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テイオーの長い休日 感想まとめ

 

 

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船越英一郎さん出演ドラマ『テイオーの長い休日』が最終回を迎えたのでこれまで書いた各話の感想を1ヵ所にまとめ、全編を通した感想を追記しました。このドラマはテレビドラマ、とりわけ2時間ドラマに対するリスペクトにあふれていて、制作者の真摯な態度が伝わってくる観ていて心地いい作品でした。

放送日・各話感想

土曜日23:40~フジテレビ系列で放送

ep1 2023年06月03日 感想
ep2 2023年06月10日 感想
ep3 2023年06月17日 感想
ep4 2023年06月24日 感想
ep5 2023年07月01日 感想
ep6 2023年07月08日 感想
ep7 2023年07月15日 感想
ep8 2023年07月29日 感想

配信状況はこちらをご確認ください↓
テイオーの長い休日 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

基本情報

原作

ありません

主題歌

上野大樹「素顔」
レコチョク↓
上野大樹「素顔」の楽曲(シングル)・歌詞ページ|1018540348|レコチョク (recochoku.jp)

キャスト

熱護大五郎(船越英一郎)
元2時間ドラマの帝王。テレビ局が2時間ドラマ制作から撤退し1年以上仕事がない。

吉田ゆかり(戸田菜穂)
3人の子を持つシングルマザー。大手タレント事務所の元マネージャー

相関図はコチラ↓
相関図 | テイオーの長い休日 | 東海テレビ (tokai-tv.com)

全編を通した感想

船越英一郎さんのセルフパロディ

船越さんをはじめとする2時間ドラマの常連を起用したパロディのような作品は結構作られています。
このドラマの途中で流れる「にしたんクリニック」のCMもそうですよね。

そういった単なるパロディ作品とは一線を画するクオリティがこのドラマにはありました。
というのも2時間ドラマという文化の抱えていた軽薄さにも向き合っているんですよね。
「2時間ドラマの帝王」なんていう称号は「大衆に消費されるだけの俳優です」と宣言しているようなもので、俳優にとっては邪魔でしかなくひょっとしたら船越さんもこの称号に苦しめられているのかもしれません。

そういう「一番言われたくない部分」にも向き合う真摯な態度に好感が持てます。

2時間ドラマへの愛情と敬意

2時間ドラマには文化的な価値はほぼないし、作品としてアーカイブされて見直されることもほぼないんだと思います。
では、2時間ドラマは無駄なのか?そこに費やしていた時間や労力は無駄なのか?という疑問が当然生じますが、このドラマでは明確に2時間ドラマという文化に敬意を払っています。

熱護は予算や激烈な制作環境の中でくじけそうになっている人々を励まします。「くだらない作品だからこそ、こだわりをもって演じる」与えられた環境でベストを尽くす熱護の姿勢は感動的です。

そして彼が損な役回りに徹することで守ってきたノウハウや知見、情熱が次の世代に引き継がれることで2時間ドラマの存在意義を示しています。

死んだ父の味を引き継ごうとする息子の話も出てきますし、継承が一つのテーマなのかもしれませんね。

時代に取り残された男のリベンジ

視聴習慣や視聴環境が劇的に変わったことで、2時間ドラマはこの10年間で縮小し過去の遺物とされました。
熱護は時代に取り残された男です。

テレビ業界に限らず、昔のままでは通用しなくなり自信を喪失してた人は多数いると思います。
そういった人たちに向けて、卑屈になるのではなく自分が積み重ねてきた経験に価値があるんだと自信を持つように訴えるとともに、誠実に物事に打ち込むことの大切さは時代が変わっても変わらないんだと励ましています。

また、ほんの少しの寛容さ、チャレンジ精神の大切さも同時に訴えていました。

俳優という職業の不思議さ

熱護という人格は役を演じることで形成されている側面があります。
役を育て、役に育てられる不思議な相互作用で生まれた熱護という人物は現実と虚構の間を自由に行き来します。
俳優という職業の不思議さを感じるとともに、俳優の持つ精神の軽やかさが魅力的に描かれています。

「相互に影響を与え合う」のは人間関係においても同じで、熱護と他のキャラクターは互いに影響を与えながら成長していきます。
そういった刺激し合える関係のすばらしさも描かれていました。

おわりに

全8話のうち、第7話以外はおもしろかったですよ。
全体から漂う安っぽさから視聴をためらう人がいるのも理解できますが、一度試しに見てみたら結構面白いと気付いてもらえる作品だと思います。
何より、制作者のドラマにかける真摯さが感じられます。