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2024年大河ドラマ『光る君へ』第9話が放送されました。貴族社会の頂点である右大臣家に生まれながらどこか傍観者で低体温だった道長が、その甘さゆえに悲劇を巻き起こしてしまいます。花山天皇の出家が迫る中、道長の青年期が終わろうとしています。
放送日・あらすじ
放送枠
NHK 日曜日 20:00~
放送日
2024年3月3日
公式サイト
基本情報
原作
ありません
脚本
大石静
キャスト
多すぎるので省略します
相関図はコチラ↓
大河ドラマ「光る君へ」 全体相関図 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK
感想
一族の罪
以前次兄の道兼(玉置玲央)が一族が背負う罪の話をしていました。
「藤原一族である以上、直接手を下さなくとも人殺しに関与してしまっている」という内容でした。
道長は藤原氏の横暴を揶揄する散楽を見物するなどの普通ではない行動をとっています。
貴族であることや藤原氏であることに罪の意識を感じていて、意図的に線を引いて安全地帯にいたのかもしれませんね。
今回はそんな貴族社会にいながら、傍観者であろうとする道長に現実を突きつける回でした。
道長はわいろを渡すことで直秀たちを解放してもらえるだろうと安易に考えていました。
まひろに対して「心づけを渡しただけだ」と語るのはどこか誇らしげで、父たちのやっていることを見よう見まねでやってみたのでしょう。
しかし自ら検非違使に引き渡しておきながらお金を渡して「痛めつけるな」と指示すれば、相手は「殺せ」という意味だと誤解することまで考えが至っていません。
散楽で藤原氏を侮辱していたという事情があるので役人の側がそのように理解するのも頷けますよね。
まひろが「土御門家の屋敷の方に見られたら」と言っていた時もその意味を理解していなかったですし、彼は貴族社会に生きていながらその流儀を身に着けていないのかもしれません。
権力を使ったことがないからその怖さを知らないんです。
「盗賊を逃がしては示しがつかない」という理屈も玉虫色で、理屈の割に詰めが甘いんですよね。
他人事な道長
道長ってどこか傍観者で、まるで自分は貴族ではないかのように振舞いたがります。
公任たちの会話に対してもいつも冷めていました。
以前父から「民の暮らしを知ってしまうと政治はできない」と忠告されていましたが、今の道長はその忠告通りになっているのかもしれません。
直秀は貴族と貴族社会に対して明確に恨みを持っています。
貴族から奪ったものを民衆に配るという義賊としての行為を行っています。
一方の道長は彼の恨みを正面から受け止めるわけでもなく、どこか「私は違うよね」っていう媚びるような態度、兄弟や友達のようにふるまうところがありました。
自分に敵意を向けられたときたじろいだのかも知れませんね。
そして貴族を問題視しつつも民衆を救済するために行動に出たこともありません。
第1話から鳥かごがモチーフとして登場しています。
それは一見するとまひろの境遇のメタファーのようでしたが、一番貴族社会という鳥かごにとらわれているのは道長なのかもしれないですね。
直秀を殺すという罪を背負った道長が次回以降どのような変化をみせるのか、傍観者からどのように変わるのか見ものです。
父と道兼の策謀
道長が生ぬるいことをしているうちに父と兄は花山天皇を退位させるべく行動していました。
大河ドラマで種明かしのように時系列をさかのぼる演出は珍しいと思います。
安倍晴明(ユースケ・サンタマリア)が実はこんな提案をしていたというシーンはまるで『コンフィデンスマンJP』を見ているみたいでした。
玉置玲央さん演じる道兼が素晴らしく、印象に残りますね。
父に認められるために自らを傷つける危うさと、父が自分を選んでくれたことへの喜びがすごく気持ち悪くてよかったです。
怨霊というのは現在の感覚では理解できませんが、兼家のロジックは極めて明確です。
怨霊を信じているとすれば確かに出家する以外に方法はないと納得させてくれます。
噂を流すことで流れを作るというのは案外現在も行われているのかもしれないですね。
花山天皇の出家は次回のようです。
前半のクライマックスを迎え、直秀の散楽に彩られた青年期が終わり、道長とまひろの関係も変わっていくのでしょう。
おわりに
道長の結婚もそろそろですね。
毎熊さんが退場するのは残念です。