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いちばんすきな花【第1話感想】多少理屈っぽいが面白い

 

 

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多部未華子さん、松下洸平さん、今田美桜さん、神尾楓珠さん出演ドラマ『いちばんすきな花』第1話が放送されました。多様性の時代にもスポットライトが当てられていない「関係性の多様性」を描いているドラマです。多少難解です。

 

放送日・あらすじ

放送枠

フジテレビ 木曜日 22:00~

放送日

2023年10月12日

あらすじ

いちばんすきな花 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

配信状況は公式サイト、またはこちらでご確認ください↓

いちばんすきな花 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

基本情報

原作

ありません

脚本

生方美久(過去作:『silent』)

キャスト

潮ゆくえ(多部未華子)
春木椿(松下洸平)
深雪夜々(今田美桜)
佐藤紅葉(神尾楓珠)
 

潮このみ(齋藤飛鳥)
望月希子(白鳥玉季)
穂積朔也(黒川想矢)
白石峰子(田辺桃子)
相良大貴(泉澤祐希)
小岩井純恋(臼田あさ美)
赤田鼓太郎(仲野太賀)

相関図はコチラ↓

いちばんすきな花 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

感想

コンセプト先行型

普通のドラマなら何気なく4人が集まるところからはじまり、徐々にそれぞれの生い立ちや考え方が明らかになっていきます。
『カルテット』とかはそんな感じでした。

一方このドラマは最初から描きたいことが決まっています。
そしてそれは結構物事の真理を突いている見解なんです。
結論からスタートして、その理由を具体的な事例を使って説明している感じがします。
あるいは、結構難解な前提を所与のものとして、さらに難解なストーリーを展開しようとしていると言った方が正しいのかもしれません。

何というか、頭でっかちというか、まるで数学の証明のような無駄がないストーリーなんですね。
4人の主人公はかっちりとした役割を担っており、遊びの部分がありません。

この語り口は結構好き嫌いが分かれるかもしれませんね。

描きたいこと

じゃあ、このドラマが描きたいものは何かというと社会の最小単位である二人組の難しさです。

  • 一人は社会と呼べないので、社会の最小単位は二人である。
  • 3人以上は一人の集合体に過ぎず、目的や意義は不要。
  • 2人でいるには理由が必要であり、それが合致した時に絆は深まる。
  • ただ、もし一人かけた場合の孤独は最初から一人の時より強まり、そうなる危険を常にはらんでいる。
  • 学校は社会の最小単位である二人組を学ぶ場でもある。

この前提からスタートして1人か2人かでデジタルに支配された社会に「その他の可能性」を示すのがこのドラマの目的だと思います。

タイトルにも「花」と入っていますし、いろんな花が印象的に登場します。
春木の実家は花屋でした。

『世界に一つだけの花』に代表されるように花は「多様性の時代」の個性の象徴です。
春木はマグカップを配る際も色を性別で決めつけるのを嫌いました。
このように個の個性は「多様性」として受け入れられているにもかかわらず、それが束になると恋愛・友情のたった二つになってしまう矛盾を描いているのだと思います。

真に多様性のある社会であるためには関係の多様性も認めなければならないのかもしれませんね。

キャラクターの配置

4人の共通点は「二人組を作れなかった」という点です。
しかし、彼らが二人組になれなかった理由はそれぞれ異なり、むしろ鋭く対立しています。
彼合が初めて一堂に会したシーンでは緊張感が漂いました。

まず、ゆくえ(多部未華子)は塾の先生で唯一無二の親友が結婚してしまったことで孤独になってしまった女性です。
「恋愛」という意味の前では「友情」は歯が立たず、フラれてしまいました。

一方椿(松下洸平)は結婚寸前に彼女が男友達になびいてしまい一人になってしまいました。
ゆくえと逆の立場です。
いい人なんだけど彼と「二人」になるほどの理由がないっていう男ですね。
彼は深い関係を築かないために人とは一度しか会わないことにしているようです。

夜々(今田美桜)は普通にしていても目立ってしまい、周囲の反感を買ってしまうというタイプです。同性には嫌われ、異性には下心を持たれてしまい、上手く人間関係を築けません。
「ぜいたくな悩み」は自慢になってしまうんですね。

逆に紅葉(神尾楓珠)は多数の中の個でしかなく、薄っぺらい人間関係の中で生きています。誰も彼に興味がなく、そういう意味で夜々とは対立しています。

単純に「仲間外れにされた者同士仲良くしましょう」とはならないのが面白いですね。

面白い構成

4人もいるので、似た経験をした人や周りにそういう人がいるという方も多いのではないかと思います。
私にとっては夜々の悩みが新鮮でした。
才能を持つ人にしかわからない苦悩ですね。

さて、私の思う初回の面白いポイントは、日常のよくあるシチュエーションで主人公たちが怪訝な顔をするところです。
それが後に「なぜその時傷ついたのか」を種明かししてくれます。
捨てられた割引券なんかがいい例です。

アヴァンタイトル

「いちばんすきな花」というタイトルが出てくるまでは、4人の幼少期が描かれます。
ゆくえの「二人組を作る」というトラウマはそのものずばりなのですが、残りの3人は大人になって抱えている彼らの悩みとちょっとズレている感じがします。
間違ってはいないのですが、最も象徴的な場面かと言われると違う気がするんです。

坂元裕二感

やっぱり観ていて思い出したのは『カルテット』や『最高の離婚』といった坂元裕二作品です。
人数が4人だからかもしれません。
でも坂本作品と違って、セリフに素っ頓狂な面白さはないです。
夜々と椿の最初の会話は『最高の離婚』の歯医者さんのシーンを思い出しました。

「初回無料トライアル」ぐらいかな、面白かったのは。
カラオケの入った、入っていないの問答は坂本作品ならここぞとばかりに面白ワードを盛り込んできそうですが、このドラマはあっさりしています。
ここも好き嫌いが分かれそうですね。

おわりに

あの塾の生徒は昼間に一人だけいるってことは不登校の子なんですかね?
セリフによらない描写が多いので、2度・3度と繰り返し見れば新たな発見がありそうです。