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テイオーの長い休日第3話~織部金次郎がモデルらしい

 

 

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船越英一郎さんの主演ドラマ『テイオーの長い休日』第3話で熱護はプロゴルファーを演じています。現実の前に心が折れたディレクターの豆原と、周囲の不出来にいら立つ陽向を対比しながら、チームワークの大切さとすばらしさを説く内容です。順を追って振り返ります。

放送日・あらすじ

放送日

2023年6月17日(土)23:40~フジテレビ系列で放送

あらすじ

www.tokai-tv.com

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相関図 | テイオーの長い休日 | 東海テレビ (tokai-tv.com)

 

 

感想

再現ドラマ

バラエティ番組には出演しないという熱護のルールの間隙を突きゆかり(戸田菜穂)が持ってきたのが『すっきりジャパン』という再現ドラマバラエティでした。

『スカッとジャパン』をモデルとしていることが明らかなのでイメージしやすいですね。
でもどちらかというと『奇跡体験アンビリーバボー』の方が近いのかも。

痛快TVスカッとジャパン - フジテレビ (fujitv.co.jp)

余命半年のプロゴルファー青井が難病の子供のためにホールインワンを成し遂げるというストーリーはベーブルースの逸話をもとにしたよくあるタイプのお話です。

豆原(市川知宏)

今回はドラマからバラエティへと配置換えされたディレクターの豆原(市川知宏)とゆかりの長女・陽向(宮下結衣)が対比されています。

豆原は映像に強いこだわりを持っていましたが、徐々に牙をぬかれ、粛々と機械的に作品を作るだけの男に成り下がっていました。
自分のこだわりを押し付けて周囲との軋轢を生むぐらいなら妥協したほうが良いと考えている豆原の中に、熱護は彼のおごりを読み取るんですね。

彼の作り上げた作品は決して彼一人の力で出来上がったものではなく、彼の要求にこたえてくれたスタッフたちの努力のたまものなんです。
それなのに豆原はどこかでそのことを軽視していて、独りよがりになっています。
スタッフたちのことは考えに入れられていないんです。

自分が妥協するということはスタッフたちにも妥協を求めることになり、やりがいのない仕事になってしまうのですね。
演出家の仕事は作品のためにベストを尽くすことであり、スタッフたちにやりがいのあるチャレンジを求め、本気にさせることなんです。

熱護の言葉を聞いた後の活気ある会議の様子は印象的でした。

豆原にも一緒にゴルフをするように求めたのも良かったですね。いくら作品のためとはいえ要求される側の気持ちを理解していなければそれはそれで問題ですからね。

 

豆原を演じた市川さんがインタビューでこのように答えています。

『テイオーの長い休日』という作品は、熱護大五郎という一人の人間が周囲に“影響”を及ぼして、みんなが成長して、みんながいい方向に進んでいくという、「希望」がテーマだと僕は思っています。とくに、今回、僕が出演する第3話は、熱護自身も崖っぷちに立っているし、僕が演じる豆原も崖っぷち。同じ「崖っぷち」という境遇に立たされた二人なんですが、心折れた豆原と違って、熱護は希望を持って生きているんです。同じ崖っぷちでも、その時にどう立ち回るか。そのやり方で人生が変わってくるというのが、テーマじゃないかと感じています。
引用 -テイオーの長い休日公式ページより

熱護

相手に高いクオリティを求める以上自分も妥協してはいけないということを熱護は身をもって示します。

エピソードの難病の少年本人と対面して「青井選手の手の感触が印象的だっ」たという話を聞き、彼はその手の再現に取り組みます。

前回もそうでしたが、このドラマでは熱護が役作りをしているところはあまり見せないんですよね。
そこが大物俳優っぽくてカッコいいです。

このドラマでの“役になりきる”という表現は人格が憑依したかのように振舞うというギャグ要素が入っています。

しかし、おそらくマメでごつごつしているであろう手を再現するという究極の役作りは、熱護の真摯さを伝えてくれますし、さらにはその奥にある青井選手の人となりまで感じることができます。

だからこそ「もし青井選手ならこう言っていただろう」という熱護のセリフにも説得力が出てきます。

熱護の言葉通り、ちゃんと3台のカメラの映像を映したのも良かったですね。

このゴルフのシーンは武田鉄矢さん主演作品『織部金次郎』をモデルにしているそうです。
「入れーー!」っていうのは『織部金次郎』の有名なシーンですね。
オマージュしている作品をそれとなく示していたのも良かったです。
このシーンはよくバナナマンの日村さんがものまねしています。

ゆかりの長女・陽向(宮下結衣)

さて今回スポットライトが当たったもう一人の人物が陽向でした。
彼女はグループでダンスを踊っていたのに、コンテストが近づくにつれて、他のメンバーの欠点が気になり、足を引っ張られるぐらいなら自分一人で出場したほうが良いと考え始めていました。

「なぜダンスをしているのか?」、それは「みんなと踊るのが楽しいから」だったはずです。
それなのにいつの間にかコンテストが目的化して初期衝動が忘れられていたようですね。
陽向がすべきことは相手にいちいちダメ出しをすることではなく、彼女たちを信頼し、らのじょたちがベストを尽くせる楽しい雰囲気を作ることだったのでしょう。

角を矯めて牛を殺す(つのをためてうしをころす)とは? 意味や使い方 - コトバンク (kotobank.jp)

ただ、豆原の演出家という仕事はスペシャリストによる分業体制が基本なのに対して、ダンスは全員が同じ動きをするので協調性が重視されるという違いがあります。
「妥協しない」と言っても周囲に求めることが違うんです。
そのあたりが少しわかりにくかったかも。
普通にスポーツ系の部活とかの方が共通点は多かった気がします。

妥協しない男と妥協できない少女

撮影現場のスタッフたちの笑顔を見て彼女は改心します。

第3話のタイトルは「妥協しない男と妥協できない少女」でした。
前者は熱護、後者は陽向を指しています。

両者とも一見すると同じ意味のように思えますが、「妥協しない」とは自分のやるべきことを全力で取り組む姿勢を意味し、「妥協できない」とは周囲を信頼できず批判の矛先を周囲に向けてしまっていた陽向の姿勢を意味しているのでしょうね。

熱護が仕事を受けた理由

最後に熱護が心変わりして今回の再現ドラマを引き受けた理由が明かされました。
多少無理はある気もしますが、筋はとおっています。
熱護は子供嫌いのような風を装っていますが、教育者として優れていますね。

おわりに

ベーブルース風の話といい、やっていることはベタなんですけど、キャラクターが対比されているなど丁寧に作られている印象を受けました。

熱護の身をもって模範を示す姿勢って、よく聞く大物俳優の撮影現場での佇まいなどとも共通しているような気がします。