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2024年大河ドラマ『光る君へ』第10話が放送されました。花山天皇の出家という前半最大の事件が起こりました。この出家と道長の駆け落ち未遂が対比的に描かれていて、宿命を背負う覚悟を決めた男女の姿がとても印象に残ります。
放送日・あらすじ
放送枠
NHK 日曜日 20:00~
放送日
2024年3月10日
公式サイト
基本情報
原作
ありません
脚本
大石静
キャスト
多すぎるので省略します
相関図はコチラ↓
大河ドラマ「光る君へ」 全体相関図 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK
感想
スパイ映画
今回は兼家(段田安則)による花山天皇出家作戦が決行されました。
最初にだれがどのような役割を担い、どのような手順で花山天皇を内裏から連れ出すのか、制限時間はどれぐらいなのかが明かされます。
内裏の地図まで登場しまるでスパイ映画のようでしたね。
この時点では明確には描かれていませんが、計画に加わっている道長の脳裏には道秀の最期が駆け巡っているんです。
そんな思い悩む道長にリアリストの父親は役割を与えました。
それはもし計画が失敗したときは知らぬ存ぜぬを貫き通し、父と兄弟を売り渡して生き残れという非情な決断を強いるものでした。
今回面白かったのはここなんですよ。
花山天皇が出家を画策している中、道長もすべてを捨ててまひろとともに駆け落ちしようとしていて、二人が対比さえています。
もし計画が失敗すれば藤原家を背負っていかなければならない。
姉は源の姫たちの結婚話を進めていて、しがらみが増えていく。
そんな中でストーリーは展開していきます。
漢詩と和歌
道長の送った和歌に対してまひろは漢詩で返答します。
当時の常識を知らなくとも視覚的に二人のすれ違いが感じ取れます。
そこに行成の「漢詩は志を、和歌は心を託すものです」という解説を加えられることで「そういうことね」と納得できるようになってます。
ただ、まひろの思う志と道長の思う志がズレていることが二人の密会を通して明かされる2段構造になっているんですよ。
道長はかつて道秀がそうしたように「一緒に海の見える国へ駆け落ちしよう」とまひろを誘いますが、まひろは「道長の果たすべき天命は道秀のような恵まれない人々を政治の力で救うことだ」と諭し「私も道長様を見つめ続けます」と道長の背負う宿命の一部を一緒に背負うことを約束するんです。
「あなたは道秀ではない。道秀の人生を代わりに生きるのではなく、自分の宿命と向き合いなさい。」というのはかなり重たい言葉ですね。
「いつわりはいらぬ」から始まるやりとりも、まひろが代筆をやめたエピソードを思い出せば嘘ではないことがわかりますよね。
まひろも道長と結ばれる未来を道長のために捨てます。
ふたりのラブシーンは温度が伝わってくるような生々しさ、妖艶さがありました。
「幸せでも悲しくても泣くのよ」ってセリフがよかったですね。
こういう幸せと悲しみを同時に訪れる瞬間こそがドラマを見る醍醐味といえるかもしれません。
花山天皇との対比
さて、一連の道長とまひろの密会は花山天皇の出家と対比されています。
女装した花山天皇も袿を羽織っていましたよね。
月夜であることも同じです。
途中道長はまひろが家に帰り決意が揺らぐことを心配していますが、これも花山天皇の場合と同じですね。
道長が最終的には道秀の死に向き合い宿命を受け入れたのに対し、花山天皇は亡き忯子への想いにとらわれ周囲を遠ざけ、政治に対する責任を投げ捨てます。
もし道長の描写がなければ「花山天皇かわいそう」ってなってたかもしれませんね。
作戦決行
印象に残ったのは藤原一族の面々の表情ですね。
高笑いする兼家、おどおどする道綱、何も知らずすやすや眠る東宮などなど、まるで映画のようでしたね。
強いて言えば、計画が破綻しそうになる瞬間が1手紙を取りに戻りたいとごねる2道綱がつまづく3月が明るすぎる、の3つだけで多少エンタメとしては物足りなさもあります。
ただ、歴史の考証もあるでしょうし仕方ないですね。
おわりに
死にゆく高倉殿に最期まで寄り添おうとする父の姿もまひろに少なからず影響を与えているのでしょう。
いろんな読み取りができて、かなり満足度の高い回でした。
今回でひと段落ついたので、大河ドラマについて書くのは一旦止めにします。