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大奥第3話感想

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放送日・あらすじ

放送日

2023年1月24日(火)22:00〜 NHKで放送

あらすじ

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大奥 - NHK

 

 

感想

全体の感想

伏線の回収といいますか、家光出生の秘密というところにお話が集約していく手際が素晴らしい回でした。
「そういえばさっきそんなこと言ってたなぁ」とか「さっきの言葉はそういう意味だったのか」がふんだんにあってあっという間の45分でしたね。

若紫

有功は猫に若紫と名付けます。若紫とは源氏物語の第5帖のタイトルで幼い少女を自分好みに育てるっていうお話です。
家光(堀田真由)が男の欲望丸出しの名前だと言ったのはこのためです。
でも有功は光源氏が恋焦がれる藤壺の面影を若紫に重ねていたところに着眼して命名したんですね。
家光は猫を口実に有功(福士蒼汰)に会いに来たり、源氏物語を取り寄せて読んでみたりいじらしくってかわいらしかったですね。
ほのぼのした冒頭でした。そんな中にも春日局が猫にいろんな種類の餌を用意したことからのやりとりで、春日局の性格示し、家光出生の秘密を匂わせています。

男性恐怖症

家光は男性に対して恐怖心があるようです。家光の心の内を知ろうとする有功に対して春日局はトラウマの原因がわからなくてもトラウマがあるということだけわかっていれば十分で、女は子供を産めばすべて解決するようにできていると主張します。
この作品の面白さの一つは現代のジェンダー観が投影されているところだと思います。
こういう性犯罪の被害者とか子を産むのが女の務め的なストーリーは家光をグッと近く感じますね

若紫殺害

かわいそうな若紫は小僧の玉栄のたくらみによって殺害されてしまいます。あのぬいぐるみはもうちょっとリアルなほうが良かったかな。
有功は怒りに任せて人を傷つけるより、念仏を唱えて心を静めるべきだと提案しますが、家光は強く反発します。
なんと第一話に登場した女の髪を切る盗賊の正体は家光でした。彼女はやり場のない怒りを「この世には生きる価値のない人間がいる。」と無辜の民に向けていたのです。
なんかこのセリフだけ浮いているような気がするんだよなぁ。
「自分だけがつらいと思うな」「それで御心は晴れますか?」という有功も感情的になってました。
彼自身も大奥に囚われていてその言葉の裏に「お前のせいで」っていうのがあるんですよね。

出生の秘密

自室で沙汰を待てという家光、有功を里へ帰してやろうという思いがあったようですが、春日局に誘導されて殺すことに。
まるで自傷行為のように、ここでもやり場のない怒りをぶつけてしまいますが、心が晴れないことはその後の家光の自暴自棄な様子からも窺えます。
家光は将軍であった父が辻斬りのついでに手籠にした女の子供で、ある日突然父の代わりとして幕府に連れて行かれ目の前で母を殺されてしまいます。
さらに髪を切られ男の格好を強いられました。
さらにさらに城から抜け出したところを男に襲われてしまったことが稲葉の口から明かされました。
かなり壮絶な人生ですが、例えばLGBTQの問題とか、学校の制服で意に反した格好を強いられている人は実際いますし、それを投影した内容だと思えば現代的な内容です。
彼女にとって父親や粗暴な男たちは仇であり、すでに死んでしまった仇の代わりに八つ当たりしていたようです。「人と言うのは愚かで滑稽な生き物よ」と言う言葉は家光自身に向けられたものでしょう。
彼女の苦悩に寄り添い理解してくれる有功のもとで彼女は自身のアイデンティティを取り戻したようでした。
さっきは「お前だけが面と思うな」と突き放した有功の言葉も、二人よりそうあの短歌も、似た境遇にいるからこそなんですよね。