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TOKYO MER 全編を通した感想

 

 

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鈴木亮平さん主演ドラマ『TOKYO MER』の全話を視聴し終えたので、各話の感想や作品の基本情報をまとめつつ、ドラマ全編を通した感想を書きたいと思います。卓越したキャスト演技に加え、時事問題も盛り込んだ意欲的な脚本により回を増すごとに面白くなっていった印象です。

各話感想

日曜日21:00~TBS系列で放送

第1話 2021年7月04日 MERの結成
第2話 2021年7月11日 弦巻医師の成長物語
第3話 2021年7月18日 立てこもり事件
第4話 2021年7月25日 トンネル事故と心臓移植
第5話 2021年8月01日 エレベーターでの出産
第6話 2021年8月08日 蜂
第7話 2021年8月15日 外国人労働者
第8話 2021年8月22日 線状降水帯での孤立
第9話 2021年8月29日 消火設備の事故
第10話 2021年9月05日 大学で爆破テロ、初の死者
第11話 2021年9月12日 椿との対決、MERの存続
スペシャル 2023年4月16日屋形船の事故

配信状況はこちらを参考にしてください↓
TOKYO MER~隅田川ミッション~ - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

相関図はコチラ↓
相関図|TBSテレビ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』

 

基本情報

脚本 

黒岩勉

『グランメゾン東京』や『マイファミリー』などTBS日曜9時のドラマの脚本を多数担当されています。

まもなく放送される『ラストマン』の脚本もこの方です。

主な出演者

喜多見幸太(鈴木亮平)救命救急医
音羽尚(賀来賢人)厚生労働省医系技官
弦巻比奈(中条あやみ)研修医
蔵前夏梅(菜々緒)看護師
冬木治朗(小手伸也)麻酔科医
徳丸元一(佐野勇斗)臨床工学技士
ホアン・ラン・ミン(フォンチー)ベトナム出身の看護師
赤塚梓(石田ゆり子)東京都知事

全編を通した感想

演技

俳優陣の演技は素晴らしかったです。
酷暑の中の重装備など体力的にも大変だった撮影を連続ドラマというタイトなスケジュールの中で完遂したのがまず素晴らしい。
特に鈴木亮平さんの演技の説得力はすさまじく、医療用語を完全にマスターし、的確に指示を与える様子は実在感がありました。

時事ネタ

地下駐車場での消火設備事故、トンネル事故、ゲリラ豪雨による孤立など実際に起こった事故を参照しているため、リアリティがありました。
このドラマは視聴者にMERという架空の組織がもし実在していれば助かる命があるかもしれないと思わせられるか否かが肝心です。
そのためには実際の事故の中にMERを組み込み、現場に医師がいてその場で処置ができることのすばらしさを示すことが最も有効です。
そしてその取り組みはおおむね成功していました。

ただ、一部実際の事故を軽いほうに改変していたり、なぜその場で処置しなければならないのかの説明が少ない、結局気合いで解決する、などの問題点も感じました。

終盤ではコロナ禍という中で医療従事者やその他の現場で頑張る人々に対して敬意を払う演出も2021年の医療ドラマには不可欠なものですし、このドラマのテーマをより普遍的な物にしています。

ベタな展開

このドラマは基本的に事故があり、駆け付けて救助する、その間に組織の軋轢が生じるというパターンで構成されています。
そして赤塚と白金、音羽と喜多見、喜多見と椿などキャラクターが対比関係で配置されていて構造を見失うことはありません。
非常に単純明快でエンタメ作品として敷居が低いのが良い点です。

緊迫感を伝える演出

このドラマは医療ドラマですがレスキューの要素も大きいです。
救助の場面でも緊張感が伝わる演出にたけていました。
特にタイムリミットの設定が毎回うまくて、「心臓移植に間に合わせるため」とか「二酸化炭素の濃度が上昇するため」とか「バッテリーが切れてしまうため」とか、理屈に合っていて絶妙な制約を設けていました。

他の救命系のドラマでは道具や物資の制約で緊張感を与えることが多いですが、このドラマでは比較的物資はそろっているためタイムリミットが有効だったのかもしれませんね。

ストーリーの飛躍

特に10話、11話のストーリーの飛躍は優れたものがありました。
「こんなのは荒唐無稽だ」という批判に対して、「だからこそ意味があるんだ」と逆転させて見せたのは良かったです。
人は何のために生きているのか?目の前の命を救うとはどういうことか?という本質的な問いにまで到達しています。
「MERは特別な存在ではない」として象徴的な存在にまで昇華させ、誰かのために頑張ることのすばらしさとして普遍化しているのもいいですね。

日曜劇場の悪癖

ここからは悪い意見です。

「ほとんどの人は素晴らしい、悪いのは一部の人間だ。もし一般人で悪い人がいるとすればそれは悪いのではなく弱いだけだ。」というのは日曜劇場全般に言える価値観なのかもしれません。
おそらく視聴者層である平日は汗水たらして働き、日曜日の夜にドラマを見てスカッとしようという人たちに配慮しているのでしょう。
このドラマでは現場で働く人に悪い人はおらず、政治家が諸悪の根源とされていました。

別に観戦懲悪のエンタメとしてそれでもいいですけど、社会問題を我が事としてとらえるように問題提起するタイプのドラマにはなりきれませんでした。
特に7話の外国人労働者の問題の扱い方にはこの欠点が如実に表れています。

トリアージ

このドラマでは医療資源を効率的に配分するトリアージという手法が紹介されています。
しかし、同時に死者ゼロを強調しすぎているため、効率性がもたらす一種の非情さが伝わってきません。
冒頭に喜多見の両親がトリアージで救えないと判断されてしまうところはあるんですけど、少なくとも喜多見がトリアージをする側として黒タグに手をかけるシーンぐらいはあってもよかったんじゃないかと思います。

まぁ、最終回まで観れば納得できる部分もあります。
もしこのあたりの荒唐無稽さが引っ掛かって視聴を止めた方は一度全部見てから判断してみてもいいかもしれません。

まとめ

最初の3話ほどは正直それほど面白くありませんし、荒唐無稽さが際立っていますが、回を重ねるごとに面白くなっていきます。

特に10話、11話の持つメッセージ性は優れたものがあります。

私は9話のストーリーが一番好きでした。