30インチで観ています。

映画やテレビドラマの感想を書いています

たとえあなたを忘れても【第1話感想】雰囲気がいい

 

 

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています(詳しくはプライバシーポリシーをご覧ください)。

堀田真由さん、萩原利久さん出演ドラマ『たとえあなたを忘れても』第1話が放送されました。神戸を舞台にした本作は、ピアノと記憶障害の青年、月と廃墟などとにかく詩的で雰囲気が良いです。情報の出し方もさりげなくてとても今後に期待のできる初回でした。

 

放送日・あらすじ

放送枠

テレビ朝日 日曜日 22:00~

放送日

2023年10月22日

あらすじ

『たとえあなたを忘れても』|朝日放送テレビ

配信状況は公式サイト、またはこちらでご確認ください↓
たとえあなたを忘れても - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarksドラマ

基本情報

原作

ありません

脚本

浅野妙子

キャスト

河野美璃(堀田真由)音楽教室のピアノ講師。
青木空(萩原利久)キッチンカーを経営する記憶障害を持つ青年。
森亜弓(松井玲奈)携帯ショップの上司。
山内和樹(南北斗)美璃の同僚。
田村俊貴(こがけん)店長。
遠山保(風間俊介)美璃の従兄。心療内科の医師。
宮下茜(畑芽育)保の患者。記憶障害を持つ
樋口充(平井亜門)院内薬剤師。
藤川沙菜(岡田結実)薬剤師。空の幼なじみ。
衛藤まりあ(森香澄)プロのピアニスト。美璃の音大時代の同期。
河野ゆかり(加藤貴子)美璃の母親。
青木理佐子(檀れい)空の母親。
青木智也(丸山智己)空の父親。

相関図はコチラ↓
相関図|『たとえあなたを忘れても』|朝日放送テレビ

感想

神戸が舞台

このドラマの舞台は神戸市です。
東京や横浜以外のドラマはそれだけで新鮮な感じがしますね。
神戸といえば海と山のイメージですし、本作でも両方登場するのですが、本作ではそれに加えて川が登場しました。石屋川という川らしく、主人公の勤めていたピアノ教室のある建物は『火垂るの墓』にも登場する歴史的な建物のようです。

https://mikage-kokaido.jp/

苦境に立つ主人公

冒頭からご飯とふりかけだけの朝食、水道料金の請求書さりげなく映し出されますが、それだけでは主人公が困窮しているとは思わないんですよね。
この時点では「ひょっとして……。考えすぎかな?」程度で確信は持てないです。
しかし、メロンジュースを我慢したり、その時の財布から懐具合が垣間見えたりして徐々に「やっぱりお金がないんだなぁ」ってことが鮮明になってきます。
最終的には奨学金の返済に関する通知も届き、困窮している原因と彼女の半生が分かってくるんです。
この情報の出し方に工夫があってストーリーに引き込まれました。

音楽家としての挫折

大学を中退した理由は明らかにされていませんが、ピアノを弾けなくなるようなトラウマや挫折を経験したようです。そもそも地元ではある程度通用しても音大では周囲に埋もれてしまっていたようですしね。
しかし、子供の前では楽しそうにピアノを弾いていたし、ピアノ自体は嫌いではないようですね。
ここでも面接での主人公の反応と回想を通して情報が小出しにされています。
この引き付ける感じが本当にうまいです。
また、友人のツテで浮かれていた面接前としょぼくれている面接後の落差も痛々しくて、それぞれ同じジュースを飲んでいるのが印象的ですね。

それにしてもあの出版社にどの程度のコネがあったんでしょうね?
音楽家として成功している友人と主人公の温度差が明らかになります。

雰囲気が良い

川沿いの風景、キッチンカー、月、ピアノと、とにかく観ていて雰囲気が良いんです。廃墟で月下にピアノを弾くって「荒城の月」じゃないですが、悠久の時の流れと即興の音楽の対比が効いています。
昔読んだっきりなのでうろ覚えですが三島由紀夫の『金閣寺』にもそんなテーマが含まれていたような気がします。
また、空の記憶が一時的なものであることとその場限りの音楽の相性もいいです。

記憶障害

初回は空が記憶障害であることを主人公は知りません。
そのため唐突な別れが訪れ、困惑してしまいます。
ここは例えば「忘れないために貼っていた付箋が風に飛ばされる」とか、そういう描写があったほうが良かったかも。
電話に出ない理由はよくわからないし、記憶障害とはいえ青木がひどい男のように映るんですよね。

生徒たちが辞めていくことや心の支えである青木がいなくなったことで彼女は音楽の道を離れ、携帯電話ショップで働き始めます。
主人公の生徒が次々に辞めていくのは主人公に問題があるのかな?それとも例えば生徒が一年生から指導していたとして、その生徒たちが受験期に入り、入れ替わりの時期に来ているのかな?
まぁ、おいおい明らかになるでしょう。

携帯電話ショップはノルマもあって離職率の高い職場です。
そのため人手が足りていないのか主人公もあっさり採用されました。
そういう職種なので、おそらくどこかのタイミングで再び音楽の道に戻るのだとは思いますが、ピアノが無くなると雰囲気が暗い方向に傾きすぎるような気がしますね。

ナレーション

主人公・美璃(堀田真由)によるナレーションが時々挟み込まれます。
その内容からこのドラマ自体が美璃による回想であることが分かります。
「覚えてる?」という口調から判断すると、美璃が空に送った手紙の文面なのかもしれませんね。
本作のタイトルは『たとえあなたを忘れても』です。
『たとえあなたが忘れても』ではないんですね。
空の目線でタイトルがつけられているところに注目です。

詰めの甘さ

とにかく雰囲気が良い本作ですが、廃墟にピカピカのピアノが置いてあったり、満月が昼の高い空にあったり、詰めの甘さは感じます。
特にピカピカのピアノは違和感が強かったです。

摩耶観光ホテル - Wikipedia

おわりに

『大奥』、『教場0』、『CODE』、そして本作と、気付けば1年間堀田真由さんを観続けていました。
どれも良い作品ですけど個人的には本作がそれらを上回るような気がしています。
そういえば、『ONE DAY』の二宮さんも記憶障害でしたね。
記憶障害について説明があったような気がしていたのですが、こっちの作品と混同していたようです。