30インチで観ています。

映画やテレビドラマの感想を書いています

テイオーの長い休日【第8話感想】最終回

 

 

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています(詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください)。

船越英一郎さんの主演ドラマ『テイオーの長い休日』第8話は熱護大五郎がライバル桐林藤吾(大和田信也)とのオーディション対決に挑みました。熱護という人格が形成された若いころの出来事も語られ、最終回にふさわしい内容だったと思います。

放送日・あらすじ

放送日

2023年7月29日(土)23:40~フジテレビ系列で放送

あらすじ

あらすじ | テイオーの長い休日 | 東海テレビ (tokai-tv.com)

配信状況はこちらをご確認ください↓
テイオーの長い休日 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

相関図はコチラ↓
相関図 | テイオーの長い休日 | 東海テレビ (tokai-tv.com)

 

 

感想

大和田伸也さんのインタビュー

まず最初に公式サイトで大和田伸也さんのインタビューが掲載されているんですけど、この内容が非常に的確かつ簡潔にこのドラマを総括しています。
このドラマを観た方、これから観る方には是非読んでほしいですね。

最終回のゲストとしてだけでなく、ナレーターとしても本作に関わっていたからでしょう、ドラマ全体を俯瞰してとらえていますし、自身と2時間ドラマの関係や俳優としての変化についても触れています。

例えば

この『2時間ドラマ』という枠は、役者としていろんな役が演じられるところが大きな特徴なんです。連続モノだと、同じひとつの設定のなかで、その役をずっと半年くらい…長い時は一年以上ずっと続けてやることになりますが、単発2時間ドラマだと、それぞれの回で違った役を演じることができる。これは僕ら役者にとって、楽しみなことでした

テイオーの長い休日 トピックス

と、2時間ドラマの俳優にとっての魅力を語られています。
言われてみれば毎回熱護が多種多様な役柄を演じるというこのドラマの特徴は2時間ドラマの帝王だからこその設定なんですよね。

こんな感じで、2時間ドラマについて、船越さんとの関係、2時間ドラマの今後、コロナ禍と休日、変わるべきことと変わらないもの、俳優の素、などについて自身の体験を交えながら語っています。
このドラマの見方が変わる素晴らしい文章です。

熱護の誕生物語

この大和田さんのインタビューを読んでいただければ他に書くこともないですし、私自身このインタビュー記事の視点に依拠してしまっている部分があるのですが、一応最終回の内容を振り返りたいと思います。

今回の内容は「なぜ熱護は2時間ドラマの帝王になったのか?」をライバル桐林(大和田伸也)との関係から紐解く内容でした。

親友だった二人の関係がこじれたのは、『アーバンダイバー』のオーディションで熱護が役者を廃業する寸前の桐林に同情し役を譲ったことに端を発します。

この時の二人の想いが役を女性に置き換えてエチュードとして再現されます。
萩原がエチュードとは思えないクオリティに驚嘆していましたが、彼らにとってはあれは即興劇ではなく何十年にも及ぶ彼ら自身の物語だったんですね。

桐林は「熱護なら譲ってくれるかも」という人のやさしさにつけこんだ自身の卑しさを自覚し、熱護に対して引け目を感じ、また彼に報いるために海外という厳しい環境を自分に課したのかもしれませんね。
一方の熱護も役者として役に徹することが出来なかった後悔からストイックに役を演じっるようになったのでしょう。

相手に気を遣わせないようにこっそり身を引く熱護の不器用なやさしさが良く表れた印象的なエピソードでしたね。
「譲ったんじゃない、託したんだ」みたいなことも言っていましたし、熱護だって役者として認めている桐林だから譲った部分はあるんでしょうけどね。
どことなく『蒲田行進曲』を想起しました。

2時間ドラマの意義

2時間ドラマは10年ほど前から徐々に縮小し、現在ではほぼ消滅しました。
背景には視聴環境の変化があるんだと思います。

そして、配信サービスが主流となった現在でもおそらく2時間ドラマが復活することはないでしょう。
長いものが見たければ配信されている映画を観れば済む話ですから、2時間ドラマをわざわざ制作する必要性は無いように思います。
あるとすれば、それは2時間というのが何かを語る上での最小単位だということでしかない気がします。

そもそも2時間ドラマというのは非常に俗物的というか、文化的価値がほぼない代物なのかもしれません。
だからといって全く無価値であるかと言えばそうでもないんですよね。
ジョディ・ハリス(太田緑ロランス)の口から語られていましたが、作り続けていることに意義があるんだと思います。
予算の不足を創意工夫や作り手の情熱でカバーし、作り続けることでノウハウは蓄積されるわけですし、制作側の雇用や俳優の出演機会も確保されてきた側面もあるのではないでしょうか?
灯を絶やさなかったことで、バトンを次世代につないだことこそが2時間ドラマの果たした役割なのかもしれません。

熱護たちの変化

萩原はオリプロに戻ってきますし、持ち逃げされたお金も半分返って来て、ゆかりたちは新居に引っ越し、全てが元に戻っていきます。

「熱護の休日も変わらず続くのでした。」って感じで終わっていくのですが、すべてが変わっていないからこそ変化が強調されるというか、偏屈おやじにしか見えなかった熱護がちょっとだけ変わっているんですよね。
カレーを食べて「意外とおいしい」とか言ってますし、食わず嫌い、門前払い的な態度からチャレンジしてみる姿勢、知らない世界を覗いてみようという姿勢に変わっています。

おわりに

体育館みたいな場所で撮影しているなど安っぽい場面は多々ありますし、最終回がこれまでの流れをすべて総括するものかと言えば微妙な気もしますが、最終回単体として見れば十分満足のいく出来だったと思います。
続編も作ろうと思えば作れるんでしょうね。
片平なぎささんあたりに出演してもらって熱護の過去の恋愛とかを扱えば面白いのかも。
全編を通した感想は各話の感想をまとめたページに近日中に追記します。