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光る君へ【第4話感想】

 

 

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2024年大河ドラマ『光る君へ』第4話が放送されました。身分の違いというテーマで様々なキャラクターを描いており、エピソードとしてのまとまりがありました。秩序や全体のために個が犠牲になるという構図は現代と共通する点もあり、本作の柱となるテーマが垣間見えた気がします。

 

放送日・あらすじ

放送枠

NHK 日曜日 20:00~

放送日

2024年1月28日

公式サイト

大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

基本情報

原作

ありません

脚本

大石静

キャスト

多すぎるので省略します

相関図はコチラ↓

大河ドラマ「光る君へ」 全体相関図 - 大河ドラマ「光る君へ」 - NHK

 

感想

身分を巡るあれこれ

第4話は身分をめぐる問題に焦点が当てられていました。
登場するエピソードが身分という観点でまとまりをもって提示されています。
そのためテーマじたいはわかりやすいのですが、何が言いたいのかはいまいちわからなかったです。
雑多な感じになるかもしれないですが、私なりに感じたことをまとめます。

道長とまひろ

道長とまひろはお互いに身分を偽って出会いました。
今回序盤にまひろが自分の身分を明かし、終盤でまひろが道長の正体に気づくことで二人の関係性は新たな局面を迎えます。

道長は庶民の服装をしているので当初まひろは「貴族と庶民の身分差」に思い悩みますが、道長が藤原家中枢の人物であることが発覚したことで「貴族間の身分差」へと変化します。
「上だと思っていたら下だった」という事実が身分制を嫌っているまひろの中にも意識下に身分性が根付いていることを示すことになるかもしれませんね。

さらに、三郎が道長であるということは母を殺した道兼の弟であるということを意味します。
次回この話が大きく動きそうですね。

竹取物語

まひろは倫子のサロンで竹取物語に関して独自の解釈を披露しました。
姫が公達に無理難題を突き付けたのは「やんごとなき人々への怒り」であるというのは、道兼に母を殺されたまひろの思いが反映されているのでしょう。
盗賊たちの方に親しみすら抱いているようでしたね。
そしてそれは権力者に媚びる父への失望にもつながり、権力に憤りながらも文化に触れたいという誘惑に負ける自身の情けなさにまでつながっています。

論語など人の道を説く学問を学びながら、それに背く行為をしてしまうまひろを「人だから」と宣孝(佐々木蔵之介)は評していました。
『源氏物語』は人の道を説いたものではなく、人間の性や愚かさを描いているとすれば、このあたりの葛藤が反映されるのかもしれませんね。
正しいとわかっていても行動に移せない人間の弱さが徐々に愚かな人間を肯定する方向でまとまっていくのでしょう。

宣孝は「身分制がなくなると世が乱れる」と言っていました。
これは正しい面もありますが、現在上に立つ者の理屈でしかありません。
例えば『エルピス』にもこういった主張は登場していましたし、出自により将来が決まってしまうというのは現代に通じるところがあります。
「上級国民」という言葉は好きじゃないのであまり使いたくはないですけど、そういうことが言いたいのでしょう。

この時代は藤原氏が権力を手中に収めていて、貴族であっても出世の道は閉ざされているんですよね。
また、道長は藤原家といえども三男であることから、現状にほどほど満足している、あるいは無力感を抱いているようにも見えます。
彼が「たとえ世が乱れようとも社会を変えるために上を目指す」と決意するという展開が待っていそうですね。
もしそうなれば、今の三郎が最高権力者・道長に変化する過程としては自然に思えます。

もっと言えば、宣孝の言葉はその先の貴族社会の終焉を予見しているともいえるかも。

道具としての女性

詮子(吉田羊)は父が帝に毒を盛ったことを知り、怒りに震えます。
しかし男たちは「これで兄弟の絆が深まった」と意に介しません。
円融天皇も詮子を世継ぎを生むだけの存在と見ています。

一方、倫子(黒木華)は父の出世の道具となることを拒否していました。
彼女が猫を抱えていたこと、さいころを使う双六に興じていたことは「思い通りにならない」ことを暗に示しているのかな?

花山天皇

彼もまた関白を無視し、親戚を重用します。
帝でありながらトリックスター的で、身分制を崩す側にいるんですよね。

彼の政策の良し悪しはわからないですが、彼の判断基準は「民が喜び、自分を貴ぶかどうか」にあります。
先例と秩序、現状維持を目指す藤原家の障壁になることは明らかで、彼の出家につながっていくのでしょうね。

花山天皇の出家のきっかけは忯子の死です。
道長が「毒を盛るとか(笑)」と軽口をたたいていましたが、これは現実になるでしょうね。

おわりに

五節の舞はとても美しかったですね。
実際のところどんな踊りだったのかはわかりませんが、上からの映像は当時の人も見たことないでしょうね。
フォーメーションが入れ替わるところがきれいでした。