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不適切にもほどがある【第9話感想】

 

 

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阿部サダヲさん主演ドラマ『不適切にもほどがある』第9話が放送されました。「分類」というテーマを秋津のマッチングアプリ、渚のマタハラ騒動、サカエの恋愛を通して描いています。まるで昭和に逃避するようなラストは最終回への期待を高めてくれます。

 

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2024年3月22日

公式サイト

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』|TBSテレビ

基本情報

原作

ありません

脚本

宮藤官九郎

キャスト

小川市郎(阿部サダヲ)
犬島渚(仲里依紗)
秋津睦実/秋津くん(磯村勇斗)
小川純子(河合優実)
向坂キヨシ(坂元愛登)
向坂サカエ(吉田羊)

相関図はコチラ↓

相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』

感想

分類しなきゃダメですか?

今回の副題は「分類しなきゃダメですか?」でしたが、
これまでに比べてタイトルを聞いただけでは内容をイメージしづらいものでした。
そこで順番に振り返りたいと思います。

マッチングアプリ

「分類」として登場したのは秋津のマッチングアプリと渚のパワハラでしたね。
わかりやすかったのはマッチングアプリのほうです。
秋津の勤める会社の開発したマッチングアプリは細かく自分の「属性」を設定して、マッチングする相手を選ぶことができました。
最初のうちはコスパ・タイパを重視する価値観に合致するものだとして楽しんでいた秋津でしたが、結局フラれてしまいます。

細かく属性を分類したとしても、さらに細かくラインのやり取りの一行まで精査していくと不一致は必ず生まれますよね。
しかも「自分は恋愛をしない」という秋津の自分自身の分類だって正しくなかったわけです。
言葉を尽くしても分類しきれない人間の複雑さ、分類することでこぼれ落ちていく大切な価値の存在が示されているのだと思います。

ハラスメント

渚のハラスメントの問題も「分類」という基準でとらえなおすと、何層にもなっているんですよね。
「レッテル」というほうが近い気もします。

まず、「ワンオペ育児を頑張るワーママ」というカテゴリに分類されたことで渚はトラブルに巻き込まれます。
実際は仕事に育児に奮闘し辛いこともあるにもかかわらず、そういった部分はこぼれ落ちてしまいます。
また、「これってあの人のことだよね」と読者が分類していることも影響していますし、杉山ひろ美(円井わん)が仕事とプライベートを分類し異なる態度をとっていたことも事態を複雑にしました。

渚の発言の一部を文脈から切り取り分類するとたしかに問題があります。
「アウティング」「マタハラ」に該当するといわれても仕方のないものもありました。
特に「あなたはいないものと思って考える」はマタハラにあたるでしょうね。

そこには渚の「良かれと思って」という意図は考慮されず、客観的に「要件に該当するかどうか」で判断されていきます。
渚自身が「言葉足らずで」と認めていますが、言葉を尽くせば埋められたかもしれない誤解が守秘義務などの壁により、正されることなく事態を深刻化させてしまいましたね。
ここでもコミュニケーションの難しさが示されていたと思います。

良かったのは杉山ひろ美(円井わん)を単なるクレーマーとしなかったところですね。
彼女にも中傷(市郎によるものだったみたいですけど…)が届いて実害があったわけです。

最後に、謹慎中の渚がごみ捨てをめぐってトラブルになっていました。
これも「このカテゴリに分類された人はこういう態度をとるに違いない」という思い込みに原因があります。
そして「叩いていい人」と分類されると徹底的に否定される風潮にも「一度その人が間違ったからと言って、あなたが叩いていい理由にはならないですよ」と警鐘を鳴らしていました。

分類できない男

昭和の教師安森はサカエ(吉田羊)に「あなたという人がわからない」と言われていました。
しかしこれって安森に限ったことではなくて、だれでも人間はいろんな側面、矛盾する面をあわせ持っているものなんですよね。

昭和へ

最後の一回分の燃料を使って市郎と渚は昭和へと旅立つようです。
このまま終わると「煩わしい現在を捨てて、昭和に逃避した」というノスタルジー全開の結論になってしまいますが、そうはならないでしょう。

彼らには昭和において蹴りをつけなければならない問題が多数残っています。
そして、昭和で得たものをいかに現代に反映するかという課題もあります。
また、どうやって現代に戻るのか、市郎と純子は運命を受け入れるのか、といったことにも決着をつけなければならず、最終回はかなりのボリュームになりそうです。

それにしても現代と昭和を「令和は静か」とか「飯は今のほうがおいしい」と、海外旅行の感想のように語るのは面白いですね。

おわりに

最終回はかなり期待できます。
どんな結末を迎えるのか全く予想できない時点でこのドラマは成功だといえるのではないでしょうか。