30インチで観ています。

映画やテレビドラマの感想を書いています

日曜の夜ぐらいは…第10話(最終回)~素敵な最終回でした。

 

 

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています(詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください)。

清野菜名さん、岸井ゆきのさん、生見芽瑠さん出演ドラマ『日曜の夜ぐらいは……』第10話は最終回です。いよいよ3人の夢であるカフェが開店したのですが、その描かれ方は一風変わった3部構成で語られています。そのあたりを中心に振り返ります。

放送日・あらすじ

放送日

2023年7月02日(日)22:00~テレビ朝日系列で放送

あらすじ

www.asahi.co.jp

配信状況はこちらを参考にしてください↓
日曜の夜ぐらいは... - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

相関図はこちら↓
キャスト|『日曜の夜ぐらいは...』|朝日放送テレビ (asahi.co.jp)

 

 

感想

最終回は3部構成

一風変わった3部構成になっていました。
第1部はカフェ開店まで、第2部は開店1か月後まで飛んでからの回想、第3部はサチの妄想です。

徐々に現実から虚構へと飛躍していくんですよね。
途中に回想を挟むことでスムーズに移行している気がします。
そのせいか、すべてが妄想かもしれないかのような読後感がありました。

第1部

ここでは結構大切なことを言っていました。
「自分たちは宝くじに当選し、幸運をつかんだ。世の中には辛い人がたくさんいる。果たしていつまでも辛さを口にしていいのだろうか?」という悩みです。
このドラマは生き辛さを抱えた3人の主人公たちが幸せをつかむまでを描いています。
したがって最終回になれば彼らは必然的に不幸ではなくなってしまうんですね。
彼女たちの不幸に共感し視聴していた人からすれば、うれしい反面もはや自分の気持ちを乗っけることができなくなっている、なんてこともあろうかと思います。

そういう人に向けてではないでしょうが、人は生きている限り悩みや辛さを抱えているものであるということを完璧そうに見える賢太を通して伝えていました。
「自分より不幸な人がいるからと言って、あなたの抱えている苦悩は偽物ではないんだよ。」という優しいメッセージでしたね。

第2部

この第2部と次の第3部ではサチの視点に固定されます。すべてサチが目撃したり考えたりしたことであって、サチのいないシーンは(一部を除き)登場しません。

この回想シーンで描かれたのは主に3人が抱えている家族の問題でした。

サチの父や若葉の母の件はそれなりに解決したのですが、むしろここで描かれているのは母が店に姿を現すことのなかった翔子の事情です。
この部分は第3部でサチの妄想へと飛躍していくのですが、すべてが上手く行っているわけではないし、すべての関係が修復されることが幸せとも限らないということなのではないかと思います。

このドラマは幸せの形を一つに決めないように注意を払っているように感じます。
これもその一つなのかな?と個人的には感じました。

全てが上手く行くのも大団円すぎて、世界が閉じてしまうっていうのもありますしね。
カフェを続けていたらいずれ訪れてくれるかもしれないという可能性を開いていたほうが世界観に広がりが生まれますよね。

過去回からの登場人物

サチが高校を辞めた時に唯一心配してくれた親友がメッセージをくれました。
サチは母の事故という不幸を抱えていた時に、心配してくれた親友にいら立ちを覚え、突き放すような言葉をかけてしまったことにわだかまりを抱えていました。
彼女はサチの駅伝でのエピソードを覚えていて、誰かの失敗を取り返そうとするサチの生き方、誰かのために頑張る姿に感銘を受けてそれを生き方の指針にしていました。
最も信頼する人が自分の本質をとらえてくれているのはうれしいものですよね。
サチの生き方が誰かの人生に好影響を与えているというのは『素晴らしき哉、人生』を思い出しました。

もう一人は日曜深夜営業にふらっと立ち寄った女性です。
彼女は翔子がエレキコミックのラジオにはまるきっかけとなった女性であり、その様子は第1話でのサチのようでもあります。
自分たちの夢が懸命に生きる誰かの休息になる、このドラマのハイライトとも言えるシーンでした。
過去の自分がカフェを訪れているっていう感じですね。

第3部

第3部はサチの想像のシーンでした。

大抵はサチのくだらない妄想であったり、ここまで触れられずにいた登場人物たちの近況であったりします。
すべての人の幸せを願うサチらしい妄想ですね。

その中で翔子と母の再会が描かれています。
これはあくまでサチの妄想なのであの女性が翔子の母ではありません。
サチが知っているのは翔子の口から語られた情報のみです。
サチは翔子が母に話したいことをいっぱい抱えているということを感じ取っているようですね。
「湾岸ミッドナイト」は確かミネと再会した時に登場したセリフだったと思います。

ラスト

自転車で駆け抜けるサチがこのドラマのメッセージを伝えます。
思えばサチは初回から自転車に乗っていましたし、序盤はこけたり、自転車を投げ出したりしていました。
2輪だけの不安定な乗り物は人生の象徴なのかもしれません。
颯爽とペダルを力強く漕ぎ7人抜きをするサチの姿はそれだけで感動的です。

「2023年この世界に生きている人は戦士みたいなもの、責めて日曜の夜ぐらいは深呼吸できますように」
戦士代表と自らを称しているように、彼女もまだ戦いの中にいて、バイトは続けているし、カフェがこのまま成功するとも限らないんですよね。

「生まれ変わったとしても私だね」は主題歌「ケセラセラ」の歌詞です。

おわりに

おおむねハッピーエンドだけど、これからもすべての生き辛さから解放されたわけでもないことも同時に描かれていて、バランスの良い最終回だったと思います。
全体の感想はまとめページの方に近いうちに追記します。