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unknown感想まとめ

 

 

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高畑充希・田中圭主演ドラマ『unknown』の全話放送が終了しました。そこでこれまで書いた各話の感想リンクをまとめ、全編を通した感想を新たに書きました。差別という社会問題をエンタメとして昇華しようという姿勢は良かったと思います。

放送日・全話感想

火曜日21:00~テレビ朝日系列で放送

ep1 2023年4月18日 感想
ep2 2023年4月25日 感想
ep3 2023年5月02日 感想
ep4 2023年5月09日 感想
ep5 2023年5月16日 感想
ep6 2023年5月23日 感想
ep7 2023年5月30日 感想
ep8 2023年6月06日 感想
ep9 2023年6月13日 感想

配信状況はこちらを参考にしてください↓
unknown - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

基本情報

脚本 

徳尾浩司

『おっさんずラブ』を手掛けています。

監督 

瑠東東一郎

この方も『おっさんずラブ』を手掛けています。

主題歌・挿入歌

RADWIMPS『KANASHIBARI feat.ao』

ロザリーナ『I knew』

キャスト

闇原こころ(高畑充希)
雑誌記者、吸血鬼。

朝田虎松(田中圭)
交番勤務の警察官。

その他キャストはコチラ↓
相関図・キャスト|unknown|テレビ朝日 (tv-asahi.co.jp)

感想

時代性を反映した題材

このドラマの良かった点は時代を反映したテーマだと思います。

こころは吸血鬼という差別の対象とされる属性を持っていましたし、虎松も加害者家族というこれまた差別される属性を代表していました。
このドラマは差別や、相手を知らないが故に生まれる憎悪やヘイトクライムをテーマとして扱っています。
そして直接それらを描くのではなく、吸血鬼というメタファーを用いるという高度な手法に果敢に挑戦していました。

また、ラブコメ要素や考察要素などエンタメ成分を大量に投入することにより、重苦しいテーマを敬遠してしまう人たちにもメッセージを届けようという意気込みが感じられました。
例えば、『新聞記者』とか『エルピス』って題材こそ素晴らしいですが、これらの作品を見る人って最初からそういう問題意識を持っている人に限られてしまうんですね。
本当に届けたい、届けなければならない人々には届いていないんです。
そういう意味でこの作品は有意義だと思いますし、これからもこういう作品は作られてほしいとも思います。

あと虎松の父親を安易に無実にしなかったのもよかったと思います。
もし、無実にしていたら虎松の加害者家族としての属性が揺らぎ、倫理的にも問題が生じていたはずです。
また、児童養護施設育ちの加賀美が犯人でしたが、意識的に「憶測はやめよう」というメッセージを付加したのもよかったと思います。

ただ、上手く行っていない

まつりが殺害されるあたりまでほとんど話が前に進まず停滞していました。
延々と続くラブコメに挫折しそうにもなりました。
それだけ前半の話数を費やしてこの作品がしようとしていたのは、作品内における吸血鬼の説明です。
人間を襲わないとか、ニンニクが苦手とか結構詳細に語られたのですが、肝心な世間で吸血鬼がどれだけメジャーな存在なのか?については最終回でようやく語られた程度で曖昧なままでした。

このドラマは大きな矛盾を抱えています。
吸血鬼の存在が世間一般に知られていないのなら差別は起こりえないんです。
外国人を差別する人はいても宇宙人を差別する人はいません。
対象が存在しないのに差別のしようがないからです。
ここはやはり吸血鬼は一定数存在するが、差別をおそれて多くの吸血鬼はそのことを隠して生活しているっていうことにしたほうが良かったと思います。
その方がカミングアウトしているこころの父親の存在も際立ったでしょう。

メタファーといえども

このドラマにおける吸血鬼が差別のメタファーであることは先述の通りです。

ただ、吸血鬼は吸血鬼なんですね。
人の血を吸うという加害性を持っているんです。
この作品はその最も根幹となる部分を「余った献血の横流し」という設定でごまかしています。
ここをごまかさなかったのが『仮面ライダーブラックサン』なんですよね。
確かに、この要素を除外しないと「差別は良くないというメッセージ」に「差別される側にも問題がある」という論理が混入しかねませんが、だったら吸血鬼である必要がなんです。
そこには挑戦してほしかったなぁと個人的には思っています。

あるいは潔く「大昔の吸血鬼は人間の血を吸って生きていたが、時代を経て血を全く必要としなくなった」ということにしてしまうのもアリです。
そうすれば吸血鬼と人間の差はほとんどなくなります。
世の中には見た目には全く違いがないのに生じる差別というものもあります。
そういう差別のメタファーとして吸血鬼を扱えばよかったのではないかと思います。

犯人が変

最も怪しい奴が犯人だったというのは賛否があるかもしれません。
私は視聴者の裏をかくためだけにストーリーを捻じ曲げるのは好きではないのでこれで良かったと思います。
でも、犯行の理由が極めてサイコになっていました。
これは先述した吸血鬼観があいまいであることの煽りを受ける形で、犯人の行動が普通の人間ならあり得ないような矛盾だらけの行動になってしまっているんです。

おわりに

正直言ってこの作品は失敗作だと思います。
もう一度見直したいかと言われたら、「たぶん観ない」と答えるでしょう。

ただ、この試みは有意義だと思います。
タブーに切り込むだけで賞賛される風潮にありますが、そこで満足せずエンタメに昇華しようとする姿勢は大切だと思うからです。