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フェルマーの料理【第9話感想】

 

 

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高橋文哉さん、志尊淳さん出演ドラマ『フェルマーの料理』第9話が放送されました。非常に見やすくエンタメとして楽しいだけでなく、これまで描き方の足りなかった部分もきっちりと補っていて、非常に満足度の高い回でした。

 

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2023年12月15日

あらすじ

あらすじ|TBSテレビ 金曜ドラマ『フェルマーの料理』

配信状況は公式サイト、またはこちらでご確認ください↓
フェルマーの料理 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

基本情報

原作

小林有吾『フェルマーの料理』

 

脚本

渡辺雄介/三浦希紗

キャスト

主要人物
北田岳(高橋文哉)数学に人生を捧げてきた数学少年。
朝倉海(志尊淳)二つ星レストラン「K」のオーナーシェフ。
赤松蘭菜(小芝風花)前菜を担当。
乾孫六(板垣李光人)コミ。
王明剣(朝井大智)スープ担当。
ダビド・サロ・ペーニャ(フェルナンデス直行)魚料理担当。
ジャン・ジョルダン(ジュア)デセール担当。
布袋勝也(細田善彦)スーシェフ。
福田寧々(宮澤エマ)給仕長。
魚見亜由(白石聖)岳の高校の同級生
西門景勝(及川光博)岳が通う高校「私立ヴェルス学園」の理事長。
北田勲(宇梶剛士)岳の父親。

相関図はコチラ↓

相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『フェルマーの料理』

感想

見やすい

個人的にはこのドラマ好きなんですよね。
まず、ストーリーの流れが王道で「この先どうなるんだろう?」っていう不安感が全くないので安心して観られます。
それにストーリーが停滞することもなく、毎回ちゃんと楽しめますし、1話ごとにテーマが設定されていてなるほどと思わされる部分もあります。
脇役たちのキャラクターもそれほど時間をかけて描いているわけでもないのに伝わってくるので、主人公以外にも感情移入できます。

多少漫画っぽ過ぎるところや、数学が実はそれほど関係ないという欠点はあるものの、十分面白いです。
私が観ている今期のドラマの中では一番エンタメとして楽しい作品です。

考察ドラマやメッセージを読み取るのに集中力を要するドラマと違って、分からないことが全くないのでリラックスして楽しめるんですよね。

K崩壊

さて、海が去ったKは孤高を極めた岳の独善的な行動により崩壊してしまいます。
こういうトップが暴走して部下が愛想をつかす系の展開ってよくあるんですけど、2代目がこういうことになるのって珍しいですよね。

フルコースとしての完成度を追求する岳と、客商売として妥協を求める布袋の対立は納得のいくものでした。

本当に「布袋さんは良い人だなぁ」っていう感想しかわかないぐらい、岳の言っていることはめちゃくちゃでした。
布袋がついに岳を諦めるという展開なので、この1年間に何があったか詳細に描かれていなくても説得力が生まれています。

最も人望の厚い布袋が我慢して岳を支えていたから他のメンバーも従っていた、という構図に納得感があるんですよね。
蘭菜の語る「あの日の出来事」ですべてが分かるんです。

岳はあえて追いつめられることでアイデアを絞り出そうとしている様子が見受けられますし、彼が作り上げる料理のレベルは上がっていることも同時に描かれているので、純朴だった岳が孤高に取りつかれて変貌する過程も納得できました。

分かるように話せ

そういえば初回から海は繰り返し「分かるように話せ」って言ってましたね。
でも、岳が分かりやすく話したことは一度もなかったです。
「どうせ理解できない」と決めつけ孤独の道にすすんでしまったことで岳は崩壊してしまったようです。
岳がかつてのノートを紐解き海のメッセージを並べると、そこには岳に欠けているものや、海が岳の中に見出した海にはない魅力がすでに記されていたことが分かります。
これまで岳の急成長ぶりと「なぜ岳が後継者なのか?」という部分の説明が欠けているように感じていましたが、今回の展開で納得できました。

孤高の道

海の師匠・渋谷の考え方が海と岳を支配していました。
料理の真理を探究するために身を捧げ、自分を犠牲にする。
求道者のようなストイックな姿勢は確かに料理を前進させますが、料理を楽しめなくなってしまいます。
そして後継者を見つけた時点で「過去」の存在となってしまう運命にあります。
彼の考え方がジビエで表現されているのも良かったですね。

それに対して岳は海とともに別の道を模索することになりそうですね。
神との向き合いの中で真理を探究するのか、人の輪の中にこそ真理があるのか、結構深いメッセージになってきました。

それと、父親と魚見のエピソードも程よかったです。
魚見からもらったサボテンに水をやりすぎて枯らしてしまった岳の姿勢はKでの振る舞いと共通しています。
また、最も近くで岳を見てきた父親の言う「人を巻き込んでいく才能」はこのドラマのキーワードですね。
彼はその才能をもう一度発揮し、料理を諦めた海を巻き込み再び立ち上がるようです。

「主人公はお前の方だった」という海の言葉通り、周囲を巻き込み、楽しさを分かち合うって主人公そのものですよね。

おわりに

非常に納得度の高い第9話でした。
でも、蘭菜や布袋に岳がした仕打ちはかなりひどいもので、許してもらえるのか分からないですね。