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大奥第9話~シーズン2に期待

 

 

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NHKで放送されている『大奥』第9話は赤面疱瘡との戦いと吉宗(冨永愛)の後継者を巡るお話でした。一般には暗君とされる家重(三浦透子)を優秀な人物と描いているなど面白いところが多数ありました。

 

放送日・あらすじ

放送日

2023年3月7日(火)22:00~NHKで放送

あらすじ

www.nhk.jp

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大奥 - NHK

 

 

感想

赤面疱瘡との戦い

第9話の前半は前回に引き続き、市中で流行し始めた赤面疱瘡対策についてでした。
進吉(中島裕翔)が見つけ出した特効薬・猿の肝は全く効きません。
あの村で赤面疱瘡が流行っていなかったのは単純に山奥に位置し外界との交流がほとんどないからだったようです。
よく考えれば昨今のコロナ禍でも民間療法で様々なものが効くといわれては否定されました。
そう簡単に特効薬が見つかるわけないですよね。

死体の山

結局吉宗(冨永愛)たちはなすすべなく赤面との戦いに敗れます。
それはつまり国の滅亡を意味するのでこの敗北により吉宗に去来する無力感は相当な重みがあったことでしょう。

ただ、成果もあったようで、隔離政策が一定程度有効であることがわかりました。
そして、本格的に遺体を見分し死に至るメカニズムを解明しようという動きも生まれました。
そして、特効薬を海外にまで求め、蘭学が男子に限り励行されました。

このあたりはシーズン2で実を結ぶのでしょう。

男子が減少していることを他国に知られると侵略される危険性があるから鎖国するというのがこのドラマの設定です。
初めてこれを聞いた時にはなるほどと思ったのですが、果たして本当にそうなるかな?と最近考えなおしました。
それに江戸のような都市部から脱出する動きがあってもよさそうなものですがそれもないんですよね。

まぁ、フィクションにそんなこと言いだしたらキリがないのでやめときます。

吉宗の後継者

後半は吉宗の後継者を誰にするかという話題に変わりました。

Wikipedia情報で恐縮ですが、史実の中の家重という人物は言語に障害があり、酒色におぼれ、文武を怠った暗愚とされているようです。将軍になったのも長男だからというだけみたいです。

徳川家重 - Wikipedia

このドラマではそのあたりを逆転させています。
大奥に限らず大河でも人物評を逆転させ新たな見方を提供するというのは醍醐味の一つですね。
このドラマの家重(三浦透子)は「将棋が強く、論理的な思考に優れているうえに古典にも精通しているが、障害がコンプレックスで人前に立つことが苦手である。」ということになっています。
酒色におぼれた暗愚という通説の因果を逆転させ、障害ゆえの無力感から酒色おぼれるようになって、家臣にきつく当たるようになったと解釈しているんですね。

言っていることは同じでも順番を変えるだけで見えてくる人物像が全く異なるものにしているのはさすがですし、何ならこのドラマの解釈のほうが人間的でリアルです。

ちなみに宗武がそらんじた杜甫の漢詩は

江碧鳥愈白
山青花欲然
今春看又過
何日是帰年

です。
あまりめでたい歌ではないようですね。

江碧にして 鳥逾白く 山青くして 花然えんと欲す | 東京禅センター | 今月の法話 | 妙心寺

吉宗の決断

上にも書きましたが、実際は吉宗は家重が長男だから次の将軍に指名したようですが、このドラマでは違います。
そしてここが第9話の一番良いシーンでした。

「役たたずだから死にたい」とふさぎ込む家重に対し、吉宗は見事な説得をします。
「役立たずだから死にたい」というのは、「生きるなら人の役に立ちたい」と同義であると言い換えてみせるんですね。

将軍とは人の役に立ちたいと思い努力しても批判にさらされ、自身の無力感を突き付けられる損な役回りであり、それは家重が日々痛感していることでもあるんです。
つまり家重は「他の者の心のあるなし」という将軍の資質を備えているんですね。

今回の前半で吉宗は絶望的な無力感を味わいました。
一見分離しているように見えた第9話の前後半がここでつながるんです。

まとめ

見終わった後はつまらなかったなと思いましたが、振り返ってみるとそれでも見どころはありました。
特に最後の吉宗の言葉は、多くの視聴者に届いたのではないかと思います。

あと『GetReady』に出ていた當真あみさんが田沼たつ役で出演していましたね。