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阿部サダヲさん主演ドラマ『不適切にもほどがある』第10話が放送されました。昭和に戻った市郎が逆にカルチャーショックを受けるという第1話と対になる構造で、寛容性や対話の大切さを訴える内容になっていました。
放送日・あらすじ
放送枠
TBS 金曜日 22:00~
放送日
2024年3月29日
公式サイト
基本情報
原作
ありません
脚本
宮藤官九郎
キャスト
小川市郎(阿部サダヲ)
犬島渚(仲里依紗)
秋津睦実/秋津くん(磯村勇斗)
小川純子(河合優実)
向坂キヨシ(坂元愛登)
向坂サカエ(吉田羊)
相関図はコチラ↓
感想
対となる構造
すっかり未来人となった小川市郎(阿部サダヲ)が昭和に帰るという最終回でしたね。
昭和の価値観を体現したような新校長をはじめとした職場の雰囲気に違和感を覚え「気持ち悪い」と吐露するシーンは最終回らしかったです。
というのもこのドラマの第2話で、令和にやってきた市郎がハラスメントで秋津(磯村勇斗)が責められる様子に対しても「気持ち悪い」って漏らしていたんですよ。
配膳ロボがなかなか注文を届けない店員に代わっていたり、「この時給なら仕方ないか」と漏らしているあたりも対になっています。
この辺りが面白いポイントでした。
私は第2話を見た当時は例話の生きづらさを誇張しているところがちょっと片手落ちな感じがして引っかかっていたのですが、最終回でこのように回収されたことで腑に落ちました。
映画とは異なり完結するまでに数か月を要するドラマでは作品が完結する前に評価されてしまうという難しさがありますが、逆に言えばこういう長期間にわたる回収がドラマの魅力とも言えますね。
寛容になりましょう
「寛容」という言葉と「アップデート」という言葉が併せて用いられていました。
価値観を更新してよりよい社会にしていく努力は必要ですが、そのペースは人それぞれですし、「アップデート」という言葉が非難や排除のために用いられている状況に対する危惧がうかがえます。
スマホと違って、アップデートをしなければコミュニケーションが取れなくなるほど人間は単純ではなく、またその微妙な部分にこそ人間性が詰まっているのではないかということなのだと思いました。
新しい価値観を会得した人たちが互いに寛容な精神をもって「大目に見ること」と寛容と甘えを混同してはならないことの両方が語られていましたし、バランスが良かったんじゃないかな。
対話することの大切さを訴える結論には個別の事例に当てはめれば「必ずしもそうではない」という反論もあるでしょう。
ただ、私個人としては納得しています。
今を生きる
最終回に残されたもう一つのテーマが「純子の未来をどうするのか」という課題です。
最終的には明確にすることはありませんでしたね。
でも大まかにいえば、今を全力で楽しんでいる純子に対して未来を変えるために「勉強するな」「犬島に会うな」と伝えることはできないという結論でしたね。
このドラマはタイムトラベルを通じてどの時代にも生きづらさや楽しさがあり、今の時代を懸命に生きる人たちの尊さが描かれています。
そういう意味でも「未来は現在の積み重ねの上に成り立っている」という結末は誠実だったと思います。
全体の感想
最終回なのでドラマ全編を通した感想を書きます。
どの時代にも生きづらさがあり良さもあること、寛容性とより良き社会を目指す努力の大切さ、の両方が描かれていて全編を通してみるとバランスが良い作品です。
テレビ番組を制作する人々の苦悩も描かれていて、その点も面白かったです。
ミュージカルやドラマが純子のデートと重なる演出もあって、毎回飽きずに視聴できました。
2024年がアップデートされた社会のゴールではなく過程に過ぎないことが最終回の字幕で表現されたのも風刺がきいているし、さりげなく未来への期待を示していて良かったと思います。
おわりに
放送前から期待していた作品でしたが、面白かったです。