いちばんすきな花【第10話感想】 - ３０インチで観ています。

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多部未華子さん、松下洸平さん、今田美桜さん、神尾楓珠さん出演ドラマ『いちばんすきな花』第10話が放送されました。間違い探しで「違うところを見つけて丸を付ける」という子供の無垢な行為から大人のドロドロとしたいじめやバッシングに至るまでの過程が表現されていて面白かったです。

放送日・あらすじ

放送枠

フジテレビ木曜日 22:00～

放送日

2023年12月14日

あらすじ

いちばんすきな花 - フジテレビ

配信状況は公式サイト、またはこちらでご確認ください↓
いちばんすきな花 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

基本情報

原作

ありません

脚本

生方美久（過去作：『silent』）

キャスト

潮ゆくえ（多部未華子）
春木椿（松下洸平）
深雪夜々（今田美桜）
佐藤紅葉（神尾楓珠）

潮このみ（齋藤飛鳥）
望月希子（白鳥玉季）
穂積朔也（黒川想矢）
白石峰子（田辺桃子）
相良大貴（泉澤祐希）
小岩井純恋（臼田あさ美）
赤田鼓太郎（仲野太賀）

相関図はコチラ↓
いちばんすきな花 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

2023年秋ドラマ感想一覧へ

感想

間違い探し

ここ3話ぐらい「間違い探し」と「違い」の話が続いています。
そのことから推察するに、このドラマが本当に言いたいことは、「間違い探し」に明け暮れる世の中への不満や違和感なのかもしれません。
このドラマが始まった時には「二人組が苦手」であるとか「男女の友情は成立するのか」とか、人間関係の多様性がテーマであるかのようにスタートしましたが、ゴールは若干ズレたところにあるようです。

ズレたと言っても人間関係の話は続いています。
でも4人が確固たる信頼関係で結ばれた時点で描きようが無くなったのか、美鳥が登場しても人間関係の多様性についてはそれほど話が広がらないんですよね。
むしろ、「二人組が好きな人もいる」って感じで振出しに戻った感じすらします。

その一方で何度も登場するのが「間違いさがし」なんです。
間違い探しは二つの絵があって、どちらかが正しいとされ、どちらかが間違っているとされています。
二枚の絵に「正しい」という価値観が入り込んでいて、それがエンタメになっている。

多様性を謳いながら違いを見つけること、多数派と違うことを強調するだけに終始する社会に対する違和感がストーリーの中心に来ている気がするんです。

ウォーリー

図書館のウォーリーにマルが付けてあるというのは子供のころ確かに見たことがある気がします。
それを子供のころから人間が本能的に持っている自己顕示欲だと解釈して、現在のマイノリティを排除する風潮にまで論を展開するのが今回一番面白かった部分ですね。

同じものを見て経験していても、私には全く思いもよらない面白いことを発想できる人がいるんだなぁと感心してしまいます。

このウォーリーにマルをつける話は本当に秀逸です。
全てが説明できて、しかもわかりやすいんですよ。
誰かに話したくなります。

話は進まない

逆に言えば、このウォーリーのたとえ話が分かりやす過ぎて、その後の「間違いとは何か？」とか、「価値観の違いとは何か？」がごにょごにょしてるように感じてしまいました。

このドラマでは以前「好き嫌いという価値観と良い悪いという評価は別」みたいな話をしていて、今回はそのことが紅葉に逆に作用した形になります。

クリエイターとして作品を公開している以上、見た人がその人の価値観で作品を品評するのは避けられません。
自身の作品を否定されるのは辛いですが、その人が本当に「嫌い」だと思った場合その価値観を否定するのも確かにおかしいです。

彼らが出した結論は、「確かに価値観は人それぞれで否定的な意見もあるかもしれないが、それが正しいわけでもないから受け入れる必要もない」というものでした。
「価値観は人それぞれだから」と言っていたはずなのにいつのまにかそこに「正しい」という価値判断が付加されていることに気付き、立ち戻るということなのだと思います。

でも「やっぱり気になってしまう」という部分へのアドバイスにはなっていないですよね。

強いて言えば、美鳥が紅葉に残した「みんなじゃないってことが救いだった」というメッセージのほうが彼の直面した悩みへのアンサーになっているような気がします。