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ハヤブサ消防団【第7話感想】放火犯の正体が判明

 

 

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中村倫也さん、川口春奈さん出演ドラマ『ハヤブサ消防団』第7話はついに連続放火犯の正体が明かされました。「意外な人物」というわけでもなかったですが、視聴者を信頼した丁寧な描きこみにはフェアな感じがして、ミステリーとしての完成度が高かったです。

放送日・あらすじ

放送日

2023年8月31日(木)21:00~ テレビ朝日系列で放送

あらすじ 

第7話|ストーリー|木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』|テレビ朝日 (tv-asahi.co.jp)

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ハヤブサ消防団 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

原作

池井戸潤『ハヤブサ消防団』

 

主題歌

ちゃんみな『命日』

 

キャスト

三馬太郎(中村倫也)スランプ気味の作家。
立木彩(川口春奈)映像ディレクター。

藤本勘介(満島真之介)団員。八百万工務店勤務。
徳田省吾( 岡部たかし)班長。一徳堂の店主。
森野洋輔(梶原善)副分団長。土木課に勤務。
宮原郁夫(橋本じゅん)分団長。宮原養鶏を経営。
山原賢作(生瀬勝久)部長。山原林業社長。
賀来武彦(福田転球)協力団員。居酒屋サンカク店主。

江西佑空(麿赤兒)隋明寺の住職。
野々山映子(村岡希美)住民。
村岡信蔵(金田明夫)八百万町の町長。
山原浩喜(一ノ瀬ワタル)札つきのワル。第1話で死亡。
波川志津雄(大和田獏)幼少期の太郎を覚えていた。引っ越す。

真鍋明光(古川雄大)ルミナスソーラー営業スタッフ。
中山田洋(山本耕史)出版社草英社の編集者。
山原展子(小林涼子)謎の女性。

相関図はコチラ↓
相関図・キャスト|木曜ドラマ『ハヤブサ消防団』|テレビ朝日 (tv-asahi.co.jp)

感想

これまでで一番面白かった

1話1話丁寧に描いているせいか、ストーリーの展開が遅く第6話までほぼ何もわかっていなかった本作ですが、今回一気に進展しました。

最近は視聴者の予想を裏切ることばかりに注力した作品が多い中、この作品にはフェアな印象を受けます。
明かされた真相自体は予想通りなんですけど、それでも十分面白いんですよね。

東京旅行

前回放火犯を特定するところで終わっていたので消防団員たちが東京で旅行しているのは意外でしたね。
いくら三馬のサイン会だからとはいえ、能天気な東京見物は異様な感じがするんですよ。
この違和感についても後でネタバラシされました。
本作ではまず違和感を与えて、後で説明するっていう手法が多く用いられているような気がします。
視聴者を信頼したやり方で好感が持てます。
内容に対する自信のあらわれかもしれません。

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東京駅、東京タワー、東京スカイツリーと東京の名所を巡りながら語られたのは東京とハヤブサ地区の違いです。
土地の値段などが安く過疎化するハヤブサ地区、「東京は住むところじゃない」という徳田の言葉、これらがすべて後で反転します。
ここも上手かったです。

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最後の晩餐

食事をとりながら三馬の推理が開陳されます。

消防団員は全員軽トラを所持していたんですね。
勘介については見た記憶がありましたけど、他のメンバーの軽トラもこれまでに登場したシーンがあったみたいです。
こういうさりげない伏線は面白いですね。
しかもエンジン音という小説では表現できないドラマならではのトリックである点も評価できます。

田舎暮らしで実感!日本の道には軽トラが最適で最強だ | 田舎暮らしの手帖 (rural-life.jp)

もう一つの証拠は前回中山田が見つけたベンジンでした。
こちらはベンジンの用途を検索するとまず最初に「染み抜き」と出てくるので、呉服屋の徳田を疑っていた人は多かったのではないでしょうか?

前回の住職による調査によって徳田が常にベンジンを携帯していること、徳田以外にはアリバイがあることが判明し徳田が犯人であると確定したようです。

徳田の反応

面白かったのが徳田の反応です。
「俺が浩喜を殺したのか?」とか「俺に人を殺す度胸があると思うか?」とか「俺がなぜ真鍋の指示に従って放火しているんだ?」と三馬の推理に欠けている要素を指摘していきます。

それがまるで他人事のようで不気味なんですよね。

しかし、徳田のさしはさむ疑問に対して、三馬たちは回答を用意していて、それが当たらずも遠からずといった具合に徳田が犯人であることをより印象付けていきます。
徳田の頭を駆け巡る回想なのでしょうか?浩喜の身に起きた事件の顛末が映像として流されました。

白を切りとおしながらも頭の中にははっきりと犯行の記憶や手触りが残っているという描写、「仮に俺が犯人だとして、その犯人は優しい放火犯だ」と言っちゃうあたりにはドストエフスキーの『罪と罰』っぽい印象も受けました。

帰ったら話す

徳田の様子はますますおかしくなっていき、いら立つ宮原(橋本じゅん)にもお構いなしに、一見無関係な話をし始めました。
東京に憧れて上京したものの夢に破れ、田舎に逃げ帰ったことが徳田の中に不完全燃焼な部分としてくすぶり続けていて、田舎暮らしを楽しみながらも心のどこかでモヤモヤを抱えていたようです。

田舎暮らしを全く楽しんでいないわけではないのがリアルですよね。
楽しいんだけど、自分には別の人生があったのではないか?自分のモヤモヤを昇華する何かがあるのではないか?という思いは「中年の危機」っぽいです。
おそらくどこかのタイミングでアビゲイル騎士団に出会い入信したのでしょう。

ふざけているように見えますが、彼にとっては東京での挫折がとても大きな動機のようで、仲間たちに真摯に向き合っているからこそ、この話をしたのだと思います。

浩喜の死をエネルギーとして無駄にするべきではないという考え方は円環構造を重視するアビゲイル騎士団の雰囲気が漂っていました。

ハヤブサの異変

徳田の死を受けて帰路に就いた団員たちはハヤブサ地区の異変に直面します。

三馬のサイン会に登場したあの弁護士が、三馬がハヤブサ地区に住んでいることを知っていて、しかもハヤブサを近々訪れると明かしていたり、
閑古鳥が鳴く居酒屋さんかくに突然人が押し寄せるなど、それまでも異変の予兆のようなものが描かれていたんです。

住職が離檀した人の札を外していたのも予兆の一つですね。

少しずつ浸食されていく感じ、前兆があったことで不気味さが増したように思います。

彼らはルミナスソーラーを通じて土地の買収を進め、アビゲイル騎士団の拠点を築こうとしているのでしょう。

徳田の遺言

さて、気になるのは徳田の遺言です。
彼は「これでハヤブサが活気づく」と事態に肯定的なメッセージを残しましたが、ところどころ気になります。

まず、自殺なのか、他殺なのかという点です。
多分他殺でしょうが、そうなった場合あの遺言は信頼できる仲間に真実を託す意味があったことになります。

次に、「王様の耳はロバの耳」という言葉です。
素直に解釈すれば、「表立っては言えない真実をここに吐き捨てます」という意味ですが、徳田の言う王様とは誰のことを指すのか?、アビゲイル騎士団を信仰しているのならこの言葉には違和感がありますし、そもそも自分が殺されることをなぜ予期していたのかも気になります。

王様の耳はロバの耳 - Wikipedia

気になると言えば、立木が消防団員の映像を見返していた理由ですね。町おこしドラマのオフシーンの映像でしたが特段気になるものが映っているようにも思えません。

そして写真の女の正体とあの老婆、そして立木の関係は未だに不明です。

おわりに

消防団員に犯人がいたことや死んでしまったことは、それまでの消防団の雰囲気が良かっただけに残念です。
でもその分だけこの第7話はかなり面白かったです。

次回から最終章らしいですけど、このドラマはどういう結末を迎えるのでしょうね。

もはや手遅れのような感じすらしています。