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パリピ孔明【第1話感想】是非見てほしい作品です

 

 

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向井理さん、上白石萌歌さん出演ドラマ『パリピ孔明』第1話が放送されました。
漫画原作で既にアニメ化もされている作品ですが、単に原作をなぞるだけではなく実写ドラマでしかできない表現を模索していて好感が持てます。

 

放送日・あらすじ

放送枠

フジテレビ 水曜日 22:00~

放送日

2023年9月27日

あらすじ

パリピ孔明 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

最新の配信状況は公式サイト、またはこちらでご確認ください↓
パリピ孔明 - ドラマ情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarksドラマ

基本情報

原作

四葉夕ト/小川 亮

『パリピ孔明』(講談社『ヤングマガジン』連載)

 

アニメもあります

 

(本ページの情報は2023年9月時点のものです。最新の配信状況はhuluサイトにてご確認ください。)

脚本

根本ノンジ

キャスト

諸葛孔明(向井理)
三国時代に蜀を支えた“天才軍師”。なぜか現代の日本へと転生。
月見英子(上白石萌歌)
BBラウンジでバイトをしながら歌手を目指すアマチュアシンガー。
小林(森山未來)
ライブハウス「BBラウンジ」のオーナー。三国志オタク。
ミア西表(菅原小春)
SNSフォロワー数10万人超えの人気シンガー。
RYO(森崎 ウィン)
インディーズバンドJET JACKETのギターボーカル。
KABE太人(宮世琉弥)
MCバトル選手権3連覇を果たした若き天才ラッパー。
赤兎馬カンフー(ELLY)
ストリート出身のヒップホップ界のカリスマ。KABE太人のライバル。
久遠七海(八木莉可子)
前園ケイジ(関口メンディー)
マリア・ディーゼル(アヴちゃん)
劉備(ディーン・フジオカ)
諸葛孔明が仕えた「蜀(蜀漢)」の初代皇帝。時折、幻影として姿を現す。

相関図はコチラ↓
パリピ孔明 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

感想

実写化する意味

初回を観た限りですが、私はこのドラマは面白いと思います。
仮に視聴率が悪かろうと、(無いとは思いますが)世間から内容が酷評されようと私の考えは変わりません。
なぜならやっていること、その試みが全て正しいですし、志の高さを感じるからです。

近年当たり前のように漫画原作の作品が実写化されていますが、その中には単に原作をなぞっているだけで、原作ファンに媚びているだけの作品も時々見受けられます。
そういう作品に出会うと「だったら原作読めばいいじゃん」って思ってしまうんです(もちろん原作の面白さを毀損せずに伝えてほしいというファンの想いは理解できますけどね……)。

やっぱりわざわざ実写化するのであれば、実写化する理由や、テレビドラマという媒体でしか表現できないものを期待してしまうんです。

そういう意味で本作は大変優れています。

原作と違い

まず漫画との違いは「音が出る」っていうことです。

パリピ孔明 - フジテレビ (fujitv.co.jp)

まぁ、アニメでも音は出るのですが、本作は楽曲に日本のトップクリエイターを起用していますし、パフォーマーも本物です。
Youtubeの公式アカウントでも配信されていることからもこのドラマの売りであることは明らかです。
80'sの『真夜中のドア〜Stay With Me』も流れていました。

 

上白石さんも歌のうまさは折り紙付きですし、向井理さんはバーテンダーの経験者です。
クラブやラウンジの意匠も含めて圧倒的にリアルなんです。
そのリアルさやこだわりがとても良い効果を生んでいて、諸葛孔明が東京にいる違和感が際立っているんです。

諸葛孔明が現代の日本に転生しても漫画やアニメでは良くあることなのでそれほど違和感がありません。
しかし、実写のドラマだとちゃんと浮いて見えるんです。

冒頭

正直冒頭を見た時は「ダメかも」と思いました。
冒頭は孔明が目を覚ますと渋谷のハロウィンに転生していて、地獄だと勘違いするというトンチの効いたシーンなのですが、セリフが聞き取りづらかったんですよね。

その聞き取り辛さは英子が歌っているシーンでも続いたのですが、これが意図的なんだと気付いたときにこのドラマの見え方が変わりました。

普通なら周囲の音を小さくして、胸の内を独り言のように語ることが多いです。
『ばらかもん』はこの手法を多用していました。
でもこのドラマではあえてそういうことをしていません。
ドキュメンタリー風とまでは言いませんが現代東京に放り込まれた孔明を観察するようでリアルなんです。

孔明の設定

これは原作とも共通することですが、孔明の「天才軍師」という設定をフル活用しています。
古代中国の人物なのでスマホすら知らないというギャグや、設定の甘さを強引に解決するあたりは『テルマエロマエ』と一緒です。

しかし、孔明には驚くほどの学習能力があり、その習得スピードもギャグにしているので、2度面白いです。
たった数時間で「サブスクの解約方法が分からない」という現代人と同レベルの悩みにたどり着くのは面白かったですね。

『シンウルトラマン』のような宇宙人の設定が近い気がします。
頭から煙が出ているのも面白いですね。

また、孔明を「天才軍師だけど結局太平の世作ることに失敗した人」としているのも興味深いですね。
彼にとって英子のプロデュースはリベンジマッチなんですね。

三国志知識

私は『三国志』や『三国志演義』の知識は断片的にしかありません。
「三顧の礼」は聞いたことがあるけど「泣いて馬謖を斬る」は良く知りません。
そんなレベルの私でも十分理解できました。
初回で大切だったのは「三顧の礼」「泣いて馬謖を斬る」「石兵八陣」の3つだったと思いますが、その3つについては詳しく映像で解説してくれます。
机の引き出しがジオラマになっていたり、三国志のカードを用いたり、工夫も見られました。

また、「司馬懿」「五丈原」「魏軍」「張飛」「張楊」といったワードだけではなく、母の茶を買った劉備のエピソードや「それ将たるの道は、必ず天に順い、時に因り、人に依りてもって勝ちを立つるなり」という『将苑』からの抜粋など、三国志に詳しい人にとっても楽しめる2階建てになっています。

歴史的事実としての三国志と三国志演義のようなフィクションを切り分けているのも正しいと思います。

気になった点

一ヵ所だけほんのちょっと気になった点があります。
英子が「もう潮時だ」と語り、孔明が「ここにファンがいるじゃないですか!」と励ますシーンです。
ここでは英子の顔が途中まで意図的に隠されていて、孔明のセリフとともに映し出されます。

非常に意図を感じる演出でしたが、肝心の英子の表情が微妙でした。
撮り直したほうが良かったと思います。

おわりに

ラストの前園がボリュームを上げて、小林がスイッチを切るシーンも洒落ていました。
結構細かく印象的な演出が加えられています。

おそらく、観る前から「多分つまらないだろう」という先入観で観ない人が多数いるタイプの作品です。
そういう方にも是非初回だけでも観てほしいですね。