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辛い話なんだけど止まらなくなりますね。非常にち密に練り上げられていて退屈しません。
放送日・あらすじ
放送日
2011年7月14日(木)22:00~フジテレビ系列で放送
あらすじ
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それでも、生きてゆく - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ
感想
行方不明者
前回三崎文哉に遭遇したものの取り逃がした洋貴に双葉は素性を明かします。
「なんで今まで探さなかったんですか?」というセリフがこの回を引っ張っていきます。
というのも、小さい子供が周辺で行方不明になったというニュースが舞い込んでくるんです。
このドラマはサイコスリラーではないし、まだ第2話なので、このニュースが三崎文哉と無関係だろうという予測は視聴者にも容易にわかるし、実際にそうなのですが、「ひょっとしたら」という思いが心のどこかにあるんです。
そして、空に捜索や報道関係のヘリコプターが飛んでいるんです。
事件や事故が起きた時にヘリコプターがたくさん飛んでいるのを見かけたことがある人は多いと思います。
このヘリの音が「15年前も飛んでいたのかな?」って連想させるんですよね。
恨みのやり場
このドラマの大きなテーマの一つであり、第2話の中心にあるのは、被害者家族と加害者家族は分かり合えるのか?というテーマです。
少年法とかはとりあえず置いておいたとして、亜季を殺害したのは三崎文哉であってその家族ではありません。
「恨むんなら父じゃなくて三崎文哉だろ」という言葉は視聴者の思いも代弁しています。
でもそれを安易に口にできない説得力がこのドラマの魅力なんです。
自分たちが辛い思いをしているのに加害者家族が笑っていることは赦せないという思いや、逆に息子が罪を犯した以上自分たちは幸せを願ってはいけないという思いがどうしても浮かんできてしまうんですよね。
その象徴がクリスマスケーキと口紅です。
年齢差
双葉の妹・灯里というキャラクターは事件当時まだ母親のおなかの中にいて事件を知らないし、兄とも会ったことがありません。
加害者家族でありながらどこか他人事なところがあります。
「お姉ちゃんみたいにお兄ちゃんに人生を決められたくない」というセリフはさりげないけど後に効いてくるんですよ。
また、洋貴の弟・耕平も洋貴に比べれば事件から距離があります。
こういう濃淡を家族の中に設けているのが面白いです。
耕平が言っていた「失ったものを数えるな」というセリフはワンピースのジンベエのセリフです。60巻に登場します。
60巻が出版されたのが2010年の11月なので1年ほど前にあたります。耕平はジャンプを読み続けている熱心な読者なんでしょうか?
お兄ちゃんとの思い出
猫を助けた話(これも後で効いてきます)や「夏祭り中止になってごめんな」っていう手紙は三崎文哉の犯罪者ではない別の側面をあらわしています。
人を殺害しておいて夏祭りのことを謝るのは世間一般では許されないですが、兄弟という関係の中では妹想いの一面でもあり、行間からはいかようにも受け取れるんです。
この優しい兄と人を殺した兄という矛盾、加害者家族という生き辛さを整合させるために、まだ幼い双葉は冤罪かもしれないと考えるようにしていたんですね。
灯里の言葉を受けての「自分で人生選んだんです。」という双葉のセリフは、兄を嫌いになる、憎む、あるいは無関係だと割り切る選択肢もあったけどそれをせずに、兄を信じて生きる道を選んだということでしょう。
ひなげしの花
猫を葬った際に植えたひなげしの花は双葉にとって兄の犯行を確信するに十分な物です。
この残酷な現実と過去に双葉が兄に宛てて書いたウソの手紙の内容が対比されていて胸を打ちます。
手紙の中にはまるで事件が無かったかのように幸せに暮らす家族の様子が描かれていて「お兄ちゃんの無実を信じています」と締めくくられています。
この双葉の考えた幻想がひなげしの花により崩れているんですよね。
前回の妹の顔を忘れかけていた洋貴といい、15年間現実に向き合うことを避けていた二人がその過程で忘れていったことがよみがえってくるんです。
その一つが昔兄に殺されかけたという事実なんですが、これは生存者の苦悩的な要素なので若干本題からはズレるのかも。
共感
洋貴は双葉との交流を通じて加害者家族も苦悩を抱えていたことを知ります。
そしてその苦悩は自分たちと似た境遇かもしれないとも考えているんですよね。
洋貴の言うワールドカップとは2010年の南アフリカ大会のデンマーク戦のことです。
大体一年前の出来事ですね。
本田選手のフリーキックで先制し、遠藤選手のフリーキックで突き放しました。
【ワールドカップヒストリー#第13回】「2010FIFAワールドカップ 南アフリカ」第3戦 vs デンマーク|JFA|公益財団法人日本サッカー協会
まとめ
夏祭りやクリスマスケーキなど15年間の時の経過を示す子供っぽい思い出やワールドカップ、ワンピースのような当時の流行、ひなげしの花のような象徴的な物などいろんなアイテムがストーリーに深みを与えていますね。