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TOKYO MER 第11話~素晴らしい最終回

 

 

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放送日・あらすじ

放送日

2021年9月12日(日)21:00~TBS系列で放送

あらすじ

www.tbs.co.jp

配信状況はこちらを参考にしてください↓
TOKYO MER~走る緊急救命室~ - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

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相関図|TBSテレビ『TOKYO MER~走る緊急救命室~』

 

 

感想

MERの存続

前回涼香を救えなかったことで失意のどん底にある喜多見は自分がこれまで掲げてきた理想を疑い始めます。

両親を殺されたことをきっかけに医療の道を志したのに再び妹を失い、しかもその遠因には全員救うという喜多見の理想があるということで、これまで正しいと信じていたものが揺らいだのでしょうね。

音羽は官僚への復帰を願っていた涼香の思いを無駄にしないために医療改革を進める力を得るため出世に徹しようと決意したようですが、まだ迷いがありそれが審議会で発露されます。

ワクワク体験会のお礼に子供たちが持ってきたお菓子はチョコ味でした。

9話で音羽が涼香にリクエストしたものですね。

最終審査会

天沼の存在がこのドラマを陳腐にしています。

MERがテロリストの隠れ蓑になっていたとかそういう批判は喜多見の資質に関するものであって、MERの存在意義とは無関係なんです。

天沼はあえてそのあたりをごちゃ混ぜにして世論を形成しようとしているのですが、音羽はその文脈を否定しないんですよね。

そのため何の話し合いをしているのかよくわからないんです。

現場で目の前の命を救うのか、出世して医療の平等を実現するために尽力するか、という二択は音羽個人の問題としては二者択一でしょう。

しかし国全体で考えれば「どっちもやればいいじゃん」ってことになります。

ここは否定も肯定も「MERは青臭い理想に過ぎない」という点に集約するべきだったんじゃないかな?

そうすれば、だから不要だという考えもあれば、だからこそ必要だという意見があるのも自然ですからね。

音羽のの演説には喜多見の言葉が引用されていましたし、コロナ禍で困難に立ち向かう医療従事者への思いが込められていました。

白金大臣の覚醒

このドラマには貫かれている大原則があります。

それは徹底した現場主義です。

現場の人間はプロフェッショナルで常に素晴らしく、立場の違いはあっても分かり合える。逆に政治家のように安全な場所にいる人間はろくでもないというものです。

白金大臣は医系技官という過去があります。音羽のように医師として活動したことがあるのかは不明ですが、現場寄りの人間なんです。

だからこのドラマの原則からすれば白金大臣が覚醒するのは当然なんです。

でもだからといってIPS細胞を用いた心筋組織の移植を認可するのはダメだと思いますね。

これをやってしまうとテーマがブレる気がします。

MERの象徴

赤塚知事は「喜多見はMERの理念そのものだ」と言っていました。

これは非常に漠然としているのですが、鈴木亮平さんが演じる喜多見が登場すると「なるほどそういうことか」と納得させられるほど説得力がありました。

「医師の喜多見です」という声を聴くと、もう大丈夫だという安心感が自然とわいてきます。

音羽が先ほどの演説で述べていた喜多見の唱えてきた青臭い理想、医師から現場に出向き全員の命を助けるというMERの理念が確かにこの現場に体現されているんです。

そしてMERの活動を通じてこれまでに築き上げた信頼が周囲の協力という形で返ってくるんですね。

命を救うという目的のために全ての人が自分にできることを全力でするという姿は感動的です。

椿が最期に突き付けた問題

椿はテロリストではありますが特に目的があるわけではありません。

喜多見の理想や良心を脅かす悪魔のような存在として描かれています。

前回椿の挑戦に一度は屈したものの再び立ち上がった喜多見に椿は最後の挑戦をします。

自身が撃たれることで「目の前の命を救う」という彼の信念は本当かを試すんです。

妹が死んだのは喜多見が彼を助けたからです。

もしまた彼の命を救えば再び誰かを殺すかもしれません。

そういうコンフリクトを抱えても喜多見は救う方を選びました。

医師として目の前の命に向き合うことは人間の良心に期待する行為なのかもしれませんね。

これは喜多見が椿に勝利したことを意味しています。

MERは特別な存在ではない

最後に音羽は「MERは特別な存在ではない」とこのドラマを締めくくります。

コロナ禍で奮闘している医療従事者、あるいはそれ以外でも誰かのために頑張っている人は確実にいて、そういう人たちに対する敬意にあふれたラストでした。

視聴者に対しても「あなたも誰かのために頑張りましょう」と呼びかけるものでもありますね。

最後に出動した屋台船の事故は2023年のスペシャルドラマで登場します。

まとめ

音羽と喜多見が一話と逆の構図になっていたり、ドラマの最初と最後が出動で統一されていたり構造としても完成度が高いドラマでした。

展開自体はベタですけど、高尚なテーマも扱っていて傑作であることは間違いないでしょう。

全体を通した感想は別に書きます。