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不適切にもほどがある【第2話感想】

 

 

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阿部サダヲさん主演ドラマ『不適切にもほどがある』第2話が放送されました。正しいことと人間としての愛情は全く別の尺度であり、そのことが混同され一部の人間に負担がかかっている現状を面白おかしく風刺する内容でした。

 

 

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2024年2月2日

公式サイト

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』|TBSテレビ

基本情報

原作

ありません

脚本

宮藤官九郎

キャスト

小川市郎(阿部サダヲ)
犬島渚(仲里依紗)
秋津睦実/秋津くん(磯村勇斗)
小川純子(河合優実)
向坂キヨシ(坂元愛登)
向坂サカエ(吉田羊)

相関図はコチラ↓

相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』

感想

市郎の順応性

基本的には時代を行き来する中で、現代を生きる渚(仲里依紗)や秋津(磯村勇斗)が市郎(阿部サダヲ)から影響を受け、市郎もまた価値観を変えていくという話になっていくのだと思います。
市郎はググることを早速覚えましたし、市郎の変わる部分と変わらない部分の描きわけがとても見やすいです。
彼の根本にある粗野な愛情と憎めない人柄はそのままなのですが、2024年の社会にスムーズに順応してくれます。

「君の思い出はすべてそれに入っているんだね」というセリフは言葉だけ聞くと説教臭いです。
でも、あとで市郎が純子との思い出をすべて巾着袋に入れて持ち歩いていることを知ると「彼は自分のチャンネルで渚を理解しようとしていたんだな」とわかるようになっています。

「正しいだけで心がない」

第2話で示された現代の問題点は「正しいだけで心がない」ルールに縛られた社会です。

価値観の多様性を謳いながら画一的な働き方を強いている、そして理想と現実のギャップのしわ寄せを一人の人間が負担させられている、ということでした。

現代社会では定時で帰ることや男性の子育てへの参加や育休の取得、ペーパーレスが「正しい」とされています。
一方で、結局男性は子育てをしておらず、慣習的な挨拶の文化は温存され、タブレットに対応できない人たちのために印刷するという雑務がかえって増えています。
保育園だって順番待ちです。

そういう社会において渚の価値観は“普通の人”とは異なっています。
報道をやめてバラエティを希望しますし、誰かに頼むより自分でやったほうが楽だと思うタイプの人間なんですよね。
「価値観を尊重して好きにやらせてくれ」という要望に「規則なのでできない」と答えてしまう現代がはたして多様性を認める社会といえるのかが問われていました。

「同調圧力があって帰りにくいから早く帰れ」という同調圧力が存在するというのは風刺が効いていましたね。

昭和が正しいというよりは人間の本質のようなところに着目していて、第1話の時若干感じた違和感のようなものは今回は感じませんでした。

「俺にできることがあったら何でも言って」

象徴的に登場したのが「俺にできることがあったら何でも言って」という言葉です。
誰でも一度は言ったことがあり、言われたこともある言葉ですよね。

この言葉に本作では「本当に必要なのは『私がしてほしいこと』を(たとえ苦手であっても)してくれる人で、自分が得意なことだけを請け負おうとする人ではない」と主張しています。

本当に誰かの気持ちに寄り添うということはそういうことなのかもしれませんね。
結局どんなに素晴らしいルールがあってもそれを運用していくのは人間なので、よりよい社会を作っていくためには人の心が必要だということですね。

純子は市郎の寂しさを紛らわせるためにグレるという全く正しくない方法をとっていますが、これも正しくはないが愛情にあふれています。
また、そもそも市郎と亡き妻との馴れ初めは褒められたものではありません。
しかし二人の愛情と築き上げた家庭は嘘ではないんですよね。

ミュージカル

ミュージカルは毎回お決まりのパターンとして登場してくるようです。
面白いのは選曲に立場や時代の価値観が反映されているところです。
それまでエキストラとして背景に過ぎなかった人たちが参加してくるのはダイナミックですし、このドラマが主人公たちだけでなく社会全体を扱っているのだという感じが伝わっています。

また、どちらが正しいかを断定する必要もなく、両論併記的に話が終わっても違和感がないというのもこのドラマにぴったりです。
過労死が多いから今の制度が生まれたわけで、このミュージカル演出によって「コンプライアンスがすべて悪い」という安易な答えに流されないようになっています。

88歳の市郎

「38年後の88歳になった小川は何をしているのだろうか」という話題が登場しました。
阪神淡路大震災の話が登場した流れで、もう一つの震災についても触れられていたので彼は東日本大震災で亡くなったのかもと思ってしまいました。
考えすぎかな?

もう一つ思ったのが渚と市郎は祖父と孫の関係なんじゃないかということです。
まぁ誰もがそう思っているでしょうけどね。
純子(河合優実)が駆け落ちしたため、二人の間には面識がないというのなら自然です。

おわりに

天井が異世界に通じているのは『ストレンジャーシングス』っぽかったです。
次回はタイムパラドックスの話が登場するようですし、市郎が昭和で活動することで現代社会がどのように変わっていくのかも気になりますね。

あと、1986年の景気はそんなに良くなかったようですよ。