30インチで観ています。

映画やテレビドラマの感想を書いています

フェルマーの料理【第4話感想】顔の見えない客

 

 

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています(詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください)。

高橋文哉さん、志尊淳さん出演ドラマ『フェルマーの料理』第4話が放送されました。岳がプロの料理人になるための試行錯誤と、蘭菜が女性であるというハンデを乗り越えようとする話が綺麗に整理されていてとても見やすいエピソードでした。

 

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2023年11月10日

あらすじ

あらすじ|TBSテレビ 金曜ドラマ『フェルマーの料理』

配信状況は公式サイト、またはこちらでご確認ください↓
フェルマーの料理 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

基本情報

原作

小林有吾『フェルマーの料理』

 

脚本

渡辺雄介/三浦希紗

キャスト

主要人物
北田岳(高橋文哉)数学に人生を捧げてきた数学少年。
朝倉海(志尊淳)二つ星レストラン「K」のオーナーシェフ。
赤松蘭菜(小芝風花)前菜を担当。
乾孫六(板垣李光人)コミ。
王明剣(朝井大智)スープ担当。
ダビド・サロ・ペーニャ(フェルナンデス直行)魚料理担当。
ジャン・ジョルダン(ジュア)デセール担当。
布袋勝也(細田善彦)スーシェフ。
福田寧々(宮澤エマ)給仕長。
魚見亜由(白石聖)岳の高校の同級生
西門景勝(及川光博)岳が通う高校「私立ヴェルス学園」の理事長。
北田勲(宇梶剛士)岳の父親。

相関図はコチラ↓

相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『フェルマーの料理』

感想

プロとは何か?

今回のエピソードはとても面白かったです。

これまでナポリタンや肉じゃがなどアマチュアっぽさが抜けなかった岳が「プロの料理人になれ」という課題に取り組む姿を描いていました。
確かに数学を駆使しているとはいえ、作る料理がナポリタンではプロっぽくないなぁとは私も感じていました。

今回のエピソードの良さはその描き方が何層にもなっていて、それぞれが整理されている点です。
蘭菜(小芝風花)の「時間がある限り試行錯誤を繰り返す」という言葉通りに、何度も仮説を立て検証するという試行錯誤を繰り返しながら正解に近づいていく姿はまさに数学的だと思いますし、理屈がしっかりしているためストレスなく楽しめます。

顔の見えない客

プロの第一歩として岳が乗り越えなければならないのは「顔が見えない客にどのような料理を提供するか」という課題でした。
その顔が見えない客の正体はレストランの有名レビュアーなのですが、ミシュランの覆面調査員のイメージなのですかね?
ただ、2度目の来店のようですし、岳以外は会ったことがあるはずなのであくまで「岳にとって」顔が見えないだけなのですよね。
そのあたりの飲み込みづらさはありました。
それに、冒頭岳たちが出会った男が実はレビュアーだったことが視聴者向けに種明かしされるのですが、最初からそのようにしか見えないので効果的ではなかったように思います。

二つのアプローチ

このドラマのいいところは視聴者が考えそうな選択肢を岳がつぶしてくれるところです。
「顔が見えない客に食事を提供する」方法として、まず岳は「相手の顔を見る」ことで対処しようとしました。
しかし、それはこれまでのアプローチと変わりませんし、客それぞれの好みを把握するのは現実的ではありません。
でもこの試みがあるのとないのとでは次のアプローチへの納得度が変わってくると思うんですよ。

指摘を受けた岳が次に取り組んだのが食材の持つポテンシャルを最大限に引き出すというアプローチでした。
これまでの完成品から逆算する手法から成長し、自分らしさ・料理人としての個性を発揮することもできました。

二つのアプローチはどちらもそれほど突飛なものではないですし、帰納法と演繹法という二つの数学の考え方に若干似ているかも。
徹底した温度管理などの手法は肉じゃがの回でもやっていたのでそれほど目新しさはなかったですけどね。

命題の逆,裏,対偶 | おいしい数学

更なる課題

今回良かったのはこの先です。
前菜の一皿として優れた料理を作ることに成功しましたが、コースとしてはスープが二品続いてしまい完成度が低いという指摘されてしまいます。
プロの壁の高さを示す面白い展開でした。
他のシェフが担当する料理も把握しておかなければならないことを最初の方で蘭菜が言及していたことも良かったと思います。

岳も揚げびたし風からあんかけ焼きそば風に変更することですぐさま対処します。
料理の無限の可能性を感じさせてくれるワクワクする展開でした。

女性シェフ

今回岳の成長物語と並行して蘭菜の話が進行しました。
綿貫のレビューの読み上げも、岳の部分と分けられていたのですっきりしていて観やすかったです。
現実に女性のシェフ、特に星を獲得するようなシェフに女性は少ないようです。
その原因は多岐にわたり、劇中で指摘されていた通りキッチンの構造に至るまで、料理人という仕事自体が女性を排除する仕組みになっているようなんですね。

なぜ、ミシュラン店には「女性の料理人」が少ないのか…料理界「ジェンダーバイアス」という構造(髙崎 順子) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

蘭菜は料理人であった母に憧れ料理人になったようですが、女性であるというハンディキャップを克服するために陰で努力しているみたいです。

母の過去に何があったのかは次回に持ち越しのようですが、こちらも楽しみですね。

おわりに

中華料理屋の店主にザ・マミィの酒井さんが起用されていました。
セリフはありませんでしたが、競馬新聞を片手に厨房に立つ姿は似合っていて印象的でした。

『フェルマーの料理』料理監修者が提案! いつもの家庭料理をワンランクUPさせるものとは?|TBSテレビ