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離婚しようよ 第7話~かなりクオリティが高い回です。

 

 

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Netflixで配信中の松坂桃李さん、仲里依紗さん出演ドラマ『離婚しようよ』第7話はこれまでにも増して内容の濃い回でした。離婚や世間のバッシングに対するシニカルな笑いが込められていたり、大志の政治家としての目覚めが描かれているなど、満足度の高いエピソードです。

配信日ほか

配信日

2023年6月22日

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離婚しようよ - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

公式サイトはコチラ↓
離婚しようよ | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

 

キャスト

東海林大志(松坂桃李)2選目を目指す新人議員。
黒澤ゆい(仲里依紗)東海林の妻。俳優。
加納恭二(錦戸亮)パチアーティスト。ゆいの不倫相手
三俣桜子(織田梨沙)政治家に転身した元アナウンサー。大志の不倫相手
東海林峰子(竹下景子)大志の母
想田豪(山本耕史)大志の対立候補
佐藤富恵(高島礼子)ゆいの母
印田薫(板谷由夏)大志の弁護士
ヘンリーK(古田新太)ゆいの弁護士、事務所の後輩
想田ゆい(矢沢心)想田豪の妻

感想

プライドの問題

今回は登場人物たちのプライドについて焦点を当てた話題が多かったですね。
ゆいが週刊誌に自身の不倫をタレこむという“自爆テロ”に及んだこと、恭二がゆいに対して不能を周囲に言いふらしたことに腹を立てたこと、三俣が東海林に対してネガティブキャンペーンを行う理由も、すべて彼らのプライドを気付つけられたことや軽んじられたことに起因しています。

プライドを気付つけられた以上、損得勘定だけでは判断できない。
これまで不自然に思えてきた彼らの行動も「プライド」という軸が見えたことで理にかなっていると思い直しました。

離婚会見

「世間は落としどころとして、大志が報いを受けることを望んでいる。そしてそれは落選か離婚である。選挙に当選したいならば先手を打って離婚するしかない。」という理屈は、昨今のヒートアップしがちな炎上騒動とバッシングについて、風刺しています。

そしてそれが結構的確な気がします。
いわゆる“禊ぎ”ってやつですね。

離婚しようが落選しようが問題が何ら解決したわけではないのにそれで納得してしまう世間の無責任さ、振り上げたこぶしを下ろすためのきっかけを探しているだけというのは、単に騒動をエンタメとして楽しんでいるだけということを意味しています。
誰も建設的なことを期待していないんです。

最近のニュースを振り返ってもこういう例はあるような気がしますし、この説明はとても説得力がありました。

頭を下げる時間なんかも揶揄していて、今回は全体的にシニカルでしたね。

賞賛・反省・応援

これもよく見かけるやつですよね。
離婚を発表する際に、発展的な関係解消であることを強調するメッセージが添えられていて「じゃあなんで別れるんだよ」ってツッコミたくなるアレです。

この会見はその「仲がいいのになんで別れるの?」というあるあるな疑問をコメディにしているんです。

二人きりの場面で大志が「賞賛・反省・応援」を口にしたのは、それが彼の本音だからです。
普通は建前として使われる論法を使用することで本音であることを強調していました。

離婚という共通の目的ができたことで、かえって仲良くなった二人は「なぜ離婚するのか」について語り始めます。
そこで語られるのは「なぜ愛し合って結婚した二人が離婚するのか?」という普遍的なテーマでした。
離婚会見を行うホテルが過去に披露宴を行ったホテルと一緒というのも松山市という地方都市が舞台になっているので違和感がありませし、本作で最も深いテーマだけに演出面でのこだわりを強く感じさせましたね。

ささやき女将風の演出で建前や演技に本音が入り混じるというのも笑えました。

湯木佐知子 - Wikipedia

ただ、「賞賛・反省・応援」を使ったギャグはもっとできたんじゃないかな?
大志が挨拶の冒頭でそのまま言ってしまうというだけではあまり面白くないです。

恭二との別れ

「死んだように生きている恭二が好きだった」という言葉はある意味辛辣です。

ゆいは恭二の誰にも興味がなく、何も期待していないところが好きだったのに、恭二は不能であることにコンプレックスを抱いているだけで、家族や子供に人一倍あこがれがある普通の男だったということが明らかになってしまいました。

持たないのではなく持てないだけだったんですね。

「自分のことを愛していないところが好き」なんて言われてしまっては、そもそも二人の未来などあるはずもなく、どうしようもないです。

ゆいの旦那を応援するということは、ゆいの夫婦関係の継続を彼も望むを意味します。
ゆいの気持ちを尊重し、身をひくということですね。

彼が再び何かを手に入れることをあきらめ元の生活に戻るのか、それとも新たな道に踏み出すのかも気になります。

「出口ってどこの出口ね?」というギャグは面白かったです。

生まれ変わった大志

会見をしても支持率の下落は止まらない。
「選挙はそがいにあまないで」という言葉をきっかけに、今までドタバタしていたドラマが地に足付いた展開に変わっていきました。

ここで描かれたのは大志の政治家としての目覚めです。

ニュータウンにはおそらく県外や市外から引っ越してきたような子育て世代が住んでいるのでしょう。
つまり代々東海林家を応援しているような地元民や年寄りは住んでいません。
大志にとってはアウェイです。
彼は自分の力で戦いたいと言っておきながら父の代からの支援者頼みで、支持者に向けて活動していました。
BSLだって父のやりたかった政策であって、彼のオリジナルではありません。

父に頼らず自分で道を切り開く、巫女ちゃんに頼らず自分の力で有権者の声に耳を傾ける。
落選が現実味を増したことで彼は悲願を達成しました。

このドラマの想田豪(山本耕史)は『なぜ君は総理になれないのか』の小川淳也氏をモデルにしています。
こういう市井の人々に耳を傾けるという展開は本来想田陣営にふさわしいのですが、それを大志に担わせているんです。
これもおもしろいですよね。
さらに想田の妻が大志に共感するって言うのも選挙カーの挨拶を返すという慣例がフリになっていました。

おわりに

次回は想田との討論会です。第5話で敗れた大志にとってはリベンジマッチになります。次回で選挙の結果は判明するようなので、中身の濃い回になりそうですね。