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最高の教師【第8話感想】相楽の謝罪

 

 

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松岡茉優さん、芦田愛菜さん出演ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』第8話はクラスの悪玉・相楽(加藤清史郎)が自身が鵜久森へ行った卑劣な行為に向き合い謝罪するまでを描いていました。かなり着地点の難しい内容だったと思いますが、上手くまとまっていたと思います。

放送日・あらすじ

放送日

2023年9月9日(土)22:00~ 日本テレビ系列で放送

あらすじ

ストーリー#08「『本当』を曝け出さぬ貴方へ」(2023年9月9日放送)|最高の教師 1年後、私は生徒に■された|日本テレビ (ntv.co.jp)

配信状況はこちらや公式サイトでご確認ください↓
最高の教師 1年後、私は生徒に■された - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

キャスト

相関図はコチラ↓
相関図・座席表|最高の教師 1年後、私は生徒に■された|日本テレビ (ntv.co.jp)

 

感想

ドラマの転換点

非常に気合いの入った回でした。
このドラマでは初回に鵜久森(芦田愛菜)に対する苛烈ないじめが行われていました。相楽(加藤清史郎)たち首謀者だけでなく、傍観者も含めればクラスのほぼ全員がいじめに加担しています。
そういう状態ではクラスの抱える問題が解決したとしてもわだかまりは残り続けてしまいます。

そういったモヤモヤに今回は一定の決着をつけました。

遺影

今回重要なアイテムとして登場したのが鵜久森の遺影です。
鵜久森の母・美雪(吉田羊)は遺影を置くことで記憶の中の娘の表情が一つに固定されることを嫌っていました。
そしてそれが彼女にとって娘と向き合うことなのだと九条(松岡茉優)に伝えました。

この事がラストの相楽の謝罪につながるのはもちろんのこと、ドラマ全体に人間の多面性であるとか、考え続けるとは何を意味するのかについての一定の方向性を示しています。

この補助線があることで全体的に統一感がある内容になっていたと思います。

俺のせいで死んだ

相楽が意味深に「鵜久森が死んだのは俺のせいだ」という言葉を残します。
劇中では「探偵ごっこ」と呼んでいましたが、このドラマは鵜久森や、九条を殺害した犯人が誰かというのが重要な要素になっています。
ルックで言えば考察ドラマなんですね。
鵜久森の死後はその要素が強まっています。

「俺のせいで」という鵜久森の発言はまさに考察のネタになりうるものなのですが、このドラマではそういう展開を否定していました。

ここが今回の面白いポイントです。

結局相楽の言わんとした真意は「俺が鵜久森をいじめクラスの空気を悪くしたことが彼女の死の遠因となった」という視聴者も知っていることでしたね。
フィクションであれ、一人の人物の死をもてあそばない真摯な態度が見えてよかったと思います。

この事によって、あくまで真相を知るのは鵜久森について考えるためであるという前提が共有されたと思います。

安易な結論を避ける

もう一つ面白いのがドラマにありがちな安易な結論を意識的に避けている点です。

まず、相楽が過去に母親を交通事故で失っていたことが発覚します。
劇中でも言及されたように、昔のドラマなら加害者にも酌むべき過去があることに着目し、同情する形で終わっていきそうなものです。
しかし、九条はきっぱりとそれを拒否します。

また、相楽の「鵜久森が死んで初めて気づいた」という詭弁にもNOを突きつけます。
まぁ、確かに初回で鵜久森が熱弁していたので気付かなかったという言い訳には無理がありますよね。

さらに「謝ったから赦す」ということもしませんでした。
決して赦されないが、今の自分を変えるために、罪と向き合うために謝罪するというのは良かったと思います。

鵜久森が死んだことで相楽は赦しを得る機会を永遠に失いました。
何度も繰り返される「ごめんなさい」には悲壮感がありましたね。
彼はこれから心の中の鵜久森と向き合い続けるのでしょう。

相楽の謝罪の言葉や態度が子供っぽくて人間的な未熟さが表現されていました。

また、「悪い奴には何を言っても良い」ともしませんでした。
憶測で相楽を糾弾したことについては謝っていますし、すべての責任を相楽に負わせるのではなく、加担した者たちも謝罪したのも配慮されています。

良かったセリフ

全体的にクオリティの高い回でしたが個人的に好きだったセリフが二か所あります。

九条の「鵜久森さんが『笑っていないと心がおかしくなりそうだった』と言っていた時もあなたは笑っていた。」は切れ味の鋭いセリフです。
被害者の側と加害者の側が全く同じ行動をとっているのが面白いですね。

自分の弱さをさらけ出す強さを手に入れた鵜久森と、目先のプライドに囚われ弱さをひた隠しにする相楽の対比が鮮やかです。

もう一つは美雪の「本当はあなたがどんな子か知っているの」というセリフです。
「お前が何をしたか知っているぞ」と突き付けるのはスリリングですよね。
吉田羊さんも相楽に対する怒りを抱えつつも彼に対して誠実に向き合い、彼が自身の罪と向き合う機会を与えようという多義的な表情が良かったです。

「ボタンの掛け違い」「2人が友達になる世界」というのも二周目の人生を描く本作では重みが増しています。

おわりに

罪を犯した人間、過ちを犯した人間は学校から追放すればいいっていう考えもあるでしょうし、それは必ずしも間違っていません。
しかし、学校からいなくなったとしても彼らはどこかで生きていくわけで、そんな彼らに教育者として唯一諭せることとして「向き合うこと」を挙げたのは良かったと思います。

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