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松姫の死で一気に暗い話に変わりました。仲里依紗さんの迫力が良かったです。
放送日・あらすじ
放送日
2023年2月14日(火)22:00~NHKで放送
あらすじ
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大奥 - NHK
感想
右衛門佐のたくらみ
右衛門佐(山本耕史)は35歳でお褥(おしとね)すべりとなる大奥の慣習を利用し首尾よく有功以来空席となっていた大奥総取締に就任します。
お伝の方に御殿を設け遠ざけるなど大奥を手中に収めていきます。
しかし綱吉(仲里依紗)は右衛門佐のたくらみに気付いたうえで泳がしていただけだったんですね。
それが発覚したのが韓非子をめぐるやり取りでした。
現代と違って書物を手書きで書き写すため版ごとに微妙な違いがあるんですね。
本来「可ならんや」が正しいのですが右衛門佐と大典侍が二人とも「可なり」だと覚えていたことから、二人が同門であることを見抜きます。
時代劇ならではのトリックですし、綱吉の学問的素養や観察眼を示すスリリングな展開でした。
インティマシーコーディネーター
普段NHKのドラマはそれほど見ないのでわからないのですが、思ったよりきわどいセックスシーンが何か所かありました。
家光編にもあるにはあったのですが今回のほうが激しかったです。公式TwitterによるとNHKではじめて”インティマシーコーディネーター”を導入したそうです。
前クールの『エルピス』でも導入されていたのでこれからのドラマのトレンドになりそうですね。
コーディネーターが介在する事で、不安や懸念のある俳優が、場合によって「NO」と言える環境を作り、萎縮することなくリラックスした状態で演技に最大限集中してもらうことを目指しました。 pic.twitter.com/pwH2Huyxu6
— ドラマ10「大奥」 (@nhk_oooku) February 13, 2023
松姫の死
世継ぎの松姫が死去したことで一気に深刻なストーリーに転換します。
それまでのストーリーが牧歌的だったわけでは決してないですが、すでに若くない綱吉が子供を設けなければならなくなったのは身につまされます。
この設定の裏に家光編の影が見え隠れするのが面白いところです。
史実によるとお夏の孫にあたる家宣が6代将軍になるのですが、桂昌院(お玉)はそれを良しとしないんです。
さらに猫の若紫を殺生したことが子供の生まれない原因だと生類憐みの令の発布につながっていきます。
お玉にとって有功が特別な存在だからこそ生まれた悲劇だと言え、因果が巡るのが歴史大作って感じで感心してしまいます。
世継ぎ
綱吉の立場は非常に現代的で共感できます。優秀な能力を持っているのにそれでは評価されず、器量良くあることを押し付けられ、子供を産むことにプレッシャーをかけられているんです。
ルッキズムとか不妊に悩む夫婦の例を挙げるまでもないでしょう。
時代劇には当時の文化や風俗を疑似的に体験するという楽しさと、現代の問題を投影するという二つの面白さがあります。
このドラマはその両方を備えていると思います。
残酷性
精神的に追い詰められた綱吉は残酷になっていきます。
自分の力を誇示するかのように、大奥で見つけた同性愛カップルに目の前で性行為をさせようとするんですね。
右衛門佐に「自身の権力を人をはずかしめることに使うな」とたしなめられて、常に監視され子作りを強要される自身の境遇を”もっとも卑しい”と反論するんです。
右衛門佐も貧乏な公家の出身で種付け料で家族を養っていました。
彼も学問も素養がありながらそれを発揮する場所が与えられず、種付けを強いられているという意味では綱吉と似ています。綱吉も右衛門佐には苦しみが理解できると思ったのでしょうね。
ここで前回登場した孟子の易姓革命の思想が再び登場します。しかも「いっそ暗君として打倒され、この立場から解放されたらいかに楽だろう」という逆説的な取り上げ方をするのが面白い。
こういうインテリな要素がちりばめられているのが綱吉編の面白さですね。
まとめ
このドラマは歴史SFという特異なジャンルで純粋な時代劇ではありませんが、時代劇としての面白さを十分持ち合わせています。
そして、吉宗、家光、綱吉の各篇が細切れにならず相互に関連しているのも見事としか言いようがありません。
よしながふみ氏の原作が優れているのは言うまでもありませんがそれを映像化した手腕も優れているともいます。