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目黒蓮さん・有村架純さん出演ドラマ『海のはじまり』第12話が放送されました。最終回では幸せとは何か?という大きなテーマにこのドラマとしての結論を出しており、非常にきれいな終わり方だったと思います。やっぱり津野が素晴らしかったですね。
放送日・あらすじ
放送枠
フジテレビ 月曜日 21:00~
放送日
2024年9月23日
公式サイト
基本情報
原作
ありません
脚本
⽣⽅美久
キャスト
月岡夏 目黒 蓮
百瀬弥生 有村架純
南雲海 泉谷星奈
月岡大和 木戸大聖
南雲水季 古川琴音
津野晴明 池松壮亮
南雲朱音 大竹しのぶ
相関図はコチラ↓
https://www.fujitv.co.jp/uminohajimari/chart/
感想
生方脚本
私は、生方さんの脚本が特段好きでも嫌いでもないのですが、今回視聴している中で、今までぼんやりと感じていた生方さんの作品特有の“あの感じ”の正体がなんなのかわかったような気がしました。
私がそれを強く感じたのは夏の母がかぼちゃを食べるように勧めるシーンです。
このシーンは落ち込んで朝食を食べる元気すらわかない海に対して、朱音がおにぎりを勧めるシーンから連なっています。
「悲しいことがあったとしても生きていかなければならない」というメッセージ自体ではなく、その表現が生方作品らしいなぁと感じたんですよね。
簡単に言えば、阿吽の呼吸であらゆるキャラクターたちが共鳴しながらストーリーが進んでいくんです。
特に会話を交わさなくとも相手の心を読み取り、そして受け手の側でも相手の意図を誤解せずくみ取るコミュニケーションが随所に登場します。
それができる人たちの間でだけ生まれるグルーヴ感や共感の輪が、それを感じ取れる視聴者との間で共有されたときに「なんかいいなぁ」ってなるんじゃないかな?
疎外
別に私もその感じは嫌いではないですし、『いちばんすきな花』のほうがこの仲間内の感じは強かったと思うので、それを批判しているわけではありません。
ちょっとキャラクターが脚本家の言葉をそのまましゃべっているように見えてしまうときがあったり、キャラクター同士の会話のはずが一人で喋っているように見える時があったりはしますが……。
ただ、私がこのドラマを最終回まで見ていて印象に残るのはその共感の輪の中に入れないキャラクターに出くわした時なんですよね。
まず、夏の先輩ですね。
このドラマではあの職場の先輩は一種異様な人物に映っています。
しかし、実社会では彼のほうが普通です。
彼は夏の言葉にある背後にある事情をそこまで知らない、知っていても深入りしないだけで、言っていることはそれほどおかしくないんですよ。
二人目は夏の実の父親です。
とくに初登場のシーンでは、ドラマの空気を大きくかき乱してくれましたよね。
最終的には夏に父親としての経験を語るのですが、最初の衝突があっただけで全く印象が違いました。
津野
いま私は、キャラクターが備えている共感力の話と、脚本上のキャラクター同士の共鳴の話をごちゃまぜにして書いています。
うまく自分でも整理できていないので、非常に読みにくく理解しがたい文章になっているかと思います。
要は何を言いたいかというと、津野が最高だったということです。
夏に対してつれない表情を見せていたかと思うと、実はケーキを隠し持っていて扉が閉まった瞬間に切り替わるさまもおかしいですし、そのあとの「甘やかすな、と親みたいなことを言うようになった」というセリフにもグッとくるんですよね。
彼がもし親になっていたら、あんな素敵な関係性が別のものになっていたでしょうし、夏を親として認めていることも示唆していますね。
「友達って二人でケーキをこっそり食べる関係だよね」みたいなこのドラマにありがちな上手いセリフを挟まなかったのも良かったです。
津野が意図的に夏を拒絶するキャラクターだということもあるとは思いますが、津野からは脚本を超えた実在感を感じるんですよね。
絵本の朗読の様子なんて彼の声は入っていないのですが、その表情からどんなお話を読んでいるのかも伝わってきます。
とにかく池松さんの演技は素晴らしかったです。
幸せとは
ドラマも佳境に入り、水季の遺した手紙を通してドラマ全体を総括する内容へと入っていきましたね。
- 親の役割は選択肢を子供に与えることであり、親だって誰かの子供であるのだから、その選択肢を自分で選んでよい。
- 幸せかどうかは他人が決めることではなく、自分が選んだ選択肢を後悔せず生きることができたのならそれは幸せなのだ。
- 何かを選ぶということは何かを捨てることも意味するが、それは「犠牲を払った」わけではなく、幸せになろうとして選び取っただけだから肯定的に捉えるべきだ。
- 何かを選んだからといって他のすべてが消え去るわけではなく、少なくとも思い出は自分の心にも、相手の心にも遺り続ける。
ざっくり言うとこんな感じでしょうか?
非常にいいメッセージだと思います。
あり得たかもしれないもう一つの人生との比較ではなく、今この人生を懸命に生きることに幸せを見出すことは、過去の自分も肯定することになるのかもしれません。
おわりに
特に消化不良というわけでもなく、綺麗な終わり方だと思います。
ラストの海辺のシーン、波が高すぎるのはちょっと気になりました。