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2024年大河ドラマ『光る君へ』第6話が放送されました。和歌や漢詩、平安文学に関する視聴者に高い教養が要求される回でした。清少納言も登場し、紫式部ら主人公たちとは別の物語の軸が動き始めたように感じました。
放送日・あらすじ
放送枠
NHK 日曜日 20:00~
放送日
2024年2月11日
公式サイト
基本情報
原作
ありません
脚本
大石静
キャスト
多すぎるので省略します
相関図はコチラ↓
大河ドラマ「光る君へ」 全体相関図 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK
感想
源雅信
今回は源雅信とその娘・倫子(黒木華)を巡る思惑がストーリーの中心となっています。
まず、まひろ(吉高由里子)は父のよりどころが右大臣家しかないことを案じて倫子に取り入ろうとしています。
詮子(吉田羊)は帝に毒を盛った父・兼家(段田安則)に対抗するため、源雅信を強引に仲間に引き入れ道長には倫子との結婚を促します。
兼家は自身の政治基盤を安定させるという詮子とは全く別の思惑で詮子と同じく道長に倫子との結婚を勧めていました。
一族の闇
まひろの母を殺害した道兼を「一族の泥をかぶってもらう」ということで一応の納得をし赦した道長ですが、彼も結局は藤原家の人間なんです。
先代の帝に父は毒を持っていますし、現在進行形で帝に皇子が生まれないように呪っている最中です。
天皇が誰であるかより、天皇を支えるのが誰かのほうが大事だという彼の考え方がここから変化するのか、このまま進んでいくのか気になります。
暗闇から登場する道兼と重なり合うその影という演出はよかったですね。
霧の中を馬で駆ける道長の様子からは迷いや逃れられない運命が感じられました。
おかしきことこそめでたけれ
そこで登場するのが散楽のメンバーです。
五節の舞で倒れた自身のエピソードを「したたかな女性」という視点で再構成した創作を披露しましたが、みんなから「笑えない」と一蹴されてしまいます。
結構面白そうだったんですけどね、散楽としては笑えないということなのでしょう。
結局貴族としての価値観に縛られているまひろと虐げられている人々の差が描かれています。
右大臣家と距離を置きながら、自分の使命について迷うまひろの焦燥感は道長と呼応していますね。
上に書いた3つの要素が流れるように展開しているのが第6話の素晴らしい点です。ストーリーがいくつかの階層に分かれていてその行き来がスムーズなんです。
蜻蛉日記
蜻蛉日記の話が出ていました。作者は前回登場した藤原道綱の母(財前直見)です。
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「一人の夜の寂しさを詠っているようで、実は自慢をしている」というまひろの解釈は平安の世に生きる女性のしたたかさを表現しているのでしょう。
まひろと関係あるようなないような微妙な内容で、いまいちこのシーンの意味は分からなかったです。
漢詩の会
ここまででもかなり面白い第6話ですが、今回素晴らしかったのは道隆が主催した漢詩の会です。
こういうのが見たかったんですよ。
清少納言も登場しますし、平安って感じが楽しいです。
その分難しいですけどね。
まず、「漢詩にはそれを選んだ人の望みがあらわれるものだ」という前提が与えられます。
ここが素晴らしかった。
漢詩自体は日本語に翻訳されますが、私のような素人にはそれでもかなり内容が把握しづらいのです。
でも、「欲しいものを詠っている」とあらかじめ教えてくれているので、そこだけ注目すればギリギリ何とか理解できます。
それでも難しいんですけどね。
行成
行成の詩はよくわかりませんでした。
獨酌花前醉憶君
與君春別又逢春
惆悵銀杯來處重
不曾盛酒勸閒人
これは私が行成という人物をよく知らないからかもしれませんが、昔の恋人への思いですかね?
斉信
斉信の詩はわかりやすいですね。
酒盞酌來須滿滿
花枝看即落紛紛
莫言三十是年少
百歲三分已一分
頼りの妹の容体も悪いですし、とりあえず焦っていることはわかりました。
道長
道長の詩はまひろへの思いだと考えてよさそうです。
賜酒盈杯誰共持
宮花滿把獨相思
相思只傍花邊立
盡日吟君詠菊詩
そのあと「会いたい」という和歌も送ってましたね。
公任
一時過境無俗物
莫道醺々漫酔吟
聖明治蹟何相致
貞観遺風觸眼看
前回の彼の発言と併せて考えると、彼は花山天皇のもとで世代交代を望んでいるのかもしれないし、現状に満足しているのかもしれませんね。
どうやらまひろが公任の詩を「白楽天みたいでした」と評したのは道長の詩に気を取られて聞いてなかったからのようです。
そこで清少納言に「何言ってんだこいつ」と突っ込みを入れられたんですね。
多分そこまで理解できる視聴者はかなり限られています。
でも、そこであえてわかりやすくしないところが良かったと思います。
知的好奇心を程よく刺激してくれるぐらいのほうが調べる楽しみもあって長く味わえますよね。
いずれ誰かが詳しく解説してくれるでしょう。
清少納言
「しゃしゃり出る女」こと清少納言も面白かったですね。
本人は悪気がないのかもしれませんが、ハリーポッターのハーマイオニーのような「お前に聞いてねえよ」っていう前へ前への精神が笑えます。
嫌な奴に描かれていなくてどこかチャーミングなのもよかったです。
斉信や公任は『枕草子』の中にも登場するそうなので、むしろ清少納言との絡みで面白くなるのかも。
「鼻をへし折ってやりたい」という言葉からも、教養の格闘技のようなクイズ大会が期待できそうです。
おわりに
さて、忯子が死んだことで花山天皇の出家が近づいています。
この事件が前半のピークになることは間違いないでしょう。