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VIVANT【第8話感想】テスト三昧

 

 

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堺雅人さん、阿部寛さんをはじめとする日曜劇場オールスターが出演した『VIVANT』第8話が放送されました。父と再会を果たした乃木(堺雅人)でしたが、中々信頼してもらえず数々のテストを受けさせられます。これまでのおさらいの色合いが強い回でした。

 

放送日・あらすじ

放送日

2023年9月3日(日)21:00~ TBS系列で放送

あらすじ

あらすじ|TBSテレビ 日曜劇場『VIVANT』

配信状況はこちらか公式サイトをご確認ください↓
VIVANT - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

 

キャスト

乃木憂助(堺雅人)
野崎守(阿部寛)
柚木薫(二階堂ふみ)
黒須駿(松坂桃李)
ノゴーン・ベキ/乃木卓(役所広司/林遣都)
ノコル(二宮和也)

相関図はコチラ↓
日曜劇場『VIVANT』|TBSテレビ

感想

今回はひたすら乃木(堺雅人)が何かを証明させられていました。

別班を裏切ったことの証明

まず最初に黒須(松坂桃李)をベキ(役所広司)の目の前で殺害することで、別班を裏切ったことを証明するように言われます。

ノコル(二宮和也)は乃木による反撃を恐れ、銃弾が一発しか入っていない自身の銃を渡します。
おそらく乃木のことですからノコルの意図を先読みし、一発だけわざと外したのでしょうね。

乃木は完全には別班を裏切っていない可能性が残っています。

4つの棺についても、野崎が乃木の意図を「眼光紙背に徹す」有能さでくみ取っているとすれば生存している可能性もあります。
ただ、万一生きていたからといってどうなるわけでもなさそうです。

黒須に関しては乃木が自分の命を狙わせるために生かしておいたのかも。
彼には何かしら役割が残っているのでしょう。

 

更にポリグラフを使った尋問が行われました。
乃木の口から別班に加入した過程が詳細に語られましたね。
9.11の件については以前も語っていました。

乃木の語った別班の試験内容は実際の証言に基づいています。

『VIVANT』に出てくる「別班」経験者がはじめて明かした「本音」…別班員はなぜ「別人格」になってしまうのか?(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5) (gendai.media)

最後にポリグラフが少しだけ揺れていました。
ノコルがナイフを突き立てて動揺しただけにも見えますが、この演出は他の映画でも見たことがありますし、乃木は嘘をついているということなのだと思います。
ただ、彼が別班について語った内容は我々が見てきたものと一致していますし、どこがウソなのかは分かりません。

息子であることの証明

次に乃木はベキの息子であることを証明させられます。

父と別離した幼少期の断片的な記憶、日本に帰国した経緯、異なる名前を名乗っていた理由など、どれも辻褄があうことが確認されました。
こちらは野崎(阿部寛)が独自に調べていた内容と一致していました。
舞鶴はシベリア抑留されていた方が帰港した地でもありますね。

舞鶴港 - Wikipedia

念のためDNA鑑定も行い、親子であることは証明されます。

検査結果をすり替えることも可能でしょうが、さすがにそれはないでしょう。

有能であることの証明

「乃木が息子であるとしても別班を裏切った信用ならない男という点は変わらない」ということで、許すに値するだけの能力があるのかどうか証明するように迫られました。

IQ、経済の知識、語学力など実用的な能力を中心にテストしていましたね。

高IQの人しか加入できない団体・メンサの入会基準がIQ130らしいので、IQ137の乃木はかなり優秀です。

収支報告書とテントの正体

裏帳簿なんて信用できない人間に最も見せてはならない情報だと思うのですが、テントはよっぽど困っているのか、乃木に機密情報を見せてしまいます。

『ショーシャンクの空に』でも主人公に裏金作りをさせていたし、そんな感じなのかな?
山崎豊子原作の『不毛地帯』ではシベリアから帰還した大本営の作戦立案参謀が商社で経済戦争という第2の戦争を戦い抜く様子が描かれています。
乃木も商社の人間ですし、大陸が舞台ですし、なんとなく似ています。

そして乃木は会計情報からテントの活動内容を分析しました。

  1. 約7億ドルの収入源は誤送金、テロの請け負い、暗殺など
  2. 資金調達のためにテロを行っていた
  3. テロ組織なのに武器の調達などに支出されていない
  4. 幹部報酬が合計約8000万ドルと巨額
  5. 収入と支出が釣り合わず、約6億ドルが使途不明

1,2の資金目的のためにテロを請け負っていたというのが、これまで主義主張が分からない謎の組織とされていたテントの実態でした。
最初は目的をもって生まれたテロ組織が資金稼ぎのために主義主張と関係なくテロ活動をすることはよくあることだと思います。

でもテロを請け負ったのなら、テントが犯行声明を出さなくとも依頼主が犯行声明を出しそうなものですけどね。

ここから順番に3,4,5の疑問を解決していました。

テントの二面性

3の疑問については民間軍事会社を経営していて、その会社に裏稼業としてテロや暗殺を行わせていたということのようです。
最近だとワグネルを想像してしまいますが、9.11以降アメリカの対テロ戦争の中で急速に拡大したようです。
別班のシステムをそのまま流用した仕組みはノゴーンベキ自身が別班だった可能性を示唆していますね。

民間軍事会社 - Wikipedia

一方でテントは4の資金を使って児童養護施設を運営しており、内乱で生じた孤児たちを養っていたようです。

ベキは重さを正確に言い当てる乃木の能力に最も関心を示しました。
乃木が黒須を意図的に殺さなかったことに気付いたのかな?

ベキは裏切りを許さない代わりに仲間を大切にする側面がありますね。

「子供が聞いているから日本語で話せ」というのは現地人に自然に日本語を話させる理由として良かったと思います。

アフガニスタンのタリバンもソ連の侵攻以後急増した孤児の中から生まれた面があるようですし、似ています。

ターリバーン - Wikipedia

この作品は9.11以降の世界を描いているのでしょう。
乃木が別班のはいったきっかけは9.11ですし、テントはタリバン的な孤児を守るという起源を持ちつつ、アメリカ的な民間軍事会社を運営しています。
ノゴーンベキの「緑の魔術師」という異名はアフガニスタンで緑化に尽力した中村哲氏を連想します。

新たな疑問

ノコルの会社で働くことになった乃木はここでも10年分の損益計算書を入手し最後の疑問5を解決します。

  1. テントの使途不明金はまるごとノコルの会社・ムルーデルに流れている。
  2. ムルーデルは土地を大量に購入している。
  3. 土地を大量に購入し始めた時期とテロが活発化した時期が一致している。

なぜ土地を買い占めているのか?これが新たな疑問として提示されました。
6億ドルを3年間支出して購入できる土地の広さがどのぐらいなのかわからないので彼らの目的が何なのかは分からないですけど、自然保護とかそういう系かな?

ナショナル・トラスト - Wikipedia

ちなみに現在放送中の『ハヤブサ消防団』でも土地の買い占めが扱われています。
丸菱商事がやっていたエネルギー事業ってソーラーパネルでしたっけ?

前回乃木と柚木(二階堂ふみ)は桜並木を歩いていましたので4月頃だと思います。
そこからベキの計画が実行されるのは半年後なので、最終回が10月頃の設定になり、現実と一致するのだと思います。

Fについて

Fという名前を聞いて以来、ずっと「どこかで聞いたことがある気が……。」って思っていたのですがようやく思い出しました。
『ストロベリーナイト』に登場する殺人衝動を持つ犯人の名前がFだったんですね。
二階堂ふみさんが出演していた『ストロベリーナイト・サーガ』で言えば第1話に登場します。

ストーリー | ストロベリーナイト・サーガ - フジテレビ (fujitv.co.jp)

本作とは全く関係ないですがせっかく思い出したので書き留めておきます。

おわりに

父と子の話から『エデンの東』のような兄弟の話に変わりつつあります。
兄弟で殺し合うこともあり得ますね。
逆に、ノコルが乃木を庇って死ぬ可能性もあると思います。

いずれにせよ、情報量が多いだけであまり面白くないんですよね。
誰かが趣味で作った架空の町の地図を見せられているような気分になります。