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トリリオンゲーム【第6話感想】ゴップロ買収

 

 

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目黒蓮さん、佐野勇斗さん、今田美桜さん出演ドラマ『トリリオンゲーム』第6話は前回に引き続き芸能プロダクションの買収とゲーム開発が描かれました。どちらとも主人公たちの存在感は薄かったです。株主総会の方は他のドラマに劣りますが、ゲームの方は興味深い内容でした。

 

放送日

2023年8月18日(金)22:00~ TBS系列で放送

あらすじ

あらすじ|TBSテレビ 金曜ドラマ『トリリオンゲーム』

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トリリオンゲーム - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

キャスト

ハル/天王寺陽(目黒蓮)天性の人たらし。
ガク/平学(佐野勇斗)パソコンオタク。ハルの中学時代の同級生。
黒龍キリカ (今田美桜)ドラゴンバンク取締役。一真の娘。
高橋凜々(福本莉子)堅物な就活生。社長。
長瀬忠則(竹財輝之助)キリカのボディーガード兼秘書。
祁答院一輝(吉川晃司)「祁答院ベンチャーキャピタル」の社長で投資家。
黒龍一真(國村隼)「ドラゴンバンク」を一代で築き上げたカリスマ経営者。

相関図はコチラ↓
相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『トリリオンゲーム』

感想

全体

前回二人はメディア事業とゲーム事業の二兎を追うことを決めたため今回はそれに沿って進んでいきました。

しかし、ゲーム事業の方では蛇島(鈴木浩介)、メディア事業では祁答院(吉川晃司)の方が目立っていて主役の二人は存在感があまりありませんでしたね。
順番に振り返ります。

メディア事業

前回も終盤で少しだけ登場していましたが、彼らがやっているのは株主総会に向けての委任状の争奪戦・プロキシーファイトです。

プロキシーファイト - Wikipedia

彼らの要求は社長の解任なので議決権の過半数を確保すれば勝ちです。
神社長(塚本高史)は彼らの動きを察知し金子に委任状を書かせたうえで土壇場で撤回させるという対抗策を打ち出しました。

これって、株主総会までの時間的制約を利用した対抗策ですよね。
それに議案を提出するだけなら過半数を確保する必要は無くて、ヒムロ(曽田陵介)のような影響力のある人物が賛成に回れば可決される可能性はまだあります。

そのあたりの説明がないので、不規則発言を連発しているだけに見えてしまったのが残念です。
内容は2004年のエイベックスのお家騒動を思い出します。

エイベックス・グループ - Wikipedia

こういうのって誰が何パーセント株を持っているとか、そういう細かい部分が面白いので、ざっくりした内容だとつまらないんですよね。
正直言って買収を巡る闘争なんかは他にもっとリアルなドラマがあるし、現実の買収劇の方が面白かったりします。

このドラマがそういう他の経済ドラマと大きく違うのは、最終的にハルと神社長の一対一の腹の探り合いで決まる点にあります。
相手の手札に強いカードが残っているのか、それともハッタリなのかを読み合うポーカーのような心理戦が見どころのはずですが、神社長が簡単に禅譲の道を選んでしまったので特に盛り上がりませんでした。

ゲーム事業

ざっくりしていたプロキシーファイトに対して、ゲーム事業の方はかなり緻密にその業界の内実が描かれていました。
株のあれこれと違って競合する作品が少ないというのもありますね。

スマホの無料ゲームで儲ける仕組みについて細かく解説していて、

  • 収益=ユーザー数×課金率×課金単価
  • ユーザー数=インストール数×継続率

という感じで因数分解したのが面白かったです。
さらに、それぞれの要素を高めるための方法論として、移動時間にプレイできるようにするとか、キャラクターを充実させるとか、具体的な対策を打ち出しているので蛇島の有能さが際立ちましたし、トリリオンゲームの面々に欠けていたものがはっきりしましたね。
また、この因数分解、ゲームを要素に分解していく分析的な手法は蛇島と桜の妥協点を見出すことにも役立ちました。
「この『プチプチアイランド』の核となるのは手触りと効果音だ。」と宣言したことで二人の役割分担と互いのリスペクトがはっきりしたのも良かったです。

ゲームのような展開

蛇島は黒龍に脅しをかけられ、迷惑をかけないために自ら身を引こうとします。

彼は過去に横領をしたこともあるし、ハルたちにも高額な報酬を吹っかけていました。
これは心が揺れるような作品を作るためにゲームクリエイターになったのに、いつの間にか組織の歯車に甘んじてしまった自身のプライドをこれ以上傷つけられないために、道化っぽく金の亡者を演じることで満たされない日々を凌いでいたのでしょうね。
キャラクターとして行動原理に説得力があって魅力的でした。
「ゲームの世界ならあり得るんだけどな」とハルたちに漏らし、最終的に大きな力に抗う選択をするのはまさにゲームに登場する勇者ですね。

結果的に巨大資本の宣伝を逆手にとって利用する形になりました。
札束で殴り合う業界に一石を投じる姿はこのドラマらしかったと思います。

相乗効果

両方成功したハルたちは資金面でも広告宣伝やコンテンツの面でも相性のいい二つの事業を拡大させていきます。

ここで提示されたのが「なぜ無料で遊べるゲームに課金するのか?」という疑問でした。

黒龍は現実逃避とかりそめの勝利を理由にあげます。
一方、蛇島は心が揺れるかけがえのない瞬間を得るために課金するのだ、と答えました。

蛇島の見解はクリエイター目線と言うか、「我々の作っているものは単なる気晴らしではなくリアルな感動だ」という矜持のように思えます。
『プチプチアイランド』の手触りの良さが強調されているのもこのリアルを志向しているからなんでしょうね。
『プチプチアイランド』が『ドラ娘』に勝つことでそれを証明して見せました。

漫画やドラマも作品ですから、この蛇島の思いというのは制作者たちが持っているものなのでしょう。
この『トリリオンゲーム』という作品も単に荒唐無稽なサクセスストーリーを現実の憂さ晴らしとして消費するのではなく、そこに含まれたリアルで根源的な“手触り”に注目してほしいということなのかも。

おわりに

メディア事業の方はつまらなかったですが、ゲーム事業の方は面白かったです。
彼らも結構大きくなってきたのでそろそろドラゴンバンクとの直接対決に移行しそうですね。

関連リンク

原作漫画は電子書籍で

稲垣理一郎/作画:池上遼一『トリリオンゲーム』