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VIVANT【第6話感想】乃木と薫が接近

 

 

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堺雅人さん、阿部寛さんをはじめとする日曜劇場オールスターが出演した『VIVANT』第6話が放送されました。このドラマが描きたいものが徐々に明らかになってきていますが、特に女性の描き方には古臭さを感じます。一方でテレビドラマの地平を押し広げようという気概も感じられました。

放送日・あらすじ

放送日

2023年8月20日(日)21:00~ TBS系列で放送

あらすじ

あらすじ|TBSテレビ 日曜劇場『VIVANT』

配信状況はこちらか公式サイトをご確認ください↓
VIVANT - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

キャスト

乃木憂助(堺雅人)
野崎守(阿部寛)
柚木薫(二階堂ふみ)
(二宮和也)
黒須駿(松坂桃李)
ノゴーン・ベキ/乃木卓(役所広司/林遣都)

相関図はコチラ↓
日曜劇場『VIVANT』|TBSテレビ

感想

冒頭

冒頭に字幕で「一部過激な制裁シーンがあります。」という注意書きが差し込まれました。
前回までも乃木による絞首刑のシーンがありましたので今更な気がしますし、「一部過激なシーンがあります」でもいいのに「制裁」という言葉をわざわざ入れたのはなぜなのでしょうね?

放送基準 | BPO | 放送倫理・番組向上機構 |

日本民間放送連盟の定める放送基準の第9章・第10章あたりを中心に暴力描写や犯罪描写に関する規定があります。基準に即しているかどうかといえば確かにギリギリアウトな感じはしますね。

このドラマに期待されていることは細かな整合性や作品としてのクオリティというより、日本のテレビドラマの地平を開くという点にあると思います。
そういう意味で、資金面のみでなく内容面でも限界を超えようという姿勢は評価できるのではないでしょうか。

テント

さて、その制裁シーンが描かれたテントのシーンですが、ダースベイダー感満載の役所広司さんが日本刀で切り付けていました。

「テロリスト」長者番付 最大の資金源はどこだ? | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)

多くのテロ組織の資金源は犯罪行為や寄付のようですが、テントの場合は誤送金を資金源にしているようです。
仮想通貨のハッキングとかの方がイメージしやすいけど企業から奪い取ることに意味があるのかも。
日本、北朝鮮に仮想通貨をハッキングされた額が世界最多 980億円相当=日経 (coinpost.jp)

あの男に制裁を加えるのなら彼が相場の動向を正確に読める人間であることを説明しなければならない気もします。

二宮さんの役名はいまだに明かされていません。
明らかにすると不都合があるのでしょうか?

乃木の過去

前回野崎が突き止めた乃木の過去が乃木自身の口から語られました。
彼がアメリカに渡った理由、自衛隊に入隊し別班になった理由には唐突な感じを受けました。
愛する家族のために戦うというサムに対して、家族を持たず愛を知らない乃木はあこがれを抱いたそうです。
家族や地域のコミュニティが崩壊した現代社会では帰属意識がいきなり国家にまで飛躍してしまうのかもしれないですね。
アメリカ同時多発テロ事件 - Wikipedia

要はこのドラマがやりたいことはエディプスコンプレックスと父親殺しのモチーフのようです。

エディプスコンプレックス - Wikipedia

薫(二階堂ふみ)に対して抱く感情はおぼろげな母親の記憶に近いに似た温かい気持ちだと言っていましたし、そういうことなんでしょう。
この乃木と薫のシーンはこれまでにも数度描かれていますが、「おっさんの幻想」を見せられているような気分になってあまり好きじゃないんですよね。
全てを包み込む母性を女性に求めるあたりに古臭さを感じてしまうんです。

それはそうと、最終回あたりで国家か家族かの選択を迫られるなんてこともあるかもしれないですね。

ドラムが祈る時に使用していた仏具はマニ車と呼ばれるもののようです。

マニ車 - Wikipedia

太田再登場

太田(飯沼愛)が保釈され、別班の保護下におかれました。
彼女は天才ハッカーだということで、解読に苦労していた通信暗号キーを解読してもらいサーバーを特定してもらおうということのようです。
このあたりから9時間というタイムリミットが意識的に表示されるようになり、ジャミーンのサチュレーションの数値と一緒に緊迫感を演出していましたが、基本的に待つことしか出来合いので特に緊迫感はありませんでした。

こういうサイバー空間を視覚的に表現するのはダサくなりやすいんですよね。
突然動き出す様子はミニ豚のレースを見ているような気分です。

この太田というキャラクターはイマイチうまく描かれていなくて、何をしたいのかよくわかりません。
「私が死ねばこのパスワードは分からなくなるわよ」という脅しは分かるんですけど、それを交渉材料に何を引き出したいのか、わからないんですよね。
「辱めを受ける前に死を選ぶ」って言うのも古いですし、飯沼さんの演技も意味不明なものを演じているので当然なのですが、意味不明です。
加害者を始末したからと言って済む話でもありませんしね。

公安と別班

表の組織・公安と裏の組織・別班が対比的に描かれていました。
公安を表の組織と言ってしまうのはどうかと思いますし、乃木に顔が割れている新庄(竜星涼)に尾行させるのも謎です。

あれは令状には例えば101号室と書いていたのに、乃木たちは壁に穴をあけ102号室で作業をしているため、裁判所に行って新たに令状を取り直さなければ指一本触れられないということですよね。

捜索差押許可状をわかりやすく解説 - 公務員ドットコム (koumuin-news.com)

野崎の説明が分かりにくかったです。

別班の集会

スパイ映画で私が個人的に好きなのは、秘密のアジトにアクセスする方法の描き方です。
経済産業省の一室に残された落札者たちが別班だったという手法は面白かったですね。
「黒須も商社の人なんだぁ。へぇ~。」と思って観ていたら「おやっ!」ってなる感じ、こういうさりげない感じ、公安の監視の目の前で会合を行う大胆さはワクワクしました。

おわりに

アリを助けた理由として「組織のために行動しただけだから」と言っていました。
この価値観はいかにも日曜劇場って感じがします。
「現場の人間に責任はない」っていう思想がどの作品にも共通している気がします。