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不適切にもほどがある【第7話感想】

 

 

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阿部サダヲさん主演ドラマ『不適切にもほどがある』第7話が放送されました。ドラマ論をきっかけに人生論にまで発展する内容で、純子の劇中劇風のデートは『ローマの休日』を引用しています。とてもまとまっていて、今回だけでもこのドラマを見続けた価値があると思わせてくれる出来でした。

 

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2024年3月08日

公式サイト

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』|TBSテレビ

基本情報

原作

ありません

脚本

宮藤官九郎

キャスト

小川市郎(阿部サダヲ)
犬島渚(仲里依紗)
秋津睦実/秋津くん(磯村勇斗)
小川純子(河合優実)
向坂キヨシ(坂元愛登)
向坂サカエ(吉田羊)

相関図はコチラ↓

相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』

感想

『流星の絆』

私はこの第7話がこれまでの中で一番好きです。
そう思った人も多いんじゃないかな?

市郎(阿部サダヲ)がドラマ制作に再び首を突っ込んでいましたね。
今回面白かったのがエモケンの構想するドラマの内容と、純子(河合優実)とナオキ( 岡田将生)のデートがリンクしている点ですよね。

それで思い出したのが宮藤官九郎さんの過去作『流星の絆』でした。
『流星の絆』では主人公の3人が詐欺の脚本を考え、それが劇中劇として挿入されるのがお決まりになっていました。

本作は『流星の絆』の手法を踏襲しているとも言えますが、そのクオリティが格段に上がっています。
二つの作品では意図するところが違うので単純な比較はできませんけどね。

『ローマの休日』

この劇中劇のような構造を強固にしていたのが『ローマの休日』の引用です。

エモケンのドラマタイトルの含まれる「この景色」とは何なのか?という問いは『ローマの休日』の終盤に登場する「一番印象に残った場所は?」という質問に相当することが何度も繰り返されていました。

過去から来た純子はナオキと別れる運命にあり、二人はローマの休日をなぞるように各地を巡り、騒動を巻き起こします。
髪を切り、服を着替え、最後に写真はすべて消えてしまう。
本当に細かく引用されています。

最後の「未来で一番印象に残っている場所は?」という質問に「牢屋」と答えたのは「ローマ」の駄洒落になっていて、しかも予測不可能なゴールの尊さも示しています。

ただ、岡田将生さんのまとっている油断ならない雰囲気がちょっと意図とは違う感じに伝わっているかも。

ドラマ論から人生論へ

最近のドラマ視聴者が伏線回収を重視しすぎていることが取り上げられました。
たしかにパズルのように第1話で張られた伏線が最終話で回収される気持ちよさがドラマを評価する基準になっている感じはありますね。
ドラマ実況や考察も流行っていて、もはやドラマを見ているというよりは謎解きを楽しんでいたり、SNSでの交流のほうがメインになってきています。

私はドラマには様々な楽しみ方があってもいいと思うので、この風潮自体は否定するつもりはありません。
ただ確かにドラマを観るのが「あぁ、そっちね」的な確認作業になっている面はありますよね。
私も「一話見ただけで判断する」人間なので耳の痛い話でした。

さて、小説やドラマの楽しみ方の一つに「その登場人物の人生を追体験する」というものもあると思います。
そういった楽しみ方をする場合には、完璧に組み上げられた世界というのは不自然で窮屈でつまらないものになってしまうのかも。
個人的にはドラマを見ていて「このドラマって俳優に対して、演じる余地が残されていないよなぁ」って感じることがあるんですよね。

話を本作に戻すと、運命の決まっている市郎に「すべてを完璧に構成するなんて傲慢だ」と言わせたところは名シーンでした。

おわりに

本作もローマの休日の伏線を回収していますし、伏線自体を否定しているわけでもないですね。
次回はいよいよムッチ先輩が現在へやってきます。