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海のはじまり(フジテレビ・月曜9時・目黒蓮/有村架純)第11話感想

 

 

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目黒蓮さん・有村架純さん出演ドラマ『海のはじまり』第11話が放送されました。シングルファーザーとしての責任感からか、海の抱えた喪失感に寄り添うことができない夏と海の間に大きな亀裂が生じました。最終回に向けて夏の過去に目を向けざるを得ない展開になっています。

放送日・あらすじ

放送枠

フジテレビ 月曜日 21:00~

放送日

2024年9月16日

公式サイト

海のはじまり - フジテレビ

基本情報

原作

ありません

脚本

⽣⽅美久

キャスト

月岡夏  目黒 蓮
百瀬弥生    有村架純
南雲海     泉谷星奈
月岡大和    木戸大聖
南雲水季    古川琴音
津野晴明    池松壮亮
南雲朱音    大竹しのぶ

相関図はコチラ↓
https://www.fujitv.co.jp/uminohajimari/chart/

感想

あれ?最終回じゃない!

日本のテレビドラマは全10話のことが多く、月9の場合は大体11話ぐらいのイメージがあるので、今回が最終回だと思い込んでいたのですが、どうやらもう一話あるようですね。
途中まで最終回だと思い込んでいたので、いつまで経っても暗い展開が続くことに不安になっていたのですが、なんか安心しました。

友情出演

今回は海の心の揺れに焦点が当てられ、それ以外はそれほど大きな事件が起きていないので、あまり書くことがないんですよね。
とりあえず、気づいたことから順番に書いていきます。

今田美桜さんが友情出演されていました。
弥生と海が訪れた美容室は2023年のテレビドラマ『一番好きな花』に登場しています。
このドラマの脚本化である生方さんの作品でもあることから出演されたのでしょう。
美容室で髪を切り、トリートメントをするという行為は、このドラマ内では金銭的にも時間的にも余裕がないシングルマザーには贅沢な行為として描かれていました。
弥生が海と美容室を訪れたということは母親にはならないという意思の表れなのかもしれません。

海を演じている泉谷星奈さんは『いちばん好きな花』の中では今田美桜さんの幼少期を演じていましたね。

https://www.fujitv.co.jp/uminohajimari/news/news23.html

こういうのって生方さんの作品を追っている人に向けたファンサービスの側面があります。
少し内向きな感じがして個人的にはそれほど好きな演出ではないのですが、美容室自体がこのドラマで意味をもって登場していますし、単なるファンサービスにとして無理やり登場させたわけではない点はよかったと思います。

家出

さて、今回のメインとなるストーリーは海の家出でした。
夏は大学生の時に別れた時から水季との時間は止まっています。
水季の死は彼にとってもショックだったとは思いますが、喪失感とは少し違うんですよね。
このドラマでは主に津野の口から「シングルマザーとして奮闘し、病気に苦しむ水季の側に夏はいなかった」という事実がこれまでも何度か語られています。
今回はそれを海から指摘され言葉に詰まるという展開になっています。
例えば鍋一つをとっても、水季と過ごした人たちにはその痕跡が生活のいたるところに残っていて「確かにここにいたんだ」という手触りをかみしめて生きています。
「水季のいたころはこうだったのに、今は...。」という比較の中で、彼女の不在と逆に存在も感じています。

一方で、水季との間に断絶があるうえに、シングルファーザーとして今や将来に向けて気負っている夏には「今この場に水季はいない」という事実しか見えなくなっているんですね。
同じ「いない」という状況でも、その奥に水季を感じているかどうかで分かり合えない姿は見ていて辛いものがありました。
「別れた時に捨てた」という夏の何気ない言葉の破壊力はすさまじいです。
最初から「いない」のと「いなくなる」ことの大きな差が二人の間に横たわっています。

残酷な一言

私を含め視聴者の多くは子供ではないので、懸命に父親としての使命を果たそうともがいている夏に同情的にこのドラマを見ているのではないかと思います。
少なくとも私は「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」と夏に肩入れしながら見ていたのですが、徐々に夏の言動の雲行きが怪しくなっていくんですよね。
特に「『いないほうがよかった』とか言わないで」というセリフを夏に言わせる意地悪さが強烈です。
私たちは夏が一旦は中絶に同意したことも、海が生まれていたことを知って「厄介なことに巻き込まれた」と思っていたことも知っていますからね。
夏は学生時代のあの瞬間、「付いてこなくていい」と言われ、言われるがままに立ち去ったあの瞬間に思いをはせています。
一緒にいないことを選んだのは紛れもなく自分だったことに思い至り、彼の中にまだ残っているであろう被害者意識に強烈なパンチをお見舞いされてしまいました。
もう戻らない過去、後悔の念の中で彼はこれからどのように生きていくのでしょうね。

おわりに

これで本当に残すところ1話となりました。
戻らない過去とそれでも生きていかなければならない現実という深刻なテーマをどのように描くのか注目ですね。
夏にはかわいそうな面もありますが、夏の鈍感さには確かにイライラしますね。