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不適切にもほどがある【第3話感想】

 

 

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阿部サダヲさん主演ドラマ『不適切にもほどがある』第3話が放送されました。このドラマにおけるタイムマシンの設定が明かされタイムパラドックスへの懸念も示されました。二つの時代の番組制作を交互に見せて価値観の変化を表現しています。

 

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2024年2月9日

公式サイト

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』|TBSテレビ

基本情報

原作

ありません

脚本

宮藤官九郎

キャスト

小川市郎(阿部サダヲ)
犬島渚(仲里依紗)
秋津睦実/秋津くん(磯村勇斗)
小川純子(河合優実)
向坂キヨシ(坂元愛登)
向坂サカエ(吉田羊)

相関図はコチラ↓

相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』

感想

タイムパラドックス

今回このドラマにおけるタイムマシンの設定が明らかになりました。

タイムトラベルできるのは1986年と2024年のみ。しかも同じ間隔でしか移動できないため、2024年で1日進むと1986年も同じく1日進むことになります。
大昔にタイムトラベルすることもできなければ、第1話のあの日に戻ることもできません。
小川の教え子である井上がタイムマシンの開発者であるという設定のおかげで、「なぜ1986年なのか?」という点もつじつまが合っています。

タイムパラドックスをどこまで考慮するのかは作品によって異なります。
作品によっては『バタフライエフェクト』のように過去への介入が思わぬ結果を生むこともあります。

本作はそこまで厳密ではなく、「親子が出会ってしまうこと」の一点に絞られているようです。
『バックトゥザフューチャー』の第1作の感じですね。

第3話では過去において井上が息子と遭遇してしまうことと、現在において市郎が渚と出会ってはならない関係があることの二つが登場しました。
井上の言葉通り本当に「ビリビリする」というのも面白いですね。

あと明らかになっていないことは、「どうして二つの時代にそっくりな男・秋津睦実/秋津くん(磯村勇斗)が存在しているのか?」というぐらいしょうか?

八嶋智人

今回は二つの時代のテレビ番組制作現場を交互に見せるという演出がなされていました。

2024年では番組MCが週刊誌に4股交際を騒動され、番組が窮地に立たされています。
面白いことより誠実そうに見えることのほうが優先される現在を皮肉ってましたね。

そんな現代のテレビの象徴として登場するのが八嶋智人です。
「面白いことは言っていなくても、そつなくよどみなく進行できてなんとなく楽しげ。ブレイクしたことはなく気づいたら当然のようにテレビに出続けている。最後にはうまくまとめ上げるが誰の印象にも残らない」って、かなり辛辣な評価だと思いますが、そんな役を本人役として引き受ける八嶋さんが凄いです。

ビジネスクラスにしてくれたことを恩義に感じ、ふるさと納税の返礼品を吟味するような彼にはスター性が全くありません。

空席にぬいぐるみを並べ、出演者に「髪切った?」と聞くのは『笑っていいとも!』の感じですね。
「日本人はけん玉と演歌が好き」は恒例となった紅白歌合戦の三山ひろしさんのことですし、「TBSは秋田では放送されていない」というのも本当らしいです。

1986年

1986年には現在では考えられないような猥雑な番組が放送されていました。
画面に映るものすべてが現代の感覚ではアウトですが、出演者たちはプロ意識を持って取り組んでいます。
ゲスト出演したセクシー女優達でさえも自分が与えられた役割を理解してそれを演じているんですね。
その代表がズッキーです。
彼は本当は紳士的な男性で、トラブルが生じても冷静に対処します。
彼はズッキーというキャラクターを演じていて、そこにはリアルとフィクションの明確な境界線があったんですね。

二つの時代でプロとされる行為が大きく異なっています。

市郎の気づき

この番組の視聴者だった市郎は娘が出演したことで自分の矛盾に気づき「誰もが誰かの娘である」という気づきに至ります。

視聴者からのクレームにおびえ、何がセクハラやパワハラに当たるのかわからず、理不尽に感じたり過剰にセンシティブになったりしてしまう現状に対して、「自分の娘に対して同じことができるか?」で判断すればよいと結論付けました。

これは宮藤官九郎さん自身が作品を制作する過程で実際に基準として設けているのかもしれませんね。

ガイドラインを設けて形式的に判断することはかえって本質からそれてしまいます。「相手に対してリスペクトを払っているのか?」という実質的な基準を持つことが大切だということなのでしょう。

おわりに

次回はインティマシーコーディネーターのお話のようです。
番組制作の過程での変化、社会の変化を順番に取り上げていくことになりそうです。