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笑うマトリョーシカ(TBS・金曜10時・水川あさみ)第9話感想

 

 

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水川あさみさん・櫻井翔さん出演ドラマ『笑うマトリョーシカ』第9話が放送されました。首相公選制が登場し、清家の独裁・強権的な姿勢が見え隠れするという回でしたが、説明を端折っている部分が多く、ストーリーの展開に丁寧さを欠いている印象でした。

放送日・あらすじ

放送枠

TBS 金曜日 22:00~

放送日

2024年8月23日

公式サイト

金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』|TBSテレビ

基本情報

原作

早見和真『笑うマトリョーシカ』

脚本

いずみ吉紘
神田 優

キャスト

道上香苗 水川あさみ
東都新聞の記者。社会部から文芸部に異動。
鈴木俊哉 玉山鉄二
清家の政務秘書官。
清家一郎 櫻井翔
厚生労働大臣。未来の総理候補。

山中尊志 丸山智己
青山直樹 曽田陵介
道上香織 筒井真理子
道上兼高 渡辺いっけい
旗手健太郎 和田正人
佐々木光一 渡辺大

相関図はコチラ↓
相関図|TBSテレビ 金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』

感想

首相公選制

このドラマでは「清家にとってのハヌッセンは誰か?」という問いが物語の軸になっています。
つまり清家をヒトラーになぞらえているんですね。
ポピュリズム的に大衆の人気を得ることで実権を握り、強権的な独裁体制に陥る危険性が描かれているのだと思います。

今回清家が提唱した首相公選制もそのための手段として登場しています。

首相公選制 - Wikipedia

これが分かりにくいんですよね。

まず、清家自身が言及しているように日本で首相公選制を導入するためには憲法との兼ね合いが問題となり、実現は容易ではなさそうです。
実現可能だとしても、現在政権を握っている党が首相公選制実現のためにわざわざエネルギーを割く理由も見当たりません。

それに首相公選制が必ずしも強権的な政治に結び付くとも限りません。
首相公選制が導入されると国会で過半数を握る政党から首相が選ばれるとは限らないので、国会と対立して予算案が通らないという事態も考えられます。
それに,、議会の解散権も制限されるでしょうから、かえって政治の停滞を招くこともあるでしょう。
このドラマでも最後のほうで「緊急事態の際には首相に権限を集中させる」という文言がさらっと付け加えられていました。
短い説明だったのではっきりとはわからないですが、憲法改正の議論でしばしば登場する緊急事態条項のことだと思います。
問題があるとすれば、むしろこっちのほうですよね。

確かにナチスは全権委任法を成立させることで大戦へと傾いていきましたし、首相公選制と緊急事態条項の取り合わせは理解できるのですが、今の日本社会の状況から遠く感じてしまうんですよね。
実際に議論されている緊急事態条項一本に絞ったほうがリアルだし有意義だったかも。
具体的なイメージのわかない首相公選制とセットで語られることでかえってわかりにくくなってしまいました。

復讐

清家の祖母は中国にルーツがあり、戦中戦後の混乱の中、日本で苦しい生活を強いられていたことがわかりました。
大体予想していた通りでしたが、この設定自体は面白いと思います。
でも、祖母が口にしていた「復讐」がいまいち見えてきません。
母を苦しめた日本に対して復讐したいという気持ちを抱いたとしても、それが「立場の弱い人やマイノリティが暮らしやすい社会を実現したい」という思いに昇華されているのであれば全く問題ないどころかむしろ素晴らしいですよね。
浩子の目的が悪なのか、手段が悪なのか、どちらを問題視しているのか判然としないんです。

裏社会

BG株事件をめぐり、政治家の元秘書が裏社会の住人となり、政治家の指示のもと隠ぺい工作などを行っていたことがわかりました。
このような存在が本当にいるのかどうかはわからないですが、表と裏の社会が結びつく感じは興味をそそられます。
たしか『不毛地帯』にもこういう存在が登場していたと思います。

これで道上の父の死については一旦決着したことになるはずです。
普通のドラマなら「一件落着したはずなのに、どこか違和感がある」という不穏な描き方をすることが多いです。
しかし、このドラマでは淡々と「浩子が黒幕に決まっている」という路線で話が進んでいきます。
その展開に納得感がなくて、置いて行かれた感じがしました。

おわりに

長々と書きましたが、要は「それの何が問題なの?」という疑問が解消されないまま進んでいく展開が各所に見られて、なにを描きたいのかよくわかりません。