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それでも、生きてゆく第1話~被害者遺族と加害者家族の物語


 

 

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放送日・あらすじ

放送日

2011年7月7日(木)フジテレビ系列で放送

あらすじ

www.fujitv.co.jp

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感想

1996年

舞台は静岡に設定されています。「少年A」という呼称や細かな設定からもからも神戸連続児童殺傷事件をモデルにしているのではないかと思います。

半年ずれているのはこのドラマが夏の放送だったから、そして夏休みのほうが都合がいいからでしょう。

神戸連続児童殺傷事件 - Wikipedia

 

当時の流行や時事が取り入れられています。
洋貴の父親(柄本明)が打っていたパチンコ台は1996年の”CR大工の源さん”でした。

CR大工の源さん - Wikipedia

渥美清さんが亡くなったのは1996年8月4日です。訃報が公表されたのが8月7日だそうなので事件前日だというのも現実通りです。

渥美清 - Wikipedia

洋貴(瑛太)が借りていたビデオのAV女優も実在するようです。

冒頭

初回の冒頭は事件当日の様子を上述の時事を取り込みながら描きこんでいます。
子供が湖畔で凧揚げをしており、傍らの男の子が金づちを取り出すんですね。
そして犯行の瞬間は水面に映るのみで、描写が詩的というか絵画的というか、とても印象的でした。

一本の糸で繋がれただけで空中を漂う凧の頼りなさが少女の運命と重なります。

15年後

被害者遺族と加害者家族の二つの視点からストーリーは展開していきます。

それほど説明があるわけではありませんが、被害者遺族の洋貴のもとを訪れた釣り客が「被害者遺族らしいよ」と噂されていたり、家族は離婚を経てバラバラになっていたり苦労の様子がうかがえます。

加害者家族も肩身の狭い思いをしているようで、何者かの密告により双葉(満島ひかり)は婚約を破棄されたり、父(時任三郎)は仕事をクビになったりで転居せざるを得なくなっています。

どちらに肩入れするわけでもなく、それぞれの苦難も描いていますね。

双葉と洋貴の出会い

双葉は密告者を探していて、洋貴を疑っていました。
一方の洋貴は双葉を自殺志願者なのではないかと思って気にかけます。

本来の立場とは違う形で、むしろ双葉は被害者意識すら抱えて出会うのが工夫されているところです。

というのも、その後ファミレスで洋貴が妹を殺された話を事細かく話すんですね。
双葉は寛貴たちの15年間の苦悩を目の当たりにして、被害者意識からスタートしている分、大きく突き落されるんです。

罪悪感

寛貴も父も事件当日の自分の行動を悔いています。
寛貴はビデオを借りていたし、父はパチンコをしていたし、ほめられたことをやっていなかったんです。
特に寛貴は妹を放って出かけてしまいました。

あの日渡せなかった靴とか、押し入れに入っていた借りたままのレンタルビデオなど止まっていた時間の描写が胸を打ちます。

忘れようとしても忘れられない悲しみや憎しみ、そして犯行を美しい思い出として記憶しているかのような元少年の絵を見て、自身の死が迫ってきた時に父は覚悟を決めました。

その明らかに間違った決意が寛貴にも伝播していき、危うい方向に進んでいくんですけど、視聴者には止めるすべがないというか、重すぎる二人の過去を見せられた後だと見守るしかないんです。

思い立って凧を作って飛ばす感動的なシーンから復讐へと気持ちを固めるのがやるせないです。

フランダースの犬

フランダースの犬 | 作品紹介 | NIPPON ANIMATION

フランダースの犬って結末は知っていたんですけど、内容は覚えてなくて改めて調べてみました。
かなり悲しいお話ですね。

亜季の「ネロは生まれないほうが良かったんじゃない?」という疑問は『それでも、生きてゆく』というタイトルにも呼応しますし、ネロは絵が上手かったところは三崎文哉(風間俊介)とも重なります。

今後重要な意味を持ってくるのでしょう。

その他

「地震の時どうしてました?」と東日本大震災の話題が登場していました。
放送当時はまだ地震発生から半年も経過していない時期でした。

賛否はあるかもしれんが、このドラマは2011年の男女を描いている以上、地震のことに触れないのは不自然と考えたのかもしれませんね。

冒頭の1996年の描写といい、今この現実社会のどこかにもいる被害者と加害者の家族を描こうということだと思います。