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山下智久さん出演ドラマ『ブルーモーメント』第1話が放送されました。災害に対する啓発の大切さを描いていて、頻発する災害対策を真摯に描いている印象を受けました。一方でそのことが分かりにくさにつながっていますし、『TOKYO MER』との比較は避けられません。
放送日・あらすじ
放送枠
フジテレビ水曜日 22:00~
放送日
2024年4月24日
公式サイト
基本情報
原作
小沢かな『BLUE MOMENT』
脚本
浜田秀哉
(『イチケイのカラス』『絶対零度』)
キャスト
晴原柑九朗 山下智久
雲田 彩 出口夏希
園部優吾 水上恒司
山形広暉 岡部 大
丸山ひかる 仁村紗和
三崎俊樹 ワタナベケイスケ
宍戸梨紗子 玉田志織
汐見早霧 夏帆
上野香澄 平岩 紙
佐竹尚人 音尾琢真
園部 灯 本田 翼
立花 藍 真矢ミキ
園部肇一 舘 ひろし
相関図はコチラ↓
相関図 | ブルーモーメント - フジテレビ
感想
力作
フジテレビが本気で作っているんだろうなぁという気概は感じられました。
映画のようなルックですし、気象や自然災害を扱うというのも興味をそそられますよね。
初回は雪山ロケですし、ヘリも飛ばしていましたし豪華です。
FODでの配信だけではなく、映画化も見据えているのかもしれませんね。
TOKYOMER
内容面に入る前に、TBSの大ヒットドラマ『TOKYO MER』との比較をしてみたいと思います。
本作は明らかに『TOKYO MER』を意識していますし、かなりの部分で似ています。
まず類似点としては大きく分けて3つあります。
- 主人公が恋人や家族を失い、そのことが動機になっている
- 実在しない架空の組織が登場する
- 指揮官でありながら現場に出向き、軋轢を生む
- 主人公が人命救助に取りつかれている
1と3に関してはドラマではよくあることなので、一番似ていると感じさせるのは2の要素ですね。
隊員が青を基調としたお揃いの制服を着ている点、トップダウンで結成された横断型の組織である点、特徴的な車両がある点、現実には実在しない点、運用開始に反対する勢力がいる点などかなり似ています。
あの安っぽい車両はコンセプトがよくわかりません。
『TOKYOMER』の場合は現場で治療にあたることで救える命があるという哲学に基づいて、手術室を備えていました。
一方の本作ではモニターが並んでいるだけですし、現地に赴く理由が不明です。
もし車両が必要なのであれば、少なくとも全天候に対応可能な装備は見せてほしかったですね。
実は『TOKYOMER』も災害は扱っていて、ゲリラ豪雨で孤立した病院の回は完成度が高かったです。
少なくともその回を超えられるかどうかが本作を評価するうえでの基準になるかと思います。
相違点
相違点も考えてみました。
類似点とは異なり、どこに注目するかでいろんな点を挙げることができるとは思いますが、私が考えたのは
- 『TOKYO MER』が東京と限定なのに対し、本作は全国を舞台にする
- 『TOKYO MER』は医師が主人公なのに対し、本作は数学者が主人公
- 『TOKYO MER』は一人で、あるいは関係組織との協力で完結するが、本作は被災者や住民の協力を仰いだり、啓発活動をしたりと外部に開かれている
- 全くの素人がいる(『TOKYO MER』にも研修医はいました)
の4点です。
特に特徴的なのが3の要素です。
主人公は啓発活動を通じてリテラシーを高める活動も行っていて、そのことが奇跡を起こす前提条件になっています。
私のような視聴者もドラマを楽しみながら災害に対するリテラシーを上げることができるようにもなっていて、このドラマが有意義であるポイントの一つと言えるでしょう。
一方でこの要素が「数学者として計算する」というただでさえ不明瞭な設定をさらにややこしくしている面があります。
「それって数学ですか?」と思うことが時々あるのは仕方ないのかも。
計算
わかりにくい原因は「最悪の事態に備えて念のため行動する」ということと「計算ですべてを読み切る」ことは相容れない概念だからだと思うんです。
読み切れないからこそ念のための行動をするわけで、その点は主人公たちも認めており、そのあたりがややこしいんですよ。
この一見すると相いれない概念の狭間で「確率を上げる」ために奮闘する主人公たちが本作の見どころなのですが、一言では説明しきれない難しさがありました。
灯の死が主人公の傲慢さや過信が招いた悲劇であるならば理解しやすいんですけどね。
以前見た番組
本作を見ていて、アメリカで猛威を振るったハリケーン・カトリーナの特集番組を見たことを思い出しました。
トップダウン型の組織があるからと言って必ずしもうまく機能するとは限らないようですね。
人災 ハリケーン カトリーナ - エラー 失敗の法則 - NHK
この番組の中でなるほどと思ったのが、市長や知事のような自治体のトップは災害に対してどのように対応すればいいのか訓練を受けていないという指摘です。
その結果、災害が発生したときに人命が助かるか否かはトップのアドリブ的な判断に大きく左右されてしまうのだとか。
そういう意味では本作のような対応を助言してくれる組織は必要かもしれませんね。
キャスト
『真夏のシンデレラ』にも出演していた水上恒司さんと仁村紗和さんが再共演しています。
気になったのは男女の配置です。
リーダーや主導的な位置を男性が占めていて、ド素人の女性が登場するなど、かなり古臭い気がします。
日本のドラマに登場する女性政治家はほぼ蓮舫型と小池百合子型の2パターンです。
本作は蓮舫型を採用していましたが、もうちょっと人間味のある描き方ってできないのかな?
おわりに
「なぜ灯は危険を冒したのか?」が全編を通した謎になりそうですね。
いつも通りの朝を迎えられることの尊さを描いた本作には好感が持てました。