それでは追い込み切れないときがあるんだということが示されました。

中込のキャラクターがあるからこその展開でしたが、これが初回とか序盤に説明されていればドラマ全体の印象も変わっていたかもしれませんね。

決まった行動

今回の謎は「なぜ被害者は水曜日に魚を買うのか」というものでした。
指輪を失くした場所を思い出すためということでしたが、中込の母が木曜日に同じ場所へ出かける理由は納得できるのに比べると、こちらはそんなに説得力はないですね。

犯人は認知症を利用したトリックで犯行を完遂できたと思っていたが、それは実は“まだら”認知症の妻が犯人をかばう行動をとっていたからこそ成立していたんですね。

彼が白を切りとおせば、ボタンに付着した塩なんて証拠にはならないかもしれませんが、彼が自白を撤回することはなさそうです。

このドラマではこれまでも刑事たちの抱えている悩みやトラウマが事件とシンクロしていましたが、瓜原や隼田の場合は前半では匂わす程度にしか描写されていませんでしたし、鐘羅や遠野の場合は事件と直接関係はありませんでした。
その点、中込の母の認知症の様子は前回から丁寧に描かれており、そのことが事件のトリックに深く関わっています。
2話セットの“中込編”が完成度が高く感じるのはそのせいかもしれません。

中込の成長

誘拐された時の記憶に向き合った中込は母の行動の理由にも気づき、漠然と抱えていた不安感や恐怖をコントロールできるようになったみたいですね。

「俺はもう帰ったよ」「いたのね、良かった」

というセリフのやり取りは事件にも母にも向き合うことを決めた中込の成長が感じ取れますし、「この事も忘れてしまうんだうなぁ」という切なさもありますし、認知症の中で起きたちょっとした奇跡のようでもあってよかったです。

遠野

遠野は病気の友人の想いを受け継いで警察官になり刑事を目指していました。
風間が捜査と新人育成を優先したのはそんな遠野の想いを引き継いだからでしょうね。

道場で風間が涙を流すシーンは木村拓哉さんのこれまでのキャリアを振り返っても屈指の名シーンだと思います。
常に冷徹な風間が初めて見せた涙。
どういった泣き方をするのかいろんなパターンがあったと思います。
でも、木村さんのあの演技を見て風間という人物に最もふさわしい泣き方のように私には思えました。

木村さんってあまり涙の印象無いですよね。
どちらかというと悲しみを笑ってごまかすキャラクターを演じることが多い気がします。

おわりに

中込が毎回不審者と思われて手帳を見せるのも面白かったですね。

第9話・第10話は染谷将太さんの演技力に引っ張られて映画のようになっていました。
白石麻衣さんの時とは別のドラマみたいです。

こういうそれぞれの色を楽しめるのもこのドラマの魅力ですね。

次回は再び新垣結衣さんと事件捜査にあたるようです。
ということは十崎の件は映画なのでしょうか?