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それでも、生きてゆく 各話感想まとめ

 

 

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各話感想

木曜日22:00~フジテレビ系列で放送

第01話 2011年7月07日
第02話 2011年7月14日
第03話 2011年7月21日
第04話 2011年7月28日
第05話 2011年8月04日
第06話 2011年8月11日
第07話 2011年8月18日
第08話 2011年8月25日
第09話 2011年9月01日
第10話 2011年9月08日
第11話 2011年9月15日

配信状況はこちらを参考にしてください↓
それでも、生きてゆく - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

基本情報

脚本

坂元裕二

『mother』で高い評価を受けた翌年の作品です。

この後『最高の離婚』『カルテット』など評価の高い作品を生み出していきます。

もともと『東京ラブストーリー』の脚本家としてトレンディドラマのイメージが強かった同氏が作家性を強めていく過程の作品かも。

主題歌

小田和正「東京の空」

出演

被害者・深見亜季の遺族

深見洋貴(瑛太)長男
深見達彦(柄本明)父
日垣耕平(田中圭)次男
野本響子(大竹しのぶ)母

加害者・三崎文哉の家族

遠山双葉(満島ひかり/山本舞香)長女
三崎駿輔(時任三郎)父
遠山隆美(風吹ジュン)母
遠山灯里(福田麻由子)次女(事件当時は生まれていない)

全体の感想

まず最初に

私はこのドラマは2010年代を代表する傑作ドラマの一つだと思います。生きることへの肯定的なメッセージは感動的でした。

その上で細かく良かった点・悪かった点を書きます。

キャラクターの濃淡

被害者遺族と加害者家族の物語なのですが、単純な2項対立にならないように細かくキャラクターが設定されています。

事件当時はまだ生まれていない灯里が最もわかりやすい例で、事件当時の年齢やそれぞれの背景などで同じ家族内でも事件に対するとらえ方や15年の事件との向き合い方は異なります。

そのためどのキャラクターにも等しく感情移入できるのが特徴的です。

時事

東日本大震災や、サッカーワールドカップなど時事ネタを取り入れています。

そもそもこのドラマの題材となった事件とほぼ同じ1996年に事件を設定しており、15年間を描いているため、2011年の日本である必然性があって、時代性というか実在感があります。

日本のどこかでこの2つの家族のようにワールドカップを観ていた人がいるかもしれない、そんな想像を掻き立てられます。

坂元裕二

坂元裕二らしいセリフ回しや日常のアイテムを使ったちょっと笑える展開などが大量に盛り込まれていて飽きません。

一言でいえば会話のセンスがいいです。

特に凧やナイフ、冷凍ミカン、金魚、時計など象徴的なアイテムは印象的でした。

わざとあやふやなセリフにすることで混乱して頭の中を整理しきれていない様子を示すなどの工夫も見られました。

フランダースの犬

このドラマは幼い亜季が思った素朴な疑問「なぜ辛いことばかりなのに、生きているの?」「生まれてこなかったほうが良かったんじゃないの?」という疑問に答える形で進んでいきます。

タイトルの「それでも、生きてゆく」とはこの問いに対する答えですし、悲しみに向き合うこと、つらい過去を過去のままで終わらせないことでその向こう側へたどり着けるかもしれないというメッセージは感動的です。

「それでも」の「それ」が指すものは登場人物によって異なります。いろんな苦しみや悲しみがある、それでも生きていくんだという力強さ、人間に対する肯定は辛い話なのに不思議と元気が湧いてきます。

文哉の描き方

ここからは若干微妙な点です。

文哉が15年前の加害者という設定を超えて、新たに罪を犯してしまうというのは賛否あるんじゃないかと思います。

しかもその犯行の動機を病的なものなのか、単なる言い訳なのかあいまいにしている部分もあって、微妙です。

文哉が現在どうしているのか、何をやっているのかは描かないほうが良かったんじゃないかと個人的には思っています。

描くことでいろんな可能性の中から一つを選んでしまうっことになるからです。

あくまでこのドラマはフィクションであって、実在の事件とは関係ないことを再確認しておきたいですね。

変な結末

双葉が被害者の母親代わりになるという結末は納得いきません。

そもそも加害者家族は加害者ではないわけで、本人が決めたことだからとはいえイマイチ飲み込めません。

「加害者家族は加害者ではないから楽しく生きていいよ。でもわかってるよね。」的な無言の圧力を感じます。

駿輔が文哉と向き合うのは家族の問題として理解ができるんですけどね。

文哉と母親の関係についてもいえることですが、母性に対して過剰に何かを求めている感じが個人的にはしてしまいました。

母親がいないということはそんなに不幸なことなのか?という疑問は感じます。

まとめ

不満点も書きましたが、それは私の読解力が足りないせいかもしれません。

不満点を考慮したとしてもこのドラマは間違いなく面白いですし、観る価値があります。

10年以上前の作品で配信も限られているので観る機会はほかの坂元裕二作品より少ないかもしれませんが、機会があれば是非見てほしい作品ですね。